憲法では,問題となる人権が何なのか,検討しなければいけない時がある。第1回,第2回,第3回,第6回が典型である。それぞれ「検討具合」の程度は様々である。
第1回は,思想良心の自由ではなく,消極的表現の自由の問題だ,と指摘できるかどうかの程度。
第2回は。適用違憲のところで初めて信教の自由を持ち出すことになる。
第3回は,処罰の根拠規定からはストレートに表現の自由は出てこないので,法令の仕組み解釈をして漸く表現の自由を引っ張り出せる。
第6回は,表現の自由だとしても,その性質がどのようなものかを検討する(権利の脆弱性や多面性に言及する)
ま,こんな感じでしょうか。この手の問題のとき一番困るのが,この権利の特定を設問1で書くのか,設問2で書くのか,という点である。権利の特定自体が一大論点なので,どこで書くのが良いか,という悩みである。設問1で書くと貴方の見解がどうしても薄くなるからである。
解決案をば。
第2回を例にとります(適用違憲の部分)。
教団側の見解では,意図的に,「我々に本件条例を適用することは,単なる財産権の制約に止まらず,信教の自由を制約するものであると考える」くらいに「しておく」。
そして,貴方の見解のところで,問題文中の,「信者は集団で居住して修行しなければならないことになっており,B教団結成に伴い,集団居住のための新たな施設を建設する必要が生じた。」「本部施設を建設することを計画した。当該施設は,本部機能を有するとともに信者が集団で居住し,修行する施設となるものである。」「教団本部施設は,我々の信仰生活の拠点となるものであり,正に我々の信仰を実践する場所である。」「我々が建設する施設は,教団と信者にとって神聖な場所である。信者は集団で居住し,代表である甲に従って修行に励む。このような形態が,我々B教団の信仰の在り方である。したがって,この施設は,我々教団の信仰にとって絶対に欠くことのできないものである。」という表現を上手く利用し,「具体的な」検討を行うのである。
例えば,「B教団の教義では,信者は集団で居住して修行しなければならないことになっており,B教団結成に伴い,集団居住のための新たな施設を建設する必要が生じ,本部施設を建設することを計画したものである。本件教団本部施設は,単なる本部施設ではなく,信仰生活の拠点となるものであり,正にB教団の信仰を実践する場所であると言える。従って,本件条例の適用については,B教団の信教の自由を制約するという観点から,その適用の合憲性審査行うべきと考える」「具体的には~(適用違憲の解釈指針を示す)」などと書くのである。
こういう処理の仕方もありですねと。参考までに。
因みに,市側の人権部分の反論は,「条例の適用の結果生じるのは財産権の制約に過ぎず,本条例を形式的に適用することに何の問題もない」とでも反論すればよいかと思います。実際に本件の適用違憲で問題になるのは,行政が,住民と教団の間に立って仲介等を一切せずに,形式的に条例の手続を踏む点についての違憲性如何,だと思いますので。
第1回は,思想良心の自由ではなく,消極的表現の自由の問題だ,と指摘できるかどうかの程度。
第2回は。適用違憲のところで初めて信教の自由を持ち出すことになる。
第3回は,処罰の根拠規定からはストレートに表現の自由は出てこないので,法令の仕組み解釈をして漸く表現の自由を引っ張り出せる。
第6回は,表現の自由だとしても,その性質がどのようなものかを検討する(権利の脆弱性や多面性に言及する)
ま,こんな感じでしょうか。この手の問題のとき一番困るのが,この権利の特定を設問1で書くのか,設問2で書くのか,という点である。権利の特定自体が一大論点なので,どこで書くのが良いか,という悩みである。設問1で書くと貴方の見解がどうしても薄くなるからである。
解決案をば。
第2回を例にとります(適用違憲の部分)。
教団側の見解では,意図的に,「我々に本件条例を適用することは,単なる財産権の制約に止まらず,信教の自由を制約するものであると考える」くらいに「しておく」。
そして,貴方の見解のところで,問題文中の,「信者は集団で居住して修行しなければならないことになっており,B教団結成に伴い,集団居住のための新たな施設を建設する必要が生じた。」「本部施設を建設することを計画した。当該施設は,本部機能を有するとともに信者が集団で居住し,修行する施設となるものである。」「教団本部施設は,我々の信仰生活の拠点となるものであり,正に我々の信仰を実践する場所である。」「我々が建設する施設は,教団と信者にとって神聖な場所である。信者は集団で居住し,代表である甲に従って修行に励む。このような形態が,我々B教団の信仰の在り方である。したがって,この施設は,我々教団の信仰にとって絶対に欠くことのできないものである。」という表現を上手く利用し,「具体的な」検討を行うのである。
例えば,「B教団の教義では,信者は集団で居住して修行しなければならないことになっており,B教団結成に伴い,集団居住のための新たな施設を建設する必要が生じ,本部施設を建設することを計画したものである。本件教団本部施設は,単なる本部施設ではなく,信仰生活の拠点となるものであり,正にB教団の信仰を実践する場所であると言える。従って,本件条例の適用については,B教団の信教の自由を制約するという観点から,その適用の合憲性審査行うべきと考える」「具体的には~(適用違憲の解釈指針を示す)」などと書くのである。
こういう処理の仕方もありですねと。参考までに。
因みに,市側の人権部分の反論は,「条例の適用の結果生じるのは財産権の制約に過ぎず,本条例を形式的に適用することに何の問題もない」とでも反論すればよいかと思います。実際に本件の適用違憲で問題になるのは,行政が,住民と教団の間に立って仲介等を一切せずに,形式的に条例の手続を踏む点についての違憲性如何,だと思いますので。