家族来韓三日目の夕食は,チャドルパギ(薄切り牛肉)の名店。
ある商社マンが数年前,
「チャドルパギのおいしい店があるんだ。すごく混んでいて,むやみに日本人に教えると,いよいよ行きにくくなっちゃうから,わが社の機密になってたんだけど,どうせぼくもうすぐ帰任だから,教えてあげる」
(なんという利己主義!許せん!!)
で,さっそく行ってみると,確かに旨い。裏道にあるなんの変哲もない食堂ですが,夕食時には長い列ができる。7時半から8時半ぐらいまでは30分待ちがザラ。予約もきかないので,7時前あるいは9時すぎに行かなければならない。
メニューはたった4つ。
まずチャドルパギ。ほぼ全員がこれを頼みます。ほかに,ヤン(ミノ)とサテコギ。サテコギは軽くヤンニョムで和えられて出てくる。これら3種類の肉を,もちろん炭火で炙っていただきます。
そしてシクサ(食事)は一つ,テンジャンチゲのみ。
肉を食べるときの薬味がシンプルです。酢醤油にネギと青トウガラシの刻んだものが入っている。薄いチャドルパギで,ネギを包むようにして食べます。
ミッパンチャン(サービスで出るおかず)は,それに輪をかけてシンプル。なんと,生のキャベツを4等分にしたぶつ切りがお皿に乗ってくる。これを一枚一枚はがしてはコチュジャンをつけてかじる。これだけです(ただし,シクサとしてテンジャンチゲを頼むとキムチが出る)。
確かにチャドルパギは旨い。でも,しょせん冷凍肉だし,抜群に旨いというわけではない。
では,なんでこんなに人気があるのか。
その秘密はテンジャンチゲにあります。最後にテンジャンチゲを頼むと,炭火の上のアミを取り去り,まだ残り火のある炭の上に,直に鍋を置く。昔懐かしい手鍋。長年直火にさらされたため,熱で形がゆがんでいて,その歪み具合も趣がある。そこに各自自分のスプーンを突っ込んで食べる(取り皿などない)。
これが絶品なのです。
ふつうのチゲと違って,牛肉が入っている。牛肉の脂と味噌が幻想の調和をなします。
ある若い韓国人男性をここに連れてきたとき,彼,これを食べて涙していました。事情があって,母親を一人日本に置いたまま韓国で独り暮らし。突然ヒャンスビョン(郷愁病=ホームシック)にとらわれたようです。
「ああ,オモニにこれを食べさせたい…」
考えようによっては,このテンジャンチゲこそがメインディッシュであって,チャドルパギは前菜であるかのようにも思えます。
かようにして,このたびの家族会食も,非常な満足のうちに終わりました。
というわけで,この店の詳細については,私の帰任が決まったら書こうと思います(これ以上客が増えたら困るので)。
ある商社マンが数年前,
「チャドルパギのおいしい店があるんだ。すごく混んでいて,むやみに日本人に教えると,いよいよ行きにくくなっちゃうから,わが社の機密になってたんだけど,どうせぼくもうすぐ帰任だから,教えてあげる」
(なんという利己主義!許せん!!)
で,さっそく行ってみると,確かに旨い。裏道にあるなんの変哲もない食堂ですが,夕食時には長い列ができる。7時半から8時半ぐらいまでは30分待ちがザラ。予約もきかないので,7時前あるいは9時すぎに行かなければならない。
メニューはたった4つ。
まずチャドルパギ。ほぼ全員がこれを頼みます。ほかに,ヤン(ミノ)とサテコギ。サテコギは軽くヤンニョムで和えられて出てくる。これら3種類の肉を,もちろん炭火で炙っていただきます。
そしてシクサ(食事)は一つ,テンジャンチゲのみ。
肉を食べるときの薬味がシンプルです。酢醤油にネギと青トウガラシの刻んだものが入っている。薄いチャドルパギで,ネギを包むようにして食べます。
ミッパンチャン(サービスで出るおかず)は,それに輪をかけてシンプル。なんと,生のキャベツを4等分にしたぶつ切りがお皿に乗ってくる。これを一枚一枚はがしてはコチュジャンをつけてかじる。これだけです(ただし,シクサとしてテンジャンチゲを頼むとキムチが出る)。
確かにチャドルパギは旨い。でも,しょせん冷凍肉だし,抜群に旨いというわけではない。
では,なんでこんなに人気があるのか。
その秘密はテンジャンチゲにあります。最後にテンジャンチゲを頼むと,炭火の上のアミを取り去り,まだ残り火のある炭の上に,直に鍋を置く。昔懐かしい手鍋。長年直火にさらされたため,熱で形がゆがんでいて,その歪み具合も趣がある。そこに各自自分のスプーンを突っ込んで食べる(取り皿などない)。
これが絶品なのです。
ふつうのチゲと違って,牛肉が入っている。牛肉の脂と味噌が幻想の調和をなします。
ある若い韓国人男性をここに連れてきたとき,彼,これを食べて涙していました。事情があって,母親を一人日本に置いたまま韓国で独り暮らし。突然ヒャンスビョン(郷愁病=ホームシック)にとらわれたようです。
「ああ,オモニにこれを食べさせたい…」
考えようによっては,このテンジャンチゲこそがメインディッシュであって,チャドルパギは前菜であるかのようにも思えます。
かようにして,このたびの家族会食も,非常な満足のうちに終わりました。
というわけで,この店の詳細については,私の帰任が決まったら書こうと思います(これ以上客が増えたら困るので)。
10年来の読者ですが初めてコメントさせて頂きます。
このお店、三角地ですよね?
私も良く利用します。江南にも支店が有りますが、味・雰囲気共に本店の方が断然良いそうです。
長い間読み続けていただいて、とても嬉しいです。
江南の支店は知らないので、私の帰任(2007年)以降にできたのでしょう。オーナーのハラボジはかなりの御歳だったと思いますが、お元気でしょうか。
閉店間際になると、店員の態度が豹変するので、ご注意を。
https://blog.goo.ne.jp/bosintang/e/f4d122e779afe225c9fe341d1fb35647