R 02.11.10 菊 3 NO.2841
坂口安吾が書いているんです。 私とて、銀座の散歩の人波の中に、
もし天皇とすれ違う時があるなら、私はお辞儀などしないであろう
けれども、道を譲ってあげるであろう。
天皇家というものが人間として、日本人から受ける尊敬は、それが
限度であり、また、この限度が、元来、尊敬というもののすべての
限度ではないか。 地に額ずくのは気違い沙汰だ。
天皇は目下、気違い共の人気を博し歓呼の嵐を受けている。
道義は混乱するはずだ。 人間を尊敬するのに地に額ずくようなことは、
気違い共だから、正しい理論は失われ、頑迷固陋な片意地と不自然な人
情に身もだえて、電車は殺気だつ。 一足外に出るとみんな死にもの
狂いの体たらくで、悲しいありさまだ。
・・・続く。