何故論文が「書けない」のか

2012-03-17 11:20:54 | 司法試験関連
未修生はもちろんのこと既修者でも,L2レベルの答案作成能力,答案構成能力に不安を持つロースクール生が増えている。何故このような不安を持つ事になったのか。

理由は単純で,「そういうトレーニングをしていないから」である。原因の特定自体は難しくもなんともない。要は,論文マスターレベルのインプット講座や,L2レベルの答練をあまり消化していない状況でロー入学を「決めてしまう・決まってしまう」者が増えてきている,というだけの話なのだ。

いわゆる「旧司法試験組」が幅を利かせていた頃の既修生は,L2レベルのトレーニングをロー進学前に相当積んでいたと言える。これは短答も含めての話で,こなしてきた問題数が桁違いでなのである。

ところが,そのような「歴戦のつわもの達」は,既に「絶滅危惧種」と言えるほど減ってきている(予備試験組みはまた別の話である)。だとすれば,演習不足から来る力量不足が顕在化しても不思議でも何でもない。寧ろ,「当たり前の現象」と言える。

問題研究は「お手本」である。習字と同じで,最初はお手本に習う形で練習を積まねばならない。しかし,問題研究の読込み等,どれだけやっていますか,という話である。何度も何度も読み込む,答案構成をする,記憶する,という作業を繰り返していますか?それを端折っていたら,論文なんて書けません。当たり前の話です。ましてや,L3レベルの論文に対応するなんて無理です。この辺の認識を改める必要があります。

なお,一部未修コースでは,危険な兆候が見られます。「1年次」の定期試験で,「もっと事実の評価を厚く」とか,「事案の特殊性を意識して」等という,「指導」がなされているという話を現役生から聞いた事があります。これは,L1が脆弱な上に,L2の指導をスッ飛ばして,いきなりL3レベルの答案を「良い答案」とする指導方針ですが,大混乱の元であり,教育面から見ても大変危険です。わずか1年で,法律知識0から始めた学習者が,L3レベル答案を7科目で書けるようになるなんてあり得ません(一部の天才だけでしょう)。

このような「危険な兆候」は,2年ほど前から文部科学省が「お前ら合格実績を上げろ!」という強烈な行政指導を合格実績の振るわないロースクールにするようになってから,出てきたようです。

悩みや不安のある方は,カウンセリングのご利用や,既に行った講座説明会のストリーミング等をご覧になって下さい。黙って自滅を待つ必要なんてありません。
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