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黒猫 とのべい の冒険
身近な出来事や感じたことを登載してみました。
投稿映像
2014年10月31日 13時33分15秒
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ファンタジー
ユーチューブに、ロバが荷車を引き、砂漠の真っ只中のまっすぐ延びる道を行く映像が配信された。なんと、その荷車の上には、御者まがいのイヌが格好良く乗っている。よく見ると、荷車には藁の山のようなものがこんもりと積んであり、ヒト一人くらいならその中に入り込めそうな気がするが。
ロバとイヌだけでいったいどこへ? と心配になるが、何だかのんびりしていて、「月の沙漠」のような、もの悲しさはない。誰にも邪魔されないで、二匹が旅を続けられるよう願う。(2014.10.31)
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昨晩の空
2014年10月30日 09時25分58秒
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ファンタジー
昨晩七時ころ、家に入ろうとしたら、クワァクワァという鳥の鳴き交わす声がかすかに聞こえた。上空低くかかっている厚ぼったい雲は、鳥たちの姿をすっかり覆い隠している。雲のずっとかなたの明るいところを、真っ白なV字を広げて駆け抜けていく鳥たちがいるのだ。
夜、九時過ぎころ、家の二階に上がると、遠くの方からまたクゥックゥッというくぐもった鳥たちの声が聞こえた。障子を開けて見上げたが、漆黒の空に彼らの姿の気配さえない。ヒマラヤ山脈を越えて渡る鳥がいるというのだから、高度一万メートルまで上昇すれば、夜空のただ中もなんなく突っ切れるのだ。それにしても、こんな遅い時間に飛ぶのは、急がないと冬の寒さに追いつかれてしまうということなのか。(2014.10.30)
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カジノロワイヤル ド ネコジャン
2014年10月23日 15時02分48秒
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ファンタジー
ヒト国で、今、話題のカジノ新設、賭博解禁の件。
ヒト国では、カジノという賭け事をする店に馴染みはない。賭け事好きは、甲斐性のないぐうたら男の異名とされるほど嫌われている。
一方、近隣のネコジャン国の賭博場には、カジノロワイヤル(賭博場・王室)という由緒正しい看板を掲げる店がある。つまり、賭博と王室は同じくらいの権威とはかなさを持ち合わせているわけだ。もしもヒト国で、「賭博場・天王家」などという看板を掲げた店を作ったりしたら、世間からどれほどのひんしゅくを買うことになるか。
そもそも、ヒト国では長きにわたって、賭博は刑法により取締りの対象になる違法行為とされてきた。例外なのは富くじのほか、競輪、競馬などの駆けっこものだけ。パチンコ、賭け麻雀は常識の範囲内なら目こぼしされるが、ふわふわのソファーにふんぞり返ってサイコロなどの得体の知れない道具を優雅に使うことや、どんどんエスカレートしてヒトの生き死にまで賭けの対象にすることなどは、不道徳きわまりない悪行なのだ。それらの多くを適法とするかつてない重大な刑法改正の必要理由というのが、ただの経済政策とは、何ともお粗末。
肝心の自国の文化と賭博との折り合いについてしっかりとした議論を省略し、賭博場への自国民の入場制限だとか、依存症に陥った者のカウンセリングをどうするかとか、バクチありきの議論ばかり巷を覆い尽くしているのは狡猾な世論誘導と言わざるを得ない。
なかでも賭博を合法化しておきながら、自国民への影響を考慮して入場制限するという案は、ヒト国が法治国家でないことを宣言するようなものだ。それとも賭博場に治外法権を付与しようというのか。いずれにしても、民主主義を掲げるヒト国では、原則的に、どのようなヒトも差別されることなく国民の権利を享受できなければならない。
さらに、たとえ自国民が堕落を免れたとして、外国のネコやオオカミたちを不幸のどん底に落とすのはヒト道からはずれることにならないだろうか。それとも古への維新政府のように、ヒト鳴館を復活して、外国におもねるつもり?(2014.10.23)
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いずれにせよ猫は猫
2014年10月22日 11時01分43秒
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ファンタジー
菱田春草の展覧会に合わせて、テレビで春草の紹介番組が流されている。
その番組を五分間しか見ることができなかったのは残念だった。しかし、日本画で初めて色の濃淡によって絵の奥行きを表現したのは彼なのだということと、とりわけ、彼の絵の中には背景が白地のままのものもあるという説明を聞けたのはラッキーだった。当時、白地の絵を見た画壇の方々はたいそう驚き、ブーイングの渦が巻き起こったというが、春草の先進性を認める師の岡倉天心により敢然と擁護されたため批判は鎮圧された。これについてはネットにも同様の解説がある。私はこの五分間の番組を見ただけで、心の中のつっかえが溶けていくのを感じた。
春草の時代から五十年経ったころ、私は、小学校で白地の絵を提出して、こっぴどく叱られたことを今でも記憶している。どんな絵だったか、風景か動物か母親か、さなえちゃんの顔か、まったく憶えていない。白地の割合がどれくらいだったかも混沌としている。もちろん、断じて春草をまねたのではない。そうしたのは、二、三十センチ角の白い画用紙の一部に空白を残したままではダメだ、ということを私はわからなかったからだろう。
推定その二。わかっていたが、面倒くさくて怠けたのかもしれない、そのために叱られたという見方もある。しかし、実は今でも、私はそのことを理解できているかどうか自信がないから、単に怠惰のゆえではなかったと思われる。
その三。与えられた絵のテーマを描き切ったから。たとえば母親の絵では、母の姿以外に描く必要はないはず。あるいはそのテーマで描きたくなくて、絵を放棄した?
