サロベツ原野の町へ雨の中を行ったら、夏風邪を引いてしまった。喉の痛みに始まり、四日目の今日は鼻水と涙が止まらない。ときどきクシャミと咳き込みが襲ってくると、切ってからまだ一月にならない下腹の傷がじくじくと痛む。調子の悪いときブログかよ、と言いながら、そうだからこそ物を書く気になれるんだと自身に歯向かっている。
サロベツの地名はアイヌ語の「サルオペツ」(葦の生える川)に由来するという。先日訪れたサラプツ(猿払)の「葦原の河口」と、風景が共通する場所なのだ。緯度もほぼ同じ。ただし海は違う。サラプツはオホーツク海、サロベツは日本海に面している。それともう一つ違うところは、サロベツに漢字の表記がない。入植者がそれほど多くなかったためなのか。
そういえば、宗谷の内陸には神社がない。外来の神の手が届かない土地なのだ。(2014.7.29)