小さな演奏家のビブラートも素敵です。
The Sense of Wonder 『不思議を感じる心』から p90の最後の行途中から。
そのビブラートを辿っていくと、薄緑のちいさな生き者に出会います。それには、月の光みたいに、白くて薄っぺらな羽根があります。あるいは、何処か庭の径から、陽気で、リズムのある鳴き声が聴こえてきます。それは、気さくで温もりのある音色で、まるで炉辺でバチバチする火やら、猫がのどをゴロゴロさせるみたいです。懐中電灯で足元を照らせば、黒いオケラが一匹、草場のねぐらに逃げるのが見付かりますよ。
スズムシだって、演奏家。オケラだって、生きている。いのちの塊です。人間もいのち。オケラもいのち。
「あらゆるものは、自然の力や神の意思で生かされている」。まど・みちおさんの言葉です。