李白の詩
2007-09-28 | 漢詩
兩人對酌山花開 両人対酌すれば 山花開く
一杯一杯復一杯 一杯一杯、また一杯
我醉欲眠卿且去 我酔うて眠らんと欲す 卿(きみ)しばらく去れ
明朝有意抱琴来 明朝意有らば 琴を抱いて来たれ
だいたいの意味はこうだ。
友と二人向かい合って酒壷から酒をくんで飲んでいると、山の花々が開いた。
一杯、一杯、また一杯。
私は酔って眠くなってしまったから、きみはもう帰れ。
明日の朝、気が向いたら琴を抱いてまた来たまえ。
李白は、中国はもとより世界においても、東洋人の詩人の中ではもっとも
ポピュラーな詩人なのではないだろうか。
彼の詩は大きく分けると、花、月、鳥、山といった自然を題材にしたものと、
人生について書かれたものとに分けられる。
李白は、人生が有限であることを愁いていたのに、どこか人生観は明るかった。
酒を愛し、友を大事にし、仙人を慕い、人生を夢想していた。
そんな彼の人柄を感じるこの詩は、どこか人生に哀愁を感じながらも、
また気が向いたら、一緒に飲んで語り合おうという人なつこさと、
実現しなくても絶望したりしないところが、おおらかで微笑ましい。
そして、人生には悲哀はつきものだけど、そんなに捨てたもんじゃないさって
自分に言い聞かせつつ、私たちに語りかけてくれているような気がする。
昨夜の月も、まだまん丸で美しかった。
テレビもいいけど、たまには秋の虫を聞きながら、李白の詩を味わいつつ
一杯また一杯なんてのも、粋かも。