突然の腰と首の痛みに襲われて、一月過ぎた。先週、整形外科でMRI検査を受けた結果、年齢の割に骨格がしっかりしていて腰椎に潰れや狭窄はないし、首も大したことはない、と病院へ通う必要なしのお墨付きをいただいた。
「なんであんなに痛みがひどかったんでしょうかね?」と私。
「若い者だって無理すれば体が痛くなるんだよ、その歳ならしょうがないってこと」と取りつく島もない。
しかし、医者の言葉は現金より価値があるものなのだ。それっきり、あれはなんだったんだというくらい、痛みが退いてしまった。先月のブログに苦し紛れに書いた、「この痛みによって本来の私があぶり出され、次の段階へ変化することにつながる」なんてことは一切起こらず、以前の日常生活に戻った。
ところで、「ヒツジたちのお話」はなかなかはかどらない。日常がわやわやと忙しすぎて時間がないだけでなく、書くほどに論理の深みにはまり、ようやく抜け出したと思ったら、周囲の景色がすでに変化していて、もう一度話の筋を組み立て直す事態に陥る。そのうち根気薄弱な作者が、物語を書き進める作業をボイコットしてしまうと、登場動物たちは、作者に何の断りもなく、水を得た魚、というより、アルコールが回った中年男のように、勝手におしゃべりしたり行動を開始したりする。物語とは放っておいても自ら進展していくものなのだ、とこのごろ感じるようになった。(2013.9.26)