Lee Konitz Meets Jmmy Giuffre/Lee Konitz
(Verve MGV-8335)
(Verve MGV-8335)
タイトルを聴いただけでちょっと引いてしまう組み合わせと言うか、自分の苦手な部分のアルバムですね。アルトサックス界はバード抜きには語ることが出来ないですが、古くパーカー健在時代から最もパーカーと反対のイディオムを展開してきたアルトサックス奏者がこのリー・コニッツではないでしょうか。トリスターノ系音楽やクールジャズについては未だによくわかりませんので、その内容については文章にすることすら出来ませんが、この系統に位置づけられていますよね。コニッツ自身は最初はクラリネット、ついでテナー、そしてメイン楽器となったとも言えるアルトと楽器を変えていきます。テナーのインサイドハイファイなども好きな演奏ですが、今回はアルトを全編で使用し、これまた自分にとっては難解と言えるジュフリーとの共演盤をアップしますね。
このアルバムはまず茶色系の美しいカバーに惹かれました。屈託なく笑顔をみせるKonitz&Giuffreのいいショットです。使い込んだアルトとバリトンの鈍い光がさらにいいですね。59年録音で、メンバーはLee Konitz, Hal McKusik(as), Warne Marsh, Ted Brown(ts), Jimmy Giuffre(bs, arr), Bill Evans(p), Buddy Clark(b), Ronnie Free(ds)のオクテットです。コニッツのアルトはパーカー派のようにメロディックでエキサイティングなフレーズはないですがどこか冷徹で孤高の彼ならではの世界を感じます。盟友Warne Marshをはじめ共演陣の人選もすばらしくクールな白人ジャズアルバムに仕上がっています。A-1の"Palo Alto"の冒頭からクールに吹き始めるコニッツの冷徹さに唸ってしまいます。続く"Darn That Dream", "When Your Lover Has Gone"のスタンダードを挟んでA面ラストに収録されたブルース"Cork n Blue"では全員のソロが聴け、ジュフリーのアレンジで入るカウンターメロディの上で展開されるサックス陣のソロが十分に楽しめ、白眉のトラックに仕上がっています。B面のスタンダート"Someone To Watch Over Me", "Moon light In Vermont", "The Song Is You"等もいいですね。そしてサックス陣の豪華さに対抗するもう一つのポイントは随所に聴かれる59年のエバンスのプレイです。特にB-1"Somp'm Outa' Nothin'"に於けるソロ等はポートレイトインジャズに通じる好ソロであろうと思います。エバンスフリークにも注目の一枚かも知れませんね。
所有盤はVerveのトランぺッターラベルのモノラル盤です。各自のサウンドが極めてビビッドに捉えられていて、エバンスの芳醇なサウンドやクラークのピチカートなども輪廓がはっきり捉えられた好録音の一枚と思います。