心の免疫力~書とことばから

もっと暮らしに書やARTを~
雲のように水のように あっけらかんと自在に生きるヒントを
求めて~ by 沙於里

形臨と意臨

2007-09-03 | 書の話

書道教室では、行書、楷書、仮名などを母が、私は木簡、甲骨文、造像、
隷書、創作等を担当、基本の学習のほかに、それぞれが興味を持った古典を、
一人一人の個性を生かしながら、添削を中心に学習している。

あったかい字が好きな人、で~んとした字が好きな人、きちんとした字が好きな人、
個性はまさに十人十色。また年を重ねるごとに、人は変わらず益々自分が強くなる。
なので、同じ古典を学んでいても、お手本はその人の持ち味が出るように変えて
書いている。筆を変えたり、線の質、墨量、空間の使い方で、表現は無限だ。

臨書には、形臨(けいりん)と意臨(いりん)とがある。
形臨は、できるだけ作者の筆跡、筆意、空間を読み取り、形を真似る学習。
絵画で言うところのデッサン。
意臨は、筆者の気持ちを汲みつつ、自分なりの情緒を加えて表現する学習。
言ってみれば創作。

私はどうも形臨が苦手だ。
もちろん、まずは形臨が大事。そこを通ってから意臨へと向うべきだけど、
木簡を眺めていると、何か匂うのだ。音が聞こえるのだ。語りかけてくるのだ。
そうすると、うれしくなって踊り出したい気持ちのまま臨書するから、
とても形臨にはならない。

でも日々の学習には、まずは形臨。
長沙馬王堆医簡の一節の臨書をしてみた。文字は 「鼻汁 徐抱」
きちんとしながら、伸び伸びとしたところが好き。

教室で木簡を始める時に、最初に取り組む題材。
木簡は筆者によってさまざまな書風があるのも魅力の一つだけど、
これは比較的隷書に近い整った書風なので、初めての方にも書きやすい。

二玄社の中国法書選の「木簡・竹簡・帛書」p.38にあるので、
まずは書いてみてくださいね。
コメント
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