おにぎり2個の里みち歩き 農山漁村の今昔物語

おにぎりを2個持って農村・山村・漁村を歩き、撮り、聞き、調べて紹介。身辺事象もとりあげます。写真・文章等の無断転載禁止

タブネ  川 沼 水田 などで 使われた舟 < 農村 の 水 21 >

2011年05月10日 03時01分50秒 | 農村の水

写真1 作業舎に吊るされたタブネ(ヨシムグリ)。長さ(舟首~舟尾)5間(9m)、最大巾1.04m。 

写真2 作業舎に吊るされたタブネ(写真1と同じ)。写真左の建屋はジンギョウ(水塚)


人気ブログランキングへ ←ブログランキングに登録しています。もし、よろしければ、左のバナーをクリックしてください。

 低湿地や湛水・水害常襲地に住む人たちは、命を守るために、田畑など財産を守るために、農作業をするために知恵を出し合い、育んできた。その一つに舟がある。ここでは、埼玉県吉川市域の舟を紹介する。
 当地は、江戸川と中川に挟まれた南北に長い地域で、河川の恩恵をうけ、他方で水害に悩まされた。
 当地の舟は、稲作期に川や沼に浮かべられ、大雨後の冠水田での舟上からの稲刈り(舟刈りと呼ばれた。)、水田往来時の農具や肥料、人などの運搬、刈取り稲の宅地内干し場(ノロシ場と呼ばれた。)への運搬などに使われた。稲作期以外は作業小屋などに吊された(写真1・2)。
 舟はタブネ(田舟)と呼ばれ、ヨシムグリ(葦潜り)とヒラブネ(平舟)に分けられる。ヨシムグリは、舟首(舳先)が1本の角材でできた舟。ヒラブネは、アゲフネのように舟首が数枚の板を張り合わされた幅広の舟。
 ヨシムグリは舟首(舳先)が1本の丈夫な角材ゆえ、水辺のヨシ(葦)やマコモを舟首で掻き分けて潜るように進めた。ヒラブネは、舟首(舳先)が幅広で水辺のヨシやマコモの中を進むのには不向きだが、舟首が広く、物の運搬や作業に好都合。
 謝辞:ご丁寧に、細部にわたりご教示くださったT氏に感謝致します。
 引用・参考文献等:『吉川市史 民俗編』117頁・133-134頁、吉川市、平成22年。当ブログ「農山漁村の今昔物語 アゲフネ(揚舟)、用途は多様だった <農村の水17>」2011年4月25日紹介
 執筆・撮影者:有馬洋太郎 撮影年月日:2006年6月24日 撮影地:埼玉県吉川市小松川、T氏宅
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする