アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

アケビ、ミツバアケビ、ゴヨウアケビ(再)

2021-04-21 08:33:14 | みんなの花図鑑
「いささか旧聞に属しますが」シリーズ、第2回?
3月下旬から4月上旬に撮影した 3種類のアケビについて。


アケビ

えっ、これは アケビ ではないでしょ?!
だって アケビと言ったら、花の色はもっと乳白色に近いんじゃないの??

そうです、一番多いのは もっと白っぽいものですよね。
でも、こういう色をしたのもアケビにあるんです。
(たとえば、福原のページ「6-1-4. 雄しべや雌しべがない花もある」の下のほうにきれいな図版があります)

花は花として、一緒に写っている葉のほうを見ておいてください。
アケビの葉は このように 5枚一組です。
同じように 5枚一組のアケビには (後述する)ゴヨウアケビ があります。(ちがいは後述します)




アケビの仲間は 雌雄異花です。一つの つるに 雌花と雄花が咲きます。
そして、上の2枚に出ているのが 雌花 です。
色こそ違え バナナの房みたいなのが めしべの花柱で、その先に カタツムリの目みたいに 潤んでいるところが 花粉を受粉する柱頭になります。
粘着力が強いらしく、ヨブが捕まっています。




上のほうに、ミカンの皮をむいたような花が集まって咲いています。これが アケビの雄花です。




アケビの仲間には (虫を呼ぶ必要がないから)花弁というものがなく、花弁のように見える傘は 萼片です。




見てのとおりですが、雄花は 一か所から 放射状に花が咲きます。




ミツバアケビ

ミツバアケビの 雌花です。色はこのように赤紫のものがほとんどです。



これも同じ。上のほうに 葉が写っています。



ミツバアケビの葉は このように 3枚一組です。
そして葉の縁に ギザギザ があります。



雌雄の花の付き方の典型です。
太い花柄の上のほうに 雌花がひとつ付き、その下に 雄花が集団で咲きます。
これも なるべく自家受粉しない仕組みなのかな?




雌花がありませんが、雄花と 3小葉の葉。これがミツバアケビです。





ゴヨウアケビ

ゴヨウアケビの雌花です。
花だけでは、これまでのアケビやミツバアケビとのちがいは見つけにくいです。







ごちゃごちゃしてますが、花の付き方は 基本的に 一つの花柄に 雌花が上、雄花群が下の関係で付いているはずです。



雄花です。(となりは 藤の花のつぼみ)



ゴヨウアケビは アケビ と ミツバアケビの雑種なんです。




そのため、ゴヨウアケビの花や葉には 親のどちらかの形質が反映されています。
ゴヨウアケビの「ゴヨウ」は 葉が 5小葉(5枚一組)であるところから来ています。
アケビも 5葉でしたから、5葉であるのは アケビの形質を受け継いだものと思われます。
ところが、葉の縁を見ると(すべてではないけれど)ぎざぎざがあります。葉っきり鋸歯ではなくても 葉の縁が波立っています。これは アケビの葉にはなかった特徴で、ミツバアケビの特徴です。





















4月初めの愛知県緑化センター

2021-04-20 18:01:12 | みんなの花図鑑
きょうはもう20日。4月も下旬です。4月の上旬に行ったときに撮った画像がまだたくさん残っているので、ここで放出することにしました。


馬と山里のサクラ

(画像は 合成画像です)
愛知県緑化センター境界を流れる川の対岸に牧場があります。
牧場の向こうの山に植えてある サクラがちょうど見ごろでした。









山桜

センター周辺の雑木林の ヤマザクラ です。



コバノミツバツツジや アオモジ と一緒に咲いていました。




サクラ

センター内のサクラです。







ベニバスモモ











ダイオウグミ












ニワウメとシジミバナ












落下ハナノキ

ハナノキの(雄株に咲いた)雄花は 花粉を放出するとすべて地面に落ちます。
これは その落下した雄花を撮ったものです。








キクモモ

キクモモは モモ(バラ科サクラ属)の園芸品種。



花は八重咲きで、菊の花に似ているので「キクモモ」と呼ばれます。





ツバキ ’弁慶’

ツバキの学名は Camellia japonica



「弁慶」は 花弁は幅広く、2~3重に重なる八重咲き品種。



八重の花弁は おしべが変化したものなんですってね





ヒカゲツツジ

「和名のヒカゲツツジは日陰に多く生えることに由来するが、日陰だけに生えている訳ではない。」(wiki 「ヒカゲツツジ」)


