豪腕パサーの代名詞ともいうべき、鉄人ブレット・ファーブが今度こそ引退を決めたようだ。昨シーズン終了後も引退を表明したが、初夏に現役復帰を電撃発表し、すったもんだした上、16年間在籍したパッカーズからジェッツへ今季移籍していた。ジェッツというかファーブ自体が、シーズン最後の5試合で全くの別人のように調子を落とし、そのまままさかのプレーオフ進出を逃していたこともあって、もしかしたら、と思っていたところ、遂に現役引退を決意した模様。今回は肩の故障が実はあるようなので、「もはや以前のようなプレーができない」とも述べており、昨年の「勝利に向かって貪欲になれる自信がない」という一種の燃え尽き症候群とは意味が違うようなので、本当に引退と言うことになりそうだ。
鉄人ファーブの偉大な記録を、NFL JAPAN.COMのサイトから転用すると以下の通り。
■通算獲得ヤード1位
キャリア18年で65,127ヤードを積み上げた。ダン・マリーノ(元マイアミ・ドルフィンズ)の61,361ヤードをしのぎ、歴代1位。
■TDキング
464回もTDパスを通し、この数字もNFL歴代1位。マリーノが持っていた420回の記録を2007シーズンに更新した。
■パス成功
9,280回のパスを試投し、5,720回成功。この記録も2位マリーノの4,967回を大きく上回っている。
■INT回数
310回は歴代ワースト1位。多く投げた分だけ、そして紙一重のプレイにチャレンジした分だけ、相手チームにボールを捕獲されたシーンも少なくなかった。2位はジョージ・ブランダ(元ヒューストン・オイラーズほか)の277回。
■連続試合スタメン出場
269試合、休まずレギュラーシーズンのゲームにスタメン起用され続けた。QBでは1位。全ポジションを見渡すと、1960~70年代にプレイしたDEジム・マーシャル(元ミネソタ・バイキングスほか)の282試合にこそ及ばなかったが、堂々の2位だ。
■MVP獲得回数
3回(1995、1996、1997年)はペイトン・マニング(インディアナポリス・コルツ)らとともに歴代1位タイ。3年連続MVPはNFL史上唯一の快挙。
そしてスーパーボウルには2年連続で進出し、1度優勝している。パッカーズの本拠地グリーンベイは人口10万人の街だが、熱狂度は全米有数である。パッカーズは「市民球団」であり、本拠地ランボー・フィールドは7万人弱の動員力がある球場。そこで有名なのが、地元で試合のある時間帯は、街の7割近くが球場に駆けつけるため、街が文字通りの「ゴーストタウン」化してしまうことである(写真を見たことがあるが、今のデトロイトどころの話ではないほどの「寂れぶり」になる)。
デンバーやグリーンベイなどの熱狂的な街では子供(特に男の孫)が生まれると、地元チームのシーズン・チケットの「予約リスト」に入れるのが定番のプレゼント。何故かって?リストは大抵20年待ちとか25年待ちなので、大人になった頃シーズンチケットが手に入るという寸法なのだ。グリーンベイはそういう街。おまけに極寒の街で、シーズン半ばを過ぎると猛吹雪の中でフットボールが行われるのも珍しくも無い。そういうグリーンべイで16年間、不動のエースQBとして君臨し続けた鉄人ファーブ。NFLを代表するレジェンド・プレイヤーであるファーブの引退、正直かなり残念だが、ここはやはり「お疲れ様でした!」ですね。
ありがとうブレット・ファーブ!(ま、49ersファンとしては、グリーンベイは怨敵・宿命のライバルなのであんまり持ち上げたくないんですけど、そういうレベルを遥かに超越した次元の異なる偉大な選手でした)。
*殿堂入りの資格取得後即、名誉の殿堂入りは確実、グリーンベイは昨年に続きファーブに対して背番号4を永久欠番にすることを申し出ている。