犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

スペイン便り~ホテル②

2013-12-07 23:32:15 | その他諸国便り

 最終日は朝6時半にタクシーで空港に向かうことにしていました。

 6時過ぎ、私が最初に降りていき、フロントでチェックアウトしようとすると、フロントには労働者風のおじさんが一人。

「チェックアウト・プリーズ」

「オー、イングリッシュ、ノー」

 どうも英語ができないようです。いくらスペインでも、英語のできないフロントっていったい? 

 いくらチェックアウトといっても手を振るばかり。それで、スペイン語のできる同僚の部屋に電話を入れました。

「すぐ行きます」

 ところが、今度はスペイン語もあまり通じないことがわかった。なんと、フロントに座っていたのは、東欧のどこかから出稼ぎにきている警備員だったようなのです。

 片言のスペイン語で聞き取れたところでは、フロントの係は10時頃にならないと来ない。自分にはチェックアウトの精算をする権限がない、というようなことでした。

 われわれが今日の早朝にチェックアウトすることは、チェックインした時点でわかっていたはずなのに。

 そもそも、空港までのタクシーをお願いしたのは昨晩だし。

 そのとき、われわれの頭に不安がよぎりました。

(タクシー大丈夫かな)

 結局、ホテルにはキーを返すだけで精算はしないまま帰国することにしました。最初にカード番号を教えていたので、カードで精算してくれるでしょう。

 早朝のマドリードは冷え込みが厳しい。摂氏5度以下でしょう。

 タクシーは6時半に来るはずでしたが、5分過ぎても、10分過ぎても来ない。その間、流しのタクシーがわれわれの顔色をうかがいながら徐行で通り過ぎます。

「タクシーの手配もやってないね、これは」

 それで、15分ぐらい過ぎたとき、われわれは流しのタクシーをなんとかつかまえて空港に向かいました。

 そして、今度来るときは、もうちょっといいホテルにしよう、と誓い合ったのでした。


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