ヒカゲツツジの 学名は Rhododendron keiskei var. keiskei
種小名keiskei は明治時代の植物学者伊藤圭介(1803‐1901 年)への献名ということです。
ちなみに アシタバの学名も Angelica keiskei




「雄しべは10本」「花糸の下部には白い軟毛を散生させ、花柄は長さ1-1.5 ㎜」(同上wiki記事より)








樹に咲く花 (42) ナシ、マメナシ、ユキナシ

2021-04-20 11:19:39 | みんなの花図鑑
今朝は、ナシを三つ。


「いささか旧聞に属しますが」と前置きしなければならないくらい未提出の画像がどんどんたまっていきます。
4月3日の撮影です。
場所は 安城市のナシ園。遠景は 豊田安城自転車道のサクラの花です。



梨は、日本で栽培される果物の中でも歴史が古く、弥生時代にはすでに食べられていたそうです。
安城市は 梨の一大産地で、それは明治時代に 明治用水が開通し、調整可能な水を得たことが普及の大きなきっかけとなりました。



このナシの品種名は分かりません。
安城梨には、「甘ひびき」、「愛甘水」、「幸水」、 「豊水」、「あきづき」、「新高」などがあるそうです。




ナシはバラ科ナシ属の樹で、花の時期もサクラと重なることが多いです。




雄しべは約20本、めしべは5本のことが多いと言われてます。



花は葉とともに展開します。
雄しべの葯が赤いので、新芽の赤とのバリエーションが美しいです。



「梨を含む多くの落葉果樹は、自家不親和性と言う性質があり、一部の例外を除き、自分と同じ品種の花粉では上手く受粉しないと言う特徴があります。

 人工授粉は主に、人間が行う場合と、蜜蜂などの昆虫を利用する方法が有りますが、梨の場合は、梨の花を蜜蜂が余り好まないみたいで、全てを任せるわけにはいかず、人間による人工授粉がメインになります。」(梨 さくらんぼの加藤農園「梨 人工受粉」)



マメナシ

愛知県緑化センターの樹木園のマメナシです。
背が高く、遠くから見たときは、サクラが咲いているかと思いました。



私も初めて知ったのですが、wiki によると、マメナシは日本では東海地方にのみ分布している梨だそうで、その分布域は シデコブシヒトツバタゴと同じく「東海丘陵」(伊勢湾を取り囲む地域の丘陵、台地、段丘地帯)の日当たりのよい低湿地に生息するナシということです。




「直径2.5 cmほどのサクラに似た白い花をつける。」(wiki 「マメナシ」)
やっぱりサクラの花と似てたんですね (^^♪






ユキナシ

こちらは 昨日(4月19日)撮ったもので、花期はほとんど終わってます。



ユキナシは wikiによると 「ヨーロッパ中部から南東部に分布する」西洋梨とのこと。



「名前は白い花と、白色の綿毛に覆われた若芽や若葉が雪のようであることから。」(wiki 「ユキナシ」)



「なお、日本で2006年冬に相次いで発売された「雪梨」のゼリーやヨーグルトで用いられている雪梨とは中国なしの一種であり、本種ではない。」(同上)


樹に咲く花 (41) ヒトツバタゴ

2021-04-19 18:00:00 | みんなの花図鑑

安城デンパークの「なんじゃもんじゃの森」のヒトツバタゴ(いわゆる なんじゃもんじゃの木)です。
例年ですと ほぼゴールデンウイークに入るころから咲きだすのですが、
今年は一週間以上早いようです。




樹は高いので、コンデジの望遠側で撮りました。




ヒトツバタゴはモクセイ科の落葉高木で、「タゴ」とは 「トネリコ」のことです。




ヒトツバタゴの学名は Chionanthus retusus Lindl. et Paxton
属名の Chionanthus はギリシャ語の「chion(雪)+anthos(花)」からきている。
種小名の retusus は「(花弁の先が)ややくぼみのある形の」という意味である。(花図鑑「ヒトツバタゴ」





中国福建省原産で中国、台湾、朝鮮半島、国内では、長崎県対馬北端、岐阜県木曽川周辺、愛知県の一部に分布する。(ヒトツバタゴ - なんじゃもんじゃランド






(ここからは 一眼レフ)
ヒトツバタゴ自生地は、長崎県 対馬市上対馬町鰐浦、岐阜県蛭川村、瑞浪市釜戸町、恵那市笠置町、愛知県犬山市池野西洞(以上国指定天然記念物)、恵那市大井町、恵那市中野方町、岐阜県中津川市苗木、中津川市落合新茶屋(以上県指定)、岐阜県瑞浪市稲津町萩原 (市指定)である。(同上)




花びらは 4枚です。




ヘビイチゴ?

