人権確定の問題

2012-03-12 19:38:44 | 司法試験関連
憲法では,問題となる人権が何なのか,検討しなければいけない時がある。第1回,第2回,第3回,第6回が典型である。それぞれ「検討具合」の程度は様々である。

第1回は,思想良心の自由ではなく,消極的表現の自由の問題だ,と指摘できるかどうかの程度。

第2回は。適用違憲のところで初めて信教の自由を持ち出すことになる。

第3回は,処罰の根拠規定からはストレートに表現の自由は出てこないので,法令の仕組み解釈をして漸く表現の自由を引っ張り出せる。

第6回は,表現の自由だとしても,その性質がどのようなものかを検討する(権利の脆弱性や多面性に言及する)

ま,こんな感じでしょうか。この手の問題のとき一番困るのが,この権利の特定を設問1で書くのか,設問2で書くのか,という点である。権利の特定自体が一大論点なので,どこで書くのが良いか,という悩みである。設問1で書くと貴方の見解がどうしても薄くなるからである。

解決案をば。

第2回を例にとります(適用違憲の部分)。
教団側の見解では,意図的に,「我々に本件条例を適用することは,単なる財産権の制約に止まらず,信教の自由を制約するものであると考える」くらいに「しておく」。

そして,貴方の見解のところで,問題文中の,「信者は集団で居住して修行しなければならないことになっており,B教団結成に伴い,集団居住のための新たな施設を建設する必要が生じた。」「本部施設を建設することを計画した。当該施設は,本部機能を有するとともに信者が集団で居住し,修行する施設となるものである。」「教団本部施設は,我々の信仰生活の拠点となるものであり,正に我々の信仰を実践する場所である。」「我々が建設する施設は,教団と信者にとって神聖な場所である。信者は集団で居住し,代表である甲に従って修行に励む。このような形態が,我々B教団の信仰の在り方である。したがって,この施設は,我々教団の信仰にとって絶対に欠くことのできないものである。」という表現を上手く利用し,「具体的な」検討を行うのである。

例えば,「B教団の教義では,信者は集団で居住して修行しなければならないことになっており,B教団結成に伴い,集団居住のための新たな施設を建設する必要が生じ,本部施設を建設することを計画したものである。本件教団本部施設は,単なる本部施設ではなく,信仰生活の拠点となるものであり,正にB教団の信仰を実践する場所であると言える。従って,本件条例の適用については,B教団の信教の自由を制約するという観点から,その適用の合憲性審査行うべきと考える」「具体的には~(適用違憲の解釈指針を示す)」などと書くのである。

こういう処理の仕方もありですねと。参考までに。

因みに,市側の人権部分の反論は,「条例の適用の結果生じるのは財産権の制約に過ぎず,本条例を形式的に適用することに何の問題もない」とでも反論すればよいかと思います。実際に本件の適用違憲で問題になるのは,行政が,住民と教団の間に立って仲介等を一切せずに,形式的に条例の手続を踏む点についての違憲性如何,だと思いますので。
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憲法答案のイメージ

2012-03-12 18:54:37 | 司法試験関連
小問1 
 答案上で検討予定の「論点一覧表」的位置づけ
小問2
 国側の主張 自説の前振り的位置づけ 「確かに~」以下的部分
 貴方の見解 自説を大展開        「しかし~」以下的部分

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「前振り」の仕方

2012-03-12 18:36:41 | 司法試験関連
検察官・国側の主張は,私の見解の前振り的なイメージで書けば良いと述べたが,その補足。例えばですが,

「国側としては,本件は積極目的に基づく規制であるので,緩やかな審査基準を採用すべきであり,この程度の規制は合憲であるとの主張をすることが考えられる。」

「しかし,私はこの見解には同意できない。何故なら本件には~,~,~といった事情があるので,立法府の裁量はあまり広くないと言え,厳格な審査基準を適用して判断すべきと考えるからである。」

こんな感じで書くとするとどうでしょう。あくまでも例なんですが,あんまり上手くない例ですね。まず積極目的規制だと何なのか,言及すべきです。更に,「対応関係」を考えた場合,自説としては「本件事情の下では,裁量は広くない=厳格な審査基準で行くべき」,と書きたいわけですから,「裁量は広いと言うが,広くないんだよ」,という主張反論としての「対応関係」を示した方が,綺麗ですし「反論」という形にキチンとなるからです。

何が言いたいかというと,あくまでも国側の主張は,自説の「前振り」なので,自説で展開する予定のロジックやキーワードを先にちら見せしておいて(例で言えば,「裁量の広狭」について),国側主張への反論という体を作り出すと良い,ということです。そうすれば,試験委員の言う「まるで噛み合っていない」という苦言をくらう恐れもないだろう,ということです。

直前期ですので,実践例として参考までに。
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ホワイトデーの説明会

2012-03-12 17:30:22 | 司法試験関連
3月14日の講座説明会では,実際にどのような講義をしているか,テキストや論文突破レジュメ,論証パターン,問題研究等を使って,示して行きたいと思っています(名京阪遠征で質問されましたので)。

この後,1ヵ月半ほど説明会は無いので,新学期開始前最後の説明会です。生講義の方も,憲法が16日で終わり,19日から行政法になります。行政法開講に合わせて始動,というのもキリが良いと思いますし,何より3月一杯であれば15%引きが適用されますので,早い方が良いと思いますです。善は急げです(笑)
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