朴教授のフェイスブックで知ったのですが、12月22日に、朴教授を批判する立場の人たちの討論会があったそうです。(→リンク)
その模様は動画で見ることができますが、3時間近いので、全部は見ていません。
出席者の中には、原告側のヤン・スンボン弁護士もいて、経過発表をしていました。
それによると、訴訟は三つあって、一つは仮処分訴訟、二つ目は民事訴訟、三つ目は刑事訴訟。
仮処分訴訟は5月に結審し34個所の表現の削除が命じられ、朴教授は指摘された部分を伏せ字にした版を出しました。民事訴訟は、今月16日に最終弁論が行われ、来年の1月13日に判決が出る予定だそうです。刑事訴訟のほうは、当初今月の14日に初公判の予定でしたが、延期されて来年1月14日になったそうです。
ヤン弁護士の話では、韓国には独特な制度として刑事調停というものがあるんだそうです。
実は、私も最近、裁判というものに生まれて初めて関わって、「民事調停」を申し立てたことがあります。日本には、民事事件では提訴の前に「調停」を申し立てることができますが、刑事事件にはそのような制度はありません。
検察側は、この件を告訴するのはあまり乗り気ではなかったため、検察のほうから、「刑事調停」で解決しないか、と提案したそうです。
原告側は、和解するために3つの条件を出しました。朴教授のインタビューでは、その三つは、
1)ハルモニへの謝罪、
2)韓国語版の絶版、
3)日本語版や英語版の伏せ字処理、
ということでしたが、弁護士によれば、
1)ハルモニへの謝罪、
2)問題の表現について、直接的な表現も、間接的な表現もやめること(間接的な表現とは、伏せ字処理のことを指します)
3)日本語版や英語版でも、同じように直接的な表現も、間接的な表現もしないこと
とのことです。
つまり、伏せ字ではなくて書き直せ、それが嫌なら絶版にしろ、ということなのでしょう。
結局、朴教授はこの3条件を受け入れなかったので、調停は不成立になり、11月18日、検察は朴教授を在宅起訴しました。
弁護士によれば、「朴教授側は、慰安婦に関する記述は個人を特定していないので、名誉棄損にはならないと主張しているが、ハルモニたちの活動が慰安婦問題の解決を遅らせているとも言っているので、名誉毀損は成立するはずだ」とのこと。
私は削除版をもっていないので、問題の34個所すべてを見ることはできず、ネットを通して知った8個所(→リンク)をあらためて見てみました。ただし、指摘されたのは韓国語版で、その後に出た日本語版は韓国語版の翻訳ではなく、構成や表現が変わっているので、日本語版では該当個所が明らかではありません。( )内の該当ページはあくまで参考です。
19ページ(日本語版では25ページ)
千田は「慰安婦」を、「軍人」と同様に、軍人の戦争遂行を自らの体を犠牲にして助けた、「愛国」的な存在であると理解している。(中略)どの本よりも慰安婦の本質を正確に指摘したのだった。
32ページ(日本語版では39ページ)
「からゆきさんの後裔」、「慰安婦」の本質は、まさにここにある。
33ページ(日本語版に該当個所なし)
「慰安婦」の本質を見るためには、「朝鮮人慰安婦」の苦痛が日本人娼妓の苦痛と基本的に異ならないという点を知っておく必要がある。
38ページ(日本語版では46ページ。表現は異なる)
しかし「慰安婦」たちを「誘拐」し「強制連行」したのは、少なくとも朝鮮の地では、そして公的には日本軍ではなかった。言い換えれば、需要を作ったことがそのまま強制連行の証拠になるわけではない。
65ページ(日本語版では80ページ。表現は異なる)
家族や故郷から離れ、遠い戦場で明日死ぬかもしれない軍人たちを精神的・肉体的に慰め、勇気づける役割。その基本的な役割は数多くの例外を生んだが、「日本帝国」の一員として要求された「朝鮮人慰安婦」の役割はそのようなものであったのであり、そうであったからこそ愛が芽生えることもありえた。
120ページ(日本語版では145ページ。表現は異なる)
慰安婦問題を否定する者たちは「慰安」を「売春」とのみ考え、われわれは「強姦」とのみ理解したが、「慰安」は基本的にその二つの要素をともに含んでいた。すなわち、「慰安」は、過酷な弱肉強食構造の中で実際にお金を儲けた者は少なかったが、基本的に収入が予想される労働であり、そうした意味では「強姦的売春」だった。あるいは「売春的強姦」だった。
205ページ(日本語版では154ページ)
しかし実際に朝鮮人慰安婦は「国家」のために動員されたのであり、日本軍とともに戦争に勝とうとして彼らの世話を焼き、士気を鼓舞した者たちでもあった。大使館前の少女像は、彼女たちのそうした姿を覆い隠す。
265ページ(日本語版では255ページ。表現は異なる)
朝鮮人慰安婦は、同じ日本人女性としての同志的関係であった。
どの部分も、特定個人を誹謗したものではないし、さまざまな資料から十分に成り立つ解釈だと思います。これで「名誉毀損」とするのは難しいんじゃないでしょうか。
刑事裁判の行方を占う意味で、1月13日の民事裁判の判決が注目されます。
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なるほど、倉橋正直氏の影響もあるわけだ。彼女がそれを理解できてるとも思えないんだけどね。森崎和江が、この本を読んだら、どう思うんでしょ、ってのが下のリンクです。
http://www.geocities.jp/satohpone/general/bunken.html#tsuki
ありがとうございます。