2021-04-19 08:20:52 | みんなの花図鑑
ヘビイチゴ?

近所の 田んぼの畦のヘビイチゴ?
花だけ見てると、ヤブヘビイチゴやミツバツチグリと区別がつかなくなってしまいます。
でも、花だけ見てて分かるのは、ヘビイチゴの仲間は中央の子房が すでに球体化していてイチゴのかたちになっていることが多いということです。ミツバツチグリはそれがあまりはっきりしてません。




ヘビイチゴの花弁の後ろにある副萼片は、大きく葉状で先が下に垂れ下がっています。
ミツバツチグリの副萼片は 萼片とほぼ同形で長さもほぼ同じです。



ヘビイチゴ?

ここからは へきなんたんトピアのエコパークのヘビイチゴの仲間。
ヘビイチゴの花弁の特徴は 花弁と花弁の間に隙間が大きく空いていることだと思います。




これなど、付け根が細く離れているので、いまにも剥がれて落ちそうです。




葉を見ると、周囲が大きくギザギザがあって丸っこい葉ですので、これは ヘビイチゴですね。
ヤブヘビイチゴは もっと長細いです。


ヤブヘビイチゴ

参考までに、ヤブヘビイチゴと判定したイチゴの葉です。(2018-05 安城市JJ地点で 撮影)

樹に咲く花 (40) ユリノキ

2021-04-18 18:00:00 | みんなの花図鑑

安城デンパークにて。
高いところにあるので、コンデジの望遠側で撮りました。




ユリノキは モクレン科ユリノキ属の落葉高木。
チューリップのような花なので 別名「チューリップツリー」。




(ここからは 一番下の花を一眼レフで撮影したものです。)
学名: Liriodendron tulipifera
種小名 tulipifera は「チューリップ(のような花)をつける」の意。(wiki 「ユリノキ」)




では、なぜ正式名称が「百合の木」なのか?
調べてみると、ちゃんと理由があって、学名の属名のLiriodendron というのが、ギリシア語の「百合」を意味する「leirion」と、「木」を意味する「dendron」に由来しているからというのです(^_-)-☆




原産地の米国では重要な蜜源となっているということです。
その蜜は オレンジ色の部分からでているらしいです。

樹に咲く花 (39) カラタチ

2021-04-18 08:36:00 | みんなの花図鑑

へきなんたんトピアのエコパークに一本だけあるカラタチです。
木陰にあるからか、最盛期を外れているからなのか、毎年、花数が少ないです。



カラタチは ミカン科カラタチ属の落葉低木で、花は両性花。




♪カラタチの花が咲いたよ 白い白い花が咲いたよ~




花は前年の枝の刺の腋に単生または2個つき、5弁花ということですが、上の花は6弁あります。
雄しべは20本あるそうです。




♪ カラタチのトゲは痛いよ 青い青い針のトゲだよ 

枝に稜角があり、3センチにもなる鋭い刺が互生する。
この刺は葉の変形したもの、あるいは枝の変形したものという説がある。(植木図鑑・庭木ペディア「カラタチ」)




学名はPoncirus trifoliata。学名の trifoliata は三枚の葉の意でこの複葉から。(wiki 「カラタチ」)


樹に咲く花 (38) マルバアオダモ

2021-04-17 18:00:00 | みんなの花図鑑

マルバアオダモは 「モクセイ科トネリコ属の落葉広葉樹」。(wiki 「マルバアオダモ」)
別名:コバノトネリコ、アオタゴ。




アオダモとか トネリコ とか タゴ とか、みな 面白い名前だと思いませんか(´∀`)
アオダモの「ダモ」は「タモノキ」に由来し、タモノキとは、トネリコの別名だったのです。