その事件があったときから、私は絵を描くことを自分に禁じた。絵を描く動機というものを喪失したということなのだろう。
それにしても、春草の「黒き猫」を見ていると、もしも描かれた黒猫の緊張の糸が切れたら、うなり声を上げながら、絵から飛び出してくるのではという気がする。柏の古枝の皮はたちどころにぼろぼろにされ、記念すべき高価な絵は鋭い猫の爪で引っ掻き破られて、画壇の人々は腰を抜かしてしまう。(2014.10.22)
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若返りたい?
2014年10月16日 16時40分36秒
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ファンタジー
ネコたちは、ギリギリになるまで老いた姿を見せることはない。彼らの様子に変化があったなら、それこそ瞬く間に終局に至ってしまう。彼らには、そこまで持ちこたえるための、とてつもなく強靱な生命力が備わっているとしか言いようがない。私など、二日酔いや風邪気味というだけで、朝起きられないのに。
ヒトは彼らと違い、年を経るにしたがって老いの色を濃くしていく。どんなに頑張っても若さを維持することはむずかしい。まして生き物である限り、若さを取り戻すことはIPS細胞の助けでもなければ不可能だ。とはいえ、本音は、ハードなメークをしてでも、十歳程度なら若返って、町を歩いたり知人たちから羨望のまなざしを向けられたりしたい。
なかには、限りなく若くなりたい方がいるかもしれないが、三十も四十歳も若くなったら、係累・縁者たちから気味悪がられるのは間違いない。そうなれば、はるか遠くの、誰一人、ネコ一匹もいない土地に移住するしかない。ここにいたくない方にはおすすめか。
私としては、日々、ウォーキング程度の軽微な体力作りに励んで、次の還暦を迎えるまで現在の若さを保ちたいと思っている。なんと強欲な。(2014.10.16)
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ニャンコとして生きる
2014年10月07日 15時31分28秒
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ファンタジー
ニャンコになってみないと、ニャンコの生きている気持ちがわからないのは当然だが、何となくわかるようなところもある。
二十年近く前、冷たい海沿いの町の古い集落に住んでいたころのこと。そこには野良のニャンコがたくさん住んでいて、彼らの大半は、ヒトと持ちつ持たれつの関係を上手に作っていた。その証拠に、名前のついたニャンコたちがかなりいた。
ある年の冬の終わりころ、一階の窓が完全に隠れるほどの大雪が降った。三日目にはヒトの行き来はできるようになったが、野良たちのうち数匹がなかなか姿を現さない。そのとき思ったことは、どんなに親しくても、野良の住処がどこにあるか、正確な位置をヒトは知らないということだった。なので行方不明の野良たちの探索は難航し、一匹たりと見つけ出すことはできなかった。
ニャンコ同士は住処を知っていても不自然なことはない。しかし、決して彼らは仲間の住処に遊びに行って尻尾を捕まえられたりしないし、もちろんどんなに親しいヒトをも自分の住処に案内したりしない。そんなことをしたら、仲間から総スカンを食らうのだ。
彼らは、自分の住処がヒトに見つかりそうになったら、ただちにそれを放棄する。別の町にいたころのこと。そこにも多くの野良ニャンコの姿があった。あるとき、家の土台の空気抜きの穴の縁に、動物の細く短い毛がいっぱい付いていることに気がついた。しばらく監視を続けたのだが、動物がそこを通過して床下に出入りする気配を一度もかぎ取ることができなかった。ニャンコは、優しげなヒトに甘え、ひっくり返って腹を見せたり、食べ物をねだったりするが、自分の住処を見つけられるようなへまはしないのだ。
ニャンコの方が、ヒトより先にこの世に出現し、ヒトよりずっと苦労して生きてきた。いつの間にか姿を見せなくなるのも、ヒトにはない高度に洗練された知恵を持っているからだと思えてならない。そのようなことがあってから、家の床下に潜るような不遜なまねをしないようにしている。(2014.10.7)
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私の代わりに、娘の「はな」の写真を掲載しました。私といえば、齢のせいで昔のことばかり思い出しています。よみがえる記憶がほんとうに消える前に、メモっておきたいというのが、現在の心境です。
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