黒猫 とのべい の冒険

身近な出来事や感じたことを登載してみました。

近所の土偶

2019年10月22日 20時22分37秒 | ファンタジー
 最近、日本列島のごつごつした背骨みたいな地図を広げていると、数万年もの昔の情景が透けて見えるような気がしてならない。そのころ、列島にはあちこちから人が渡ってきていた。大まかに分類すると、南からは現在のアイヌ系の人々、半島からは中国大陸の奥地にいた人々、北からはシベリアやバイカル湖周辺に先進的な旧石器を残した、いわゆる北方狩猟民たち。それらの集団のどこかに、私の先祖が紛れ込んでいてもおかしくはない。もしも2万年以上前だとしたら、私から1000世代もの遠くまでさかのぼることになる。
 こんなことを考え続け、とうとう頭の中が夢に占領されたとき、私はシベリアの草原の奥地から、鹿と犬に連れられてとぼとぼ歩く自分自身の姿をまぶたに浮かべる。ほんとうにそんなふうに感じられる。
 先日、「おさつ」という土地にある埋蔵文化財センターで、動物を象った土偶に出会った。オットセイ、セイウチあるいはムササビでは、と説明文にあったが、私は動物とヒトとの合体した形そのものだと思った。弱々しい骨格のヒトは強い動物の力を借りながらようやく生きながらえてきた。
 廃校を活用したセンターには、世界で一番古いかもと言われる縄文式土器もたくさんあった。土器は煮炊きなどに使用するために作られたとされるが、それだけなら他にもやり方があっただろう。私の目には動物の頭蓋とどこか似て見える。
 大昔、ヒトにとってクマなどの頭蓋はきわめて大切な宝だった。何世代にもわたって、家の奥の上座に安置された頭蓋を見るうちに、誰かがその形を真似て、土で器を作ってみようとした‥‥。石は硬すぎたし木では頼りない。土をこねて器ができたときはうれしさのあまり舞い上がったことだろう。
 器に関する白川静氏の所説は衝撃的だ。氏は、「口」あるいは「曰」という文字は、神に捧げる祝告を入れた器だと解釈する。縄文土器もまた同じく使用されたと考えられなくはない。側面の模様は藁や紐などでつり上げたから付いたのかも?(2019.10.22)

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平日が待ち遠しい

2019年10月20日 13時38分35秒 | ファンタジー
 ふと見ると、隣接する小学校の教室のカーテンが全部、開いている。そうか、今日は休日だった。ここに住んで20年。週にたったの2日間、子供たちの気配が感じられないだけでなんだか寂しい。
 普段、学校がある日はやはり騒々しい。朝から歌声や楽器演奏、たまには喧嘩でもしているのか怒鳴り声や金切り声まで響き渡ることがある。休み時間などは騒音がざわざわ伝わってくる。道路をはさんで向かい側のゴミステーションまでの道すがら、おじんと大声で呼ばれたときは、なんだ〇〇ガキと応戦したことがあるが、それもいい思い出だ。なのに、休日になると平日が待ち遠しい。(2019.10.20)

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トンボが4尾(匹)

2019年10月16日 16時04分38秒 | ファンタジー
 昨日見た、我が家庭菜園での出来事。
 今年はトンボが異常に少ないが、たまたまその日は、トンボが4尾(匹)、菜園の縁石や、菜園と家の間の踏み石の上に、微妙な間隔をとってとまっていた。みな同じ南南東の方角を向き、たまに飛び上がっては元の居場所の近辺に舞い戻る、といった所作を繰り返す。見る者がじれったくなるくらいゆっくりと時間が流れる。
 数十分後、1尾(匹)が飛び上がり、隣のトンボの真後ろに着地した。すると、後ろにつかれたトンボが、アーいやだ、というように大きな身震い。たった今、意を決して近づいたトンボは弾かれるように引き下がった。それからまた数十分過ぎたが、辺りは静まり返り、そんな不埒な行動を起こす者はいない。私はもはやこの我慢比べを見ていられなかった。(2019.10.16)
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カラスのねぐら

2019年10月14日 20時40分57秒 | ファンタジー
 またしても鉄道事業者の仕業か?
 最近のこと、近所の大型スーパーの駐車場入り口の電線に、えんえんとカラスの行列が並ぶようになった。そこから北へ、直線にしておよそ100mのところに鉄路があって、夏の終わりころから、鉄路の北側にある幅50mあまりの鉄道防風林が、数百mにわたって伐採された。鉄道屋が事業外の利益を上げるため、保有地の有効活用に踏み出したのだ。
 この防風林には多くの野生動物が生息しているのは、周辺住民ならほとんどが知っている。かわいそうなカラスもそう言っている。その目の前で、余所から来たエグザイルどもが何ひとつ説明なく、容赦のない経済性追求の蛮行に及んでいる。そんなことで、巨大な赤字の幾ばくが解消できるというのか。カラスの憤慨と糞害を、誰が受け止め、清掃してくれるのか。(2019.10.14)


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手製本展示会始まる

2019年10月11日 14時19分27秒 | ファンタジー

本日、手製本の展示即売会が札幌の円山で始まりました。

初日から大盛況。私の本も一冊売れました。(2019.10.11)



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スズメ スキスキ

2019年10月07日 22時34分23秒 | ファンタジー

 雀2羽スキスキスキと飛んでいる秋 猫士

 先週5日、札幌行きの用事があり、最寄りの駅(JR)前に差しかかったときだった。けたたましく鳴きかわす2羽の雀が、猛スピードで頭上を飛んだ。その声は、秋の冷たい空にカタカナのスキスキスキと響きわたった。
 騒々しい札駅に到着し、自動改札機にプリペードカードを慎重に通した。消費税が上がった直後なので料金が気になった。すると、440という思いがけない数字が目に飛び込んできた。私は、自動改札機の故障にちがいないと思った。
 しかし、茫然としながら数歩歩くうちに、自分の思考回路が断線したのかもという不安にとりつかれた。10月のたかが2%の消費税改定で、これまでの360円が‥‥‥。2割以上も高い額になっているとは。納得できないまま、駅の運賃表示を見ると、確かにそう書いてあった。
 それにしても、上げ幅の根拠など、客に対していねいな説明の仕方があってしかるべきと考えるのは私一人だけなのか。腹の奥から割り切れないもやもやした怒りのようなものがわいてくる。(2019.10.7)

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カラバッジョの住所

2019年10月04日 14時37分22秒 | ファンタジー
 この絵は、17世紀のイタリアの画家、カラバッジョの「法悦のマグダラのマリア」。一昨日、近所で見た。
 カラバッジョの絵を見ると、彼に多大な影響を及ぼしたとされるレオナルド・ダ・ビンチの絵は実に優雅で美しい。人を見る目が優しい。しかし、カラバッジョから見ると、レオナルドの絵は、人を天使のように美化して没個性に描いたとしか思えなかったろう。
 カラバッジョの絵には、人の生々しい情念がそのまま外部に吹き出てくるような荒々しさがある。教会からの注文で宗教画も多く描いているが、それらの絵には神聖さも敬虔さも感じられない。人はしょせん天使にはなれない、といった醒めた目の彼に、なんで宗教的な題材の絵を依頼したのかわけがわからない。言い伝えによると、彼の私生活は無法者のようだったという。写実と情念の追及のために、あえて無頼の生き方をし、人と争い、殺害にまで及んだ?(私の勝手な想像) 
 こんなことを書いているさ中、同級生から住所変更の報せの電話があった。彼はようやく終の棲家を見つけたようだ。私は自分の住所をどうするか、まだ決めかねている。カラバッジョのように追われる身になってからでは遅い、その前にちゃんとしなければ。(2019.10.4)
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