「龍虎」 「大道無門」 「自由」 「李白詩 早発白帝城」
さてさて、お待たせ致しました
今月30日まで開催中の「沙音・佐藤文子書作展」のレポートをば。
会場は鎌倉 円覚寺。JR横須賀線の北鎌倉駅を降りると目の前の階段を上り
総門で拝観料の300円を納めて、正面の山門へ。
そのまま左方面に進み2分程行くと、右手に如意庵の文字が見えてきて、
緩やかな階段を登ったところに、静かな空間があり。
この如意庵、普段は公開されていないそう。
ご本尊は、素朴で童子のような微笑を称え、天上画の真っ青で若々しい龍は、
今にも降りてきそうな臨場感が溢れていて。
その真下に対峙していたのが、最初の画像の「龍虎」。
迫力のある粘った線、生き生きとした表情は、まさに龍虎のごとく。
「大道無門」は案内はがきのそれよりも、やはり実物は更に味わい深く。
「自由」の前では、どうしたらこういう造形になるのやらと、しばし眺め。
「李白の詩」は、大らかな揺らぎの中にも気脈を感じ
そして、文人画も描かれるそうで、水墨画のようなこんな作品も。
右上:「禽來山果香」
ブログをまとめられたファイルを拝見していたら、沙音さんが
「あら、ブログを見てくれた人は初めてよ、うれしいわ」とお声をかけて下さり
沙音さんは徳島県のご出身、還暦を過ぎて尚、更なる飛躍へ勝負をかけて今年の1月、
鎌倉に引越してこられたそうです。
木村知石に師事、ほどなくして独立され、以来一人で己に厳しく精進してこられたと。
二十歳の頃、書は五十歳でようやく芽が出るかどうかってもの、
だったらそれまでは、がむしゃらに勉強をしようと心に決めて、衣食住は五流で済ませ、
書や美術といった知識欲だけは一流のものだけを求めてきた、と。
そんな潔い覚悟を、サバサバっとした口調で語り、
昭和には文化があったけれど、平成にはそれはない、とか
現代の書家や書道会についても、気持ちいいくらいに一刀両断
「誰の書が一番お好きなんですか?」
「もちろん!王義之よ」
「書は見ることも大事、とにかく毎日眺めること。」
会津八一にも惚れこんだ時期があり、30分見ていたら会津八一の書になるくらいだった、と。
会場で待ち合わせた桃太郎さんと、書TENでご一緒させて頂いている中谷氏、越智氏、
伊地知氏と、桃太郎さん、沙音さんのご友人の川崎さんの6人で、焼き鳥屋さんへ。
そこでも沙音さんの思いがもう溢れ出て、スパスパッと熱く激しく語られて
如意庵の3つのある畳の部屋には、満を持してといった存在感のある作品が30点程。
「でも・・文字が書かれている襖をバックに作品・・っていうのは・・」と、図々しくもお伺いしたら
「うん、そうなんだけどね、狭いしお寺だからしかたないのよ」と
正直、ちょっともったいない気もしていたんだけど、沙音さんのその「キッパリ」を
聞いたら、そんなことに気を取られていたことが、ちょっと恥かしくも思えたのでして
でもそんな沙音さんの、清々しいまでの思い切りのよさに、
その後もお構いなしであれこれ質問をば。 ポンポンと弾む会話は心地よく
「普段、誰とも話さない日もあるからね、溜まっていたみたい。
でも、今日はちょっとお酒も手伝って、喋りすぎたわね~ 」と、沙音さん。
来年はニューヨークで、を次なる目標に、心は既に彼方のようでした。
そうそう、沙音さんのブログに面白いお話が。
お時間あったら是非→2010年3月1日
今回の個展作品の数々も、沙音さんのブログでもご覧になれます→木鶏
久々に、「会話」が美味しいひと時でした。
沙音さんは会期中、会場にいらっしゃるそうなので、お時間ありましたら是非
会場等のご案内は→こちらから