銀座のうぐいすから

幸せに暮らす為には、何をどうしたら良い?を追求するのがここの目的です。それも具体的な事実を通じ下世話な言葉を使って表し、

ボーヴォワールと、NHK朝ドラ『つばさ』の09-9-10日

2009-09-10 21:50:26 | Weblog
 シモーヌ・ド・ボーヴォワールは美しい人です。フランスでは、日本と違って、美しさの基準に若さは重要ではないそうですから、ボーヴォワールなどは最上級の女性でありましょう。グーグルの検索で、今日はたまたま、セーヌ川に彼女の名前を冠した新しい橋が掛かったというニュースさえ知りました。

 我が家で、テレビを買った1955年以降、ボーヴォワールは動く映像として、画面に現れました。細身で、きりっとして、知的で繊細で・・・・・しかし、幸せそうには見えませんでした。それは、サルトルとの関係が、実質的には、彼女に負担になっていて、サルトルが、利点を独り占めにしているような直感を得たからです。

 もちろん、ボーヴォワールにも利点があったでしょう。仕事を持つ女性にとって、時間が自由につかえることは大切で、それには、二人の結婚の形の方が、自由度が高いからです。それに、文化人のサロンの中で生きていく場合にも、ボーヴォワールにとって、一種の防衛柵と、サルトルがなってくれていた時期もあるでしょう。

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 ところで、Wikipedia に下記の記録があります。この数行はそこからの全くの引用です。

アリス・シュヴァルツァーによるインタビュー集『ボーヴォワールは語る-「第二の性」その後』が出版され、その中で「子供を持たなかった事を後悔していませんか?」という質問を受けて、ボーヴォワールは「全然!私の知っている親子関係、ことに母娘関係ときたら、それはそれはすさまじいですよ。私はその逆で、そんな関係を持たずにすんで、ほんとうにありがたいわ。」と答えており、その人間らしい率直な人柄が伝えられている。

1986年、パリで没。遺体はサルトル同様、パリのモンパルナス墓地に埋葬されている。

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 私は、このインタビューアーの質問をこう分析します。私が今感じているように、インタビューアーも、当時にすでに、ボーヴォワールが、無理しているように感じていたのではないでしょうか? 本当の質問は「あなたはサルトルと一生を一緒に過して後悔をしていませんか?」だったような気がします。

 しかし、当時の言論界の御大であったサルトルを少しでも、否定的に捕らえる事ができず、暗喩的と言うか、間接的に、「あなたは、後悔をしていることはないのですか」と問いかけたくて、この『子ども如何』と言う質問が出てきたような気がします。つまり、インタビューアーも同じ業界の人なのです。同じ業界で生きていく限り、自分を守る必要もある。

 でね、結局問題なのは、<<<ボーヴォワールが、無理をしているように見えて、どうも幸せではないように見える>>>のは、ちょっと、感性の強い人には共通する判断だったのだと私は考えるのです。

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 でもね、ボーヴォワールが幸せであったかどうかは、彼女自身は何も語っていないので、何が真相だか、分からないわけです。だから、その主題から変換して、彼女のその言葉、から、敷衍を新たに始めたいと思います。

 つまり、母娘関係の難しさです。そちらへ移行させてください。それを書こうと文案を練っていた最中の、09-9-10日朝、NHKの『つばさ』で相当濃密な場面が放映されました。

 母、娘間の葛藤の解消、そして、昇華の場面です。脚本のできはすばらしく、また、この場面・主演の吉行和子さんのすばらしさも出ていました。

 以前に申したように、吉行和子さんは、不器用と言うか、役に入り込まない女優さんで、常に素の自分がでるひとです。それなのに、今回だけは、いろいろ意固地なな所もある、つばさの祖母を、圧倒的なリアルさで演じています。脚本も良いが、彼女自身も素晴しい演技です。入魂の演技とはまさにこのことなのでしょう。彼女自身、一生で、一番良い役としてこれに出会ったと仰っているようです。この役に出会ったことを感謝されているようです。その感謝がまた、素晴しい演技を生んでいます。
 
 特に吉行和子さんが、ご自分自身の家族を作らなかった人です。子どももいない、孫もいない。だからこそ、この役が不思議な魅力を彼女から引き出しています。そして、その結果、家族のあることのすばらしさ、それが平凡な幸せの典型である事を示しています。

 もちろん、これは、フィクションです。そして、つばさの家族は、従来のNHK朝ドラでは考えられないほど、いろいろな問題を過去に抱えた一家です。決して単純な意味で、ラッキーだったりハッピーだったりする家族でもない。

 それでも、長い間抱えていた葛藤が終わったときに美しさと安堵感を見事に表出しています。人間が普通に生きるという事の典型を示しえています。

 偶然の一致でした。たまたま、ボーヴォワールの不全感を問題にしようとしていたら、ドラマとはいえ、その欠落部分を補うお話とであったのです。

 驚きましたし、さまざまな事を考えさせられました。涙も出ました。普通、『つばさ』で、泣かせられるのは土曜日のはずです。しかも土曜日の、最後の三分間ぐらいです。しかし、今日(09-9-10)は始まって、7分目ではもう泣かされてしまいました。

 フィクションでありながら、ある種のリアリティがあって、これを制作しているスタッフとキャストの皆さんを尊敬しています。こころから。

 ところで、あしたこそ、シモーヌ・ヴェイユについて語りましょう。

  09-9-10 夜、

ところで、猫がまだ、カメラに慣れてくれず、左の目はカメラを見ていますが、右目はやはりそらしています。しかし、夜撮っているので、迫力がある大きな瞳になっています。

 この写真はカメラマンとしては、初心者の私と、素人モデルの我が家の猫とのコンビとしては、できの良いほうなので、NHK朝ドラつばさへのオマージュとして、特に取って置きのものとして、捧げるつもりで、載せました。本文と関係がありませんし、犬派には申し訳ない迫力ある写真です。狩をする動物である猫の一種の獰猛さがでていますから、怖いでしょう?。

(ここで、小さなお断りですが、昨晩より、二時間早く、この更新をしています。いつも、深夜に開いてくださる方は、良かったら、下もご覧頂きたく。09-9-10           雨宮舜(川崎 千恵子)
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二人のシモーヌ(ヴェイユと、ボーヴォワール)・・・・・1

2009-09-10 00:11:09 | Weblog
 昨日深酔いをさせられて、しかも放り出されてしまった若い女性について書きました。一番強く感じたのは、断る力の少なさと言うか、小ささです。そこに大問題がある。だけど、彼女を責めているわけではありません。私はたまたま誰にも誘われないので、深酔いはしないけれど、他の側面で断る力が弱いとは思っています。

 だから、他の女性が、断る力が少なくても、それはありうる話だと思っています。

 この力ですが、どうして少ないかの原因の一つに、社会が女性に求めているパターンがあって、その一つの、『可愛いい』ということに、重要な価値が置かれているからでもありましょう。ただ、それだけではなく、親子関係も重要ですが、・・・・・

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 それを書き表した本として、私のように、1960年代(昭和三十年代)に学生だった人間には、シモーヌ・ド・ボーヴォワールの『第二の性」は非常に重要な書物でした。

 そして、ボーヴォワール自身も社会的には大きな存在でした。

 ただ、私は、それを読んで、45年以上経っているので、さきほど、WIKIPEDIAで復習をしたのです。すると、驚いた事には、シモーヌ・ヴェイユ・・・・・・・・・・『重力と恩寵』他の著作があり、純粋な性格で、労働者階級に混じって働いたり反戦運動にミを挺したことで有名、34歳で、恋愛も結婚もせず?、早世した)・・・・・・・・・・の方が項目が多く、しかも書いてある事が長いのです。

 私は昔から、ボーヴォワールよりはヴェイユが好きでしたが、この点に関して明日もっと詳しく書かせてくださいませ。

 今日は出かける前にいえの掃除を熱心にしたうえに、外でもしんどく・・・・・それは本を書評献呈他で、差し上げているのですが、これって個展をするのと、同じくらい、つかれる事なのです。簡単にいっちゃうと、自分を打ち出しアッピールし、押し出し、押し付ける事なので、それが疲労困憊するのです。若ければ乗りに乗っちゃうという形で、別にどうって言うことも無いのだけれど、分別のある年頃ですからね。だから疲れちゃいます。

 だけど、6冊目の出版後、まだ、三週間目ですが、すでに、好評が集まり始めました。それは、嬉しいことです。

 尽くせば尽くすほど、報われるという事を知ります。それも嬉しいです。誰か、固有名詞を持つ、明瞭な他人に、尽くすわけではないが、創作と言うこと自体が、天に向かって尽くす事だと感じています。だからです。
 

 ただ、その自分を打ち出すという、しんどい、しんどい事をやって、しかも、夜中に帰ってきたので、これだけの文章でお許しくださいませ。

 二人のシモーヌと題したのは、なぜか、そして、なぜ、ヴェイユの方がすきなのかは、明日書きます。では、09-9-9日  雨宮 舜(川崎 千恵子)
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