今年は北海道も暑かったと本州の知人に伝えたら、縄文海進の話題が出たので、昨年の埋文センターの展示会で、この絵を見たことを思い出した。
これは、今から約1万年前から約6千年前ごろまで、石狩湾が北海道中央部の内陸深く入り込んでいたころの古石狩湾の絵。札幌から岩見沢・美唄市、千歳空港付近までの広大な平地はすっぽり海の底。海辺の石狩市役所はもちろん、札幌駅付近も水没していた。そのころの日本周辺は、地球温暖化などの影響で海水面が上昇する「縄文海進」の時代だった。
現在は次のような絵になる。
ところで、縄文時代の人々は南からやって来たと言われている。暖かさに誘われて南から列島に入り、さらに北方へ移動したのだろう。その後の寒冷化によって暮らしにくくなり、南方の故地を懐かしんだろうが、この列島には次々と移住者が押し寄せたので、南進は難しかった。
その時代から数千年経った今、このままのスピードで高温化が進むと、再び身の回りにヒタヒタと海の気配が迫って来ないとも限らないのだ。そのとき、縄文人同様、我々にはもはや帰るところがない。(2021.9.16)