「君子、豹変す」という格言の意味について、誤解されている方がかなり多いのではないだろうか。私もその一人。かっこつけたヤツほど、弱みを握られるとすぐ態度を変える、のだと思っていた。
実は、「偉い人は、自分の誤りに気がついたら、すばやく心を入れ変えて行動する」のが正しい解釈だという。
また、豹変の豹の字は、猫科の移り気な性格を表すのでなく、豹皮の斑点が黒と黄ではっきりしていることから使われたのだという。つまり、ちゃんとした黒や黄色の考えを持っている者を誉めたたえているのだ。
最初に書くべきだったが、なぜこんな古くさい格言を取り上げる気になったかというと、昨晩も、はなの大好きなブラッシングをしていたら、それまでグルグル気持ちよさそうにしていたはなが、突然、「いい加減にして!」と父さんの手に噛みついた。なんという移り気、これを豹変、でなく猫変と言わないでいられようかと思ったからだ。
落ち着いて考えると、はなの移り気は、素直な感情表現そのもの。うらやましい限りだ。それに引き替え、人というのは、猫に似ず、白か黒かはっきりした意志を持たないまま、世の中に起きる想定外でもない出来事に振り回されて、白を黒、黒を黄などと、わけのわからないことばかり言って体面を保とうとする劣った動物だ。(2015.1.29)