前回、シャルボネ(パリ)の本店がどんなに、静かで美しい空間かをお話いたしました。それに対して、日本の美しいお店として、鳩居堂が似ているともお話をしました。
しかし、美しさの質が違うのです。鳩居堂は金箔張りの舞扇などが壁のショーウィンドーにたくさん飾られております。その一つ一つは、誠に美しい。しかし、色が氾濫しすぎていて、それが私のように特別に美にこだわるものには、過剰と思えるのです。茶道をなさっている方にはお分かりだと思うのですが、過剰はまた、真実の美とはならないのです。いや、ハイレベルを求めすぎるかもしれませんが、この際はひとつひとうの商品がどうのこうのというよりも、店内の展示の側面で言っておりますので、そのことは鳩居堂さんも、ご理解をくださいませ。
日本のお店で、今、あのシャルボネの静けさに匹敵をするものがあるとすれば、銀座の、東側の裏通りに展開する、ごくごく、上等な和服店が、当たるかなあ? 木のドアがしっかりと閉まっていて、一見のお客には入りにくい雰囲気のある呉服店。これらの中に入ったときの静けさと、うつくしさったら有りません。中には襦袢だけを、専門にしているお店もあり、襦袢とは着物本体より、単純な色を使うので、それが、グラデーションを構成しながら、展示をしてあるのを見たりすると、「いやあ、シャッポを脱ぎます」と心の中でうなりたくなります。
でね。普通の人が入れる大衆的なお店で、ここは抜群に展示マナーが美しいという場所を、今日はご紹介を致しましょう。実は「あなたが鎌倉へいらっしゃるのなら、あそこは観光名所のひとつですよ」とおせっかいをしたくなるぐらいのきれいなお店がありました。鎌倉・スワニーの(旧)木綿館です。
今建て替えて新館に移動をしたらしくて、雰囲気が変ってしまったかもしれませんが、経営者が同じならコンセプトは残っているはずで、ともかく、この春までの美しい情景を描写してみましょう。
今、日本の主婦の間で最もはやっている手芸はビーズ手芸です。でも、一昔前まではパッチワークでした。ターシャ・テューダーのような人は、ご自分が貯めた生地で、パッチワークをするのだと思いますが、日本で、特に初心者の人は、買った新しい布を使います。先生が教えてくださる模様が同じでも、生地の選び方で全く違ったものが出来ます。そこが面白いので、中級者は生地を探して歩くこととなります。
上級者は、古い和服地を利用したりするので、また違ったお店を渉猟することとなりますが、初心者および中級者は木綿を捜し歩くこととなります。
その木綿生地の収集と展示の美しさに置いて、鎌倉のスワニーほどのお店には、今まで遭遇した事がありません。資金力があるのだと思います。同じブルーでも、花柄、格子、縞、無地と、それぞれ、濃度や混合された色の違いで、何十種類あるか、ちょっと、見回しても数え切れないほどで、それが、お店一つ全体を、生地の種類ではなく、色の統一感でもって、グラデーション形成されている展示なのです。
しかもフローリングの床で、小さな窓はまるで、『赤毛のアン』の世界です。以前はプチホテルだったそうです。私は歩いて20分で行かれるくせに、新館にはまだ行った事が無いのですが、古い木綿館は、それこそ、主婦の城でした。その中で主婦たちは夢を見たのです。お店が繁盛するということは店主や経営者が、お金儲けだけではなく、主義主張を持つことが大切だと思います。スワニーの主人は『美とは何かを知っている』それは、確かです。
最後になりました。今日の画像は大船の県立植物園にある、ハンカチの木です。苞がまるで、ハンカチが下がっているように見える木なのです。育てるのが大変な木で、これを、自宅に咲かせている人は、自慢にしていますが、それも道理と言う珍しい花です。咲くのは初夏ですけれど。
2008年10月20日 川崎 千恵子
しかし、美しさの質が違うのです。鳩居堂は金箔張りの舞扇などが壁のショーウィンドーにたくさん飾られております。その一つ一つは、誠に美しい。しかし、色が氾濫しすぎていて、それが私のように特別に美にこだわるものには、過剰と思えるのです。茶道をなさっている方にはお分かりだと思うのですが、過剰はまた、真実の美とはならないのです。いや、ハイレベルを求めすぎるかもしれませんが、この際はひとつひとうの商品がどうのこうのというよりも、店内の展示の側面で言っておりますので、そのことは鳩居堂さんも、ご理解をくださいませ。
日本のお店で、今、あのシャルボネの静けさに匹敵をするものがあるとすれば、銀座の、東側の裏通りに展開する、ごくごく、上等な和服店が、当たるかなあ? 木のドアがしっかりと閉まっていて、一見のお客には入りにくい雰囲気のある呉服店。これらの中に入ったときの静けさと、うつくしさったら有りません。中には襦袢だけを、専門にしているお店もあり、襦袢とは着物本体より、単純な色を使うので、それが、グラデーションを構成しながら、展示をしてあるのを見たりすると、「いやあ、シャッポを脱ぎます」と心の中でうなりたくなります。
でね。普通の人が入れる大衆的なお店で、ここは抜群に展示マナーが美しいという場所を、今日はご紹介を致しましょう。実は「あなたが鎌倉へいらっしゃるのなら、あそこは観光名所のひとつですよ」とおせっかいをしたくなるぐらいのきれいなお店がありました。鎌倉・スワニーの(旧)木綿館です。
今建て替えて新館に移動をしたらしくて、雰囲気が変ってしまったかもしれませんが、経営者が同じならコンセプトは残っているはずで、ともかく、この春までの美しい情景を描写してみましょう。
今、日本の主婦の間で最もはやっている手芸はビーズ手芸です。でも、一昔前まではパッチワークでした。ターシャ・テューダーのような人は、ご自分が貯めた生地で、パッチワークをするのだと思いますが、日本で、特に初心者の人は、買った新しい布を使います。先生が教えてくださる模様が同じでも、生地の選び方で全く違ったものが出来ます。そこが面白いので、中級者は生地を探して歩くこととなります。
上級者は、古い和服地を利用したりするので、また違ったお店を渉猟することとなりますが、初心者および中級者は木綿を捜し歩くこととなります。
その木綿生地の収集と展示の美しさに置いて、鎌倉のスワニーほどのお店には、今まで遭遇した事がありません。資金力があるのだと思います。同じブルーでも、花柄、格子、縞、無地と、それぞれ、濃度や混合された色の違いで、何十種類あるか、ちょっと、見回しても数え切れないほどで、それが、お店一つ全体を、生地の種類ではなく、色の統一感でもって、グラデーション形成されている展示なのです。
しかもフローリングの床で、小さな窓はまるで、『赤毛のアン』の世界です。以前はプチホテルだったそうです。私は歩いて20分で行かれるくせに、新館にはまだ行った事が無いのですが、古い木綿館は、それこそ、主婦の城でした。その中で主婦たちは夢を見たのです。お店が繁盛するということは店主や経営者が、お金儲けだけではなく、主義主張を持つことが大切だと思います。スワニーの主人は『美とは何かを知っている』それは、確かです。
最後になりました。今日の画像は大船の県立植物園にある、ハンカチの木です。苞がまるで、ハンカチが下がっているように見える木なのです。育てるのが大変な木で、これを、自宅に咲かせている人は、自慢にしていますが、それも道理と言う珍しい花です。咲くのは初夏ですけれど。
2008年10月20日 川崎 千恵子