道草ですが、、では 「トネリコ」ってどこからつけられた名前でしょう?
調べると、トネリコの樹皮に付着しているイボタロウムシが分泌する蝋物質が戸の滑りをよくすることから「戸に塗る木(ト-ニ-ヌル-キ)」とされたのが、やがて転訛して「トネリコ」になったということです。(wiki 「トネリコ」)




ところで、マルバアオダモの「マルバ」は葉が丸いとか 葉先が丸まっているということではないそうです。
これは、「アオダモ」の葉の縁が明瞭な鋸歯になっているのに対し、「マルバアオダモ」のほうは 鋸歯がほとんど目立たない、ことによるのだそうです。





さて、別のマルバアオダモの花です。
さっきの花は ほとんど真っ白だったのに、今度は やや褐色が混じっています。



マルバアオダモは 雌雄異株です。ひょっとして、この株は 雌株かと思ったのですが、雌花だともっと赤みが勝った雌しべが付いているので、雌花ではなく、花粉を放出し終わった雄しべの多い 雄花のようです。



葉は3-5(-7)葉からなる奇数羽状複葉の対生です。



アヤメ、ダッチアイリス - 紋様ちがい

2021-04-17 10:16:24 | みんなの花図鑑
へきなんタントピアで出会った2つのアヤメ科。

2つ並べてみれば 一目瞭然。
紋様が違います。



アヤメ

アヤメは アヤメ科アヤメ属の多年草。



どちらかというと乾いた草地が好きで、カキツバタのような湿地は好みません。




アヤメの花のトレードマークは この網目模様。アヤメには 文目紋(あやめもん)がある、と覚えておくと忘れません。



文目紋は格式高い感じ。




学名 は Iris sanguinea
種小名の sanguinea の語源を調べてたら、キツネノカミソリの学名が Lycoris sanguinea で、「種小名の sanguinea は「血のように赤い」という意味」とあったのでびっくりしました。アヤメの花は たいてい青っぽい紫色で 「血のように赤い」色の逆の色なんですけど (´v_v`)




ダッチ・アイリス

学名:Iris × hollandica
オランダで改良された球根タイプのアイリスで、改良に長い歴史があります。(garden-vision.net/flower/tagyo/iris_h.html)




和名は オランダアヤメ(オランダ文目)。ただし グラジオラスの和名もオランダアヤメだとか。



ダッチアイリス(オランダ文目)のシンボルマークは 中央花弁の根元にある黄色い紋様。



黄色いダッチアイリスもありますが、そのばあいも 花弁根元にはより色の濃い黄色い班があります。



派手さはないけれど、アヤメ同様、品格がありますね

なお、ジャーマンアイリスのばあい、この部分がブラシのような突起が生えた網目模様となってます。



樹に咲く花 (37) トウカエデ

2021-04-16 20:08:40 | みんなの花図鑑

柳川瀬公園(豊田市)のトウカエデです。
トウカエデの花は 雌雄同株で一つの花序に雄花と両性花が混じって咲く、ということのようです。
とすると、左が 雄花? 右が 雌花? (^_-)-☆




柳川瀬公園のトウカエデは(ここだけではないと思いますが、ここのトウカエデの花序はとくに)わっと球形になって咲いています。ネットで調べると、こういう咲き方を散形花序というのだそうですが、散形?ではなく 球形?花序です。




上が雌花、羊毛みたいなYの字の白い部分が めしべの柱頭。
その下は(たぶん)雄花。




雄花らしきほうをアップで観察しています。
数えると雄しべは7本しかありませんが、花粉を入れた葯が大きく膨らんでいます。
おしべの根元に 白い毛で覆われた突起がありますが、退化しためしべでしょうか?(未確認)




ピントの合った3つの花。
左のは おしべが大きいから、雄花でしょう。
真ん中のは めしべの柱頭が上に伸びて、その下に 翼果の格好(ブーメラン型)をした子房がはっきり見えるので、雌花でしょう。
右は こんどはまた 雄花のようです。




雌花は 白い毛羽だった柱頭が目印になりますが、その下の子房もほぼ果実の格好をしています。




柱頭は成熟すると 羊の角のようにカールするようです。




雌花のおしべも、翼果のこちらに4個、たぶん向こう側にも4個あるのだと思います。現在はこのようにはっきりしていますが、何千年後、何万年後には 消えてなくなる運命にあるのでしょう。




言い忘れました。
めしべや雄しべは上を向いていますが、これは花序を手に取って写したもので、通常は下を向いています。