昨日、前川喜平・前文科事務次官が、国家戦略特区への大学獣医学部新設計画をめぐり、内閣府から「総理のご意向」を伝える文書の実在を認めた。間髪を入れず、菅長官は記者会見で、文科省の組織的な天下りあっせんに関与した責任を取り依願退職した前川氏を「地位に恋々としがみついていた」などと強く非難。
確かに前川氏は、歴代の悪習の責任を一人抱え込み、さらに、他省の天下りまで斡旋したかのように非難され、証人喚問を受け辞任した。他省はほんとうに潔白なのか。それはともかく、菅長官が、人の名誉を毀損するこんなコメントを言い放ったのは、いよいよ本丸に火の手が上がるのも近いと見える。
ところで、2013現総理の時代に本格稼働した「内閣人事局」(局長は内閣官房副長官(政務))が、省庁の自主独立を奪う元凶になったのは論を待たないところ。この組織が現内閣の強権発動の根拠になっているとも言えよう。一方、勧奨退職者(定年前)の再就職を斡旋するため、内閣府に設置した「官民人材交流センター」は実はほとんど機能していない。
つまり、内閣は、省庁の幹部人事だけを掌握し、彼らの退職後の行き先を封じてしまった。なので、省庁としては、2013まで堂々とできた再就職斡旋を、引き続きこそこそやるしかなかった、悪いことと知りながら。
この国の現状を見ると、現総理・内閣官房が民間等との癒着をどれだけ深めているか、疑いは泥沼のように深まっている。官僚たちが、言うに言えないそれらの悪事にどれだけ加担させられているか。国の省庁の事務方トップにいた官僚は内心煮えくりかえるものがあるだろう。マスコミは忖度などという言葉をもてあそんで政治家に媚びへつらっているが、国民は物の道理をわきまえている。官僚の中にも、名誉のためには命を惜しまない傾向性の方々がいるのだ。財務省ルートもこれで終わったわけではない。