脳脊髄液減少症患者のつぶやき、「とりあえず、生きてみよか・・・。」

過去から現在へ、脳脊髄液減少症、体験克服記。

秋の公園で・・・

2006年09月24日 | 闘病の工夫
きのうは晴れて気持ちのいい朝でした。
でも、空気が冷えて、寒く感じ深まる秋を感じます。

きのうは昼間、起きていると苦しい症状があり、
夜になったら、体温調節ができなくなったのか、
寒くて寒くて鳥肌がたってガタガタと震えだし、苦しくなってきて
動けなくなってしまいました。

今までも暑い、寒い、は苦手でしたがこんな症状は起きなかったのですが。
どうも、気温の変化に体が適応できないみたいです。
体の機能を調節する、自律神経って本当に大事な神経だと思います。

やっとの思いで、冬物のフリースパジャマを着て
敷き毛布と掛け毛布にくるまってガタガタ震えながら寝ました。

今日は、こんなわけで、外出はせず、私一人です。
皆、出かけてしまいました。

リハビリしたくても、自宅療養で、病人の自力では
なかなか思うようには行きません。

脳梗塞などの脳疾患は急性期が過ぎると、
保険によるリハビリ入院が認められ、
理学療法士や作業療法士がついて
専門的な手厚いリハビリが受けられるのに、

「脳脊髄液減少症」のリハビリは、まだ手付かずといった感じです。

同じ脳の病気でも、「病気」として認められていないということは
こんなにも社会に医療にも、冷たく突き放されてしまうものなのですね。

一刻も早く、脳脊髄液減少症のリハビリについても
患者や患者の家族まかせにせず、公的な援助がほしいと感じています。

「脳脊髄液減少症」の治療は自費で受けて、
いろんな治療法を、自分で探して自費でためして治しなさい、
リハビリも自宅で自分で勝手にやって!では、あんまりです。

さて、
気分を変えて、
先日、自力でリハビリに行った公園の話の続きです。

車で行ったのですが、正直とても怖かった。
対向車が来ると、
交通事故の心の後遺症か、いまだに無意識にブレーキを踏んでしまいます。

私は信号待ちで停車中に正面衝突されました。
ぶつかる一部始終が目に焼きついています。

怖いながらも、
あまり車の通らない田舎道をノロノロと走っていたのですが、
気がつくと後ろに車が2台。

時速計を見ると、40キロ以下。
このスピードでは、迷惑ですよね.
でも、
脳が速度についていかない感じで、このくらいがやっとでした。

なんとか公園に着き、
持参した杖と飲み物を持って、公園内を歩きだしました。

家の周囲は歩いてリハビリしたくても、半身を引きずって歩く姿は、
近所の人には、あまり見られたくないので歩けませんでした。

人に会うと「どうしたの?」と聞かれ、返答に困るからです。

夏に、短時間なら起きていられるようになって、
家の外に出て歩いた時、案の上近所の方に「どうしたの?」と聞かれ、
「ちょっと。」と言ってごまかしてしまいました。

長期間、家にこもっている私が変に見られてしまいそうで、
かといって「脳脊髄液減少症」を説明しても、
どうせ、わかってくれっこないと思っていたし、
説明する気力もわかなかったからです。

だから、だんだん回復してきて、歩くことがしたくなっても、
家の近所を歩こうと思わなくなりました。

そのうち、夏は暑くて、リハビリをする気持ちも体力もなくなり、
ずっと、部屋にひきこもっていました。

そして、夏が過ぎ、気持ちのいい秋がきて、
また、リハビリに取り組む意欲がわいてきました。

おとといは、その気持ちが頂点に達し、ひとりで出てしまったのです。

平日の公園は、閑散としていました。

老夫婦が仲良くウォーキングをしていました。

杖をついて、半身をひきずりながらゆっくり歩く私を、
何組もの老夫婦が追い越していきました。
私より、お年寄りのほうが、歩きが元気で速いのです。

何組かの老夫婦が私を追い越して森にさしかかった時、
頭上から、「コンコン」と木をつつくような音がしました。

その音に「おや?」と老夫婦の
ご婦人が足を止め、頭上を見上げました。
「なんだろう?上から音がしたわよね?」と独り言のように言いました。

私は「キツツキじゃないですか?」と聞かれもしないのに答えました。

「そうかしらね。」と老婦人。

その時、また、「コンコン、コンコン」と鳥が木をつつくような音がしました。

キツツキだったのか真相はわかりませんが、
老紳士が
「鳥さん、何をしてるのって聞いてみたら?」と
老婦人に言いました。

その言葉に、なんだか「ほんわか」とした気持ちになりました。

私は、体は半身がシビレてきて、首がおかしいので
見上げるのも少しつらかったのですが、
他人とのひとときは久しぶりで、とてもうれしかった。

老夫婦と私と、3人が秋の静かな森で上を見上げていました。

濃いサングラスをかけ、
杖を持って、半身を引きずって歩く私に
老夫婦は好奇の目もなく、そのことに何も触れず
一緒に上を見上げていました。

まだ紅葉には早い、緑の葉の間から、
青い秋空が見えました。

ほんのわずかな時間でした。

それだけのことですが、うれしかった。

障害のある人もない人も、「共に生きる社会」とは、
「こんな居心地のいい空気が満たされた社会をいうのかな?」と
ふと思いました。

その後、老夫婦と別れ、一人杖歩行して進んでいくと

散歩コースの中ほどで、
会いたかった「きんもくせいの木たち」に会いました。

森のように何本もの、きんもくせいの木たちは
いっせいに、
小さな十字の形の、オレンジ色の花びらをつけ、
甘く高貴な香りを、ふんわりと周囲一面に放っていました。

急に、昔、学び舎の校庭に植えられていた
きんもくせいの古木を思い出し、
同時に10代の頃の学校祭の光景が瞼に浮かびました。

季節の香りは脳に刺激を与え、回想法の効果があるようです。

深呼吸をして、胸いっぱいにきんもくせいの香りを吸いました。

季節の香りだけでなく、ささやかでも人とのふれあい、
秋の景色、自然の生き物たちの姿は、
素敵な心身のリハビリの時間を私に与えてくれました。

何度も何度も思いっきり、きんもくせいの香りを吸ってから
満足して無事帰ってきました。

自分で公園まで行けた。
それも、調子のいい日の午前中のわずかな時間。
行って、歩いて、帰って約1時間の外出。
たったそれだけのことですが、

今年の春ごろ、車椅子のお世話になっていた私には、
大きな変化と回復です。

このブログを書き始めた8月は、
体調もまだまだで、病気を克服していないのに
タイトルに「克服記」と書いたのは
「克服してやる。!」という思いをこめたからです。

あれから、1ヶ月半がすぎて、ゆっくりゆっくり
一進一退しながらも、さらに回復してきた気がします。

これから先、どこまで克服できるのかわかりませんが、
希望だけは持ち続けたいと思っています。

コメント (2)
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