関取とは、ご存知、相撲の十両以上の力士の呼び名。幕下までの力士を取的(とりてき)とか力士養成員とか言うそうだが、昔の小説など以外ではあまり耳にすることはない。
ところで、せき取 はなとは、関取の はなのことではなく、はなと父さんの席取合戦の話。小さな子どもとネコが遊びに興じているうちに、けんかになることはあるだろうが、ネコと大人のヒトとの間ではそういうことにならないのが普通だ。
だが、この家では、両者が真剣に食卓の席を奪い合っている。断っておくが争っているのは椅子だけで、食卓の食べ物まで取り合いしているのではない。
たびたび争う割りに、暴力事件にまでは発展したとは聞いていない。両者はひとしきり抗争したら、席を半分ずつ痛み分けする。最初からそうすればいいものを、と思うのだが、戦う本能を忘れないため、2人には必要な儀礼なのかもしれない。これが人間界のことなら、何のユーモアも可笑しさも感じられないし、ヒトとヒトとの場合、こんな風に穏便には収まらない。(2017.10.29)