私が住んでいたサン・ポールの隣の駅に、ノートルダム寺院があります。その北側にベー・アッシュ・ヴェーと言うデパートがあります。地下鉄内に、BHVと広告がよく出ていて、最初はどう読むのか判らなくて、何のお店かも知らなかったのですが、滞在の最後の方で、それが日本で言うデパート+東急ハンズみたいな物だと知りました。
そこでも、心打つ経験がいろいろあるのですが、今日は叙情的な部分は一切抜きにして、ただ、日本との比較として、売っているドアーノブの種類の多さに驚いた話をしましょう。幅が1.3メートル、高さが2.3メートルぐらいの壁に、ドアーノブだけが、びっしりと刺さっているのです。
日本のドアーによく使っている丸いものもあるのですが、20センチぐらいの長いものもあります。そのデザインですが、いわゆる北欧調のシンプルなものもあれば、ロココ調で、べたべた彫銀が施されているものもあります。木で出来ているものもあります。
それは地下一階においてあるのですが、側にある釘類とか、ボルトの類だって、種類の多いこと、多いこと、すごいのですが、ドアーノブの種類の多さには本当に驚きました。そして、パリの人たちがどれほど、個性を重んじるかをも知ったのです。
日本ですと、ドアーのデザインそのものも流行があります。昭和の中期までは木のドアーに平行四辺形の窓があるもの、昭和の末ごろまでは木のドアーで格子が浮かんでいるもの。そのあとでは、鉄のドアーで、ガラスが縦横に10枚ぐらい入っているもの。最近では、そのガラスの桟が目立たない形式のもの。等々。それに合わせてドアーノブもほとんどモダンタイプが多くて、ロココ調のドアーノブを使っているおうちなど見たこともありません。いけばなの仮屋崎邸なら、ロココ調のドアーノブがありそうですが、それは、それこそ、フランスからの輸入物でしょう。
~~~~~~~~~
私は40年前に自分の家を今とは別の場所に建てて、その後、引越しを目的に、中古の家を買い、そこへ建て増しをしたので、二回家を作る経験をしたので、こういう部品には興味があります。
が、パリでそれを見たときに、日本の東急ハンズに、これだけの数のドアーノブがおいてあるだろうかと、いぶかしく思ったのです。ベー・アッシュ・ヴェーに比べると、この大工道具部分の店内の配置は、東急ハンズの方が圧倒的にきれいで贅沢です。実は地下一階しかないベーアッシュヴェーに比べれば、東急ハンズは、3フロアーぐらいに分けて、同じ大工道具関連分野の商品を並べているでしょう。店員の割合も多くて、親切に教えてもらえます。
しかし、この間新宿に、水準器を買いに行って、あれと思ったのは、小さいサイズで、角度が出るものが売っていなかったことなのです。ものすごく高いものなら、角度が出るものもあったでしょうが、2000円前後の簡便なもので、角度が出るものが、昔は置いてあったはずで、昔は買ったのです。が、それが、我が家内で、どこかへ行方不明になったので、もう一回買おうと思って行ったら、その値段内では無かった。まあ、日本の物価そのものが上がったので、東急ハンズの罪ではないかもしれませんが・・・・・
東急ハンズって、14年ぐらい前の渋谷店だけがあったころは、成功したビジネスモデルとして、本がたくさん出るほど、素敵なお店だったのです。でも、最近、品ぞろえが、その大人気時代に比べると少ないなと感じるのです。競合する西武系のロフトとか、下町の東急ハンズと言われる浅草のシモジマとか、湯沢屋とか、世界堂とか、郊外型、安売り、Do it Yourself 店が多く出来て、売り上げが少なくなったとは想像が出来ます。
そうですね。趣味の分野での材料を売るお店は、本当に増えたのです。
だけど、東急ハンズは、もっと質素にして、店舗数を減らし、店員さんも少なくてよくて、また、展示スペースも圧縮して経費を削減し、その代わり、商品の品揃えを、増やしたほうが、また、人気が出ると、私は、思うのです。今では中途半端です。店員さんたちの誇りだけ満たすお店となってしまっています。
『店舗の規模が大きいのに、品揃えが少ない』と、あの華麗なベー・アッシュ・ヴェーのドアーノブの展示場所を思い出すたびに感じます。そして、付け加えれば水道の蛇口の類とか、シャワーのノズルとかも、デザインが豊富極まりなくたくさんあるのです。
あのね。偉そうなことを言って申し訳ないのですが、日本ってどんどん、変更するでしょう。ちょっとでも売り上げが落ちると、経営が縮小傾向になったり、ちょっとでも成功方向だと見ると、店舗数・拡大主義になったり。
でも、そのベー・アッシュ・ヴェーでもそのほかでも、パリって進化が緩やかなのですよね。それで、なんとなく、信用とか、伝統が築き上げられている。・・・・・ような感じがします。
まあ、ドアーノブ一つ(いや、一つではなく+カランとかも含めて)で、そんな事を考えましたよ。
では、2008年10月23日 川崎 千恵子
そこでも、心打つ経験がいろいろあるのですが、今日は叙情的な部分は一切抜きにして、ただ、日本との比較として、売っているドアーノブの種類の多さに驚いた話をしましょう。幅が1.3メートル、高さが2.3メートルぐらいの壁に、ドアーノブだけが、びっしりと刺さっているのです。
日本のドアーによく使っている丸いものもあるのですが、20センチぐらいの長いものもあります。そのデザインですが、いわゆる北欧調のシンプルなものもあれば、ロココ調で、べたべた彫銀が施されているものもあります。木で出来ているものもあります。
それは地下一階においてあるのですが、側にある釘類とか、ボルトの類だって、種類の多いこと、多いこと、すごいのですが、ドアーノブの種類の多さには本当に驚きました。そして、パリの人たちがどれほど、個性を重んじるかをも知ったのです。
日本ですと、ドアーのデザインそのものも流行があります。昭和の中期までは木のドアーに平行四辺形の窓があるもの、昭和の末ごろまでは木のドアーで格子が浮かんでいるもの。そのあとでは、鉄のドアーで、ガラスが縦横に10枚ぐらい入っているもの。最近では、そのガラスの桟が目立たない形式のもの。等々。それに合わせてドアーノブもほとんどモダンタイプが多くて、ロココ調のドアーノブを使っているおうちなど見たこともありません。いけばなの仮屋崎邸なら、ロココ調のドアーノブがありそうですが、それは、それこそ、フランスからの輸入物でしょう。
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私は40年前に自分の家を今とは別の場所に建てて、その後、引越しを目的に、中古の家を買い、そこへ建て増しをしたので、二回家を作る経験をしたので、こういう部品には興味があります。
が、パリでそれを見たときに、日本の東急ハンズに、これだけの数のドアーノブがおいてあるだろうかと、いぶかしく思ったのです。ベー・アッシュ・ヴェーに比べると、この大工道具部分の店内の配置は、東急ハンズの方が圧倒的にきれいで贅沢です。実は地下一階しかないベーアッシュヴェーに比べれば、東急ハンズは、3フロアーぐらいに分けて、同じ大工道具関連分野の商品を並べているでしょう。店員の割合も多くて、親切に教えてもらえます。
しかし、この間新宿に、水準器を買いに行って、あれと思ったのは、小さいサイズで、角度が出るものが売っていなかったことなのです。ものすごく高いものなら、角度が出るものもあったでしょうが、2000円前後の簡便なもので、角度が出るものが、昔は置いてあったはずで、昔は買ったのです。が、それが、我が家内で、どこかへ行方不明になったので、もう一回買おうと思って行ったら、その値段内では無かった。まあ、日本の物価そのものが上がったので、東急ハンズの罪ではないかもしれませんが・・・・・
東急ハンズって、14年ぐらい前の渋谷店だけがあったころは、成功したビジネスモデルとして、本がたくさん出るほど、素敵なお店だったのです。でも、最近、品ぞろえが、その大人気時代に比べると少ないなと感じるのです。競合する西武系のロフトとか、下町の東急ハンズと言われる浅草のシモジマとか、湯沢屋とか、世界堂とか、郊外型、安売り、Do it Yourself 店が多く出来て、売り上げが少なくなったとは想像が出来ます。
そうですね。趣味の分野での材料を売るお店は、本当に増えたのです。
だけど、東急ハンズは、もっと質素にして、店舗数を減らし、店員さんも少なくてよくて、また、展示スペースも圧縮して経費を削減し、その代わり、商品の品揃えを、増やしたほうが、また、人気が出ると、私は、思うのです。今では中途半端です。店員さんたちの誇りだけ満たすお店となってしまっています。
『店舗の規模が大きいのに、品揃えが少ない』と、あの華麗なベー・アッシュ・ヴェーのドアーノブの展示場所を思い出すたびに感じます。そして、付け加えれば水道の蛇口の類とか、シャワーのノズルとかも、デザインが豊富極まりなくたくさんあるのです。
あのね。偉そうなことを言って申し訳ないのですが、日本ってどんどん、変更するでしょう。ちょっとでも売り上げが落ちると、経営が縮小傾向になったり、ちょっとでも成功方向だと見ると、店舗数・拡大主義になったり。
でも、そのベー・アッシュ・ヴェーでもそのほかでも、パリって進化が緩やかなのですよね。それで、なんとなく、信用とか、伝統が築き上げられている。・・・・・ような感じがします。
まあ、ドアーノブ一つ(いや、一つではなく+カランとかも含めて)で、そんな事を考えましたよ。
では、2008年10月23日 川崎 千恵子