犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

自画自賛

2021-05-11 23:37:58 | 韓国雑学
 大統領に就任して4年を迎えた文在寅大統領が、5月10日、特別記念演説を行いました。

 その長い演説を一言で表すなら、「自画自賛」ということになりましょう。

 演説の全文はこちらで読めます。→リンク

 まず、新型コロナウィルス感染症に関し、「K防疫が世界に模範を示した」とか、「OECD加盟国の中で、韓国が最も早くコロナ禍以前の経済水準を取り戻した」などの自慢が続き、批判されているワクチンの入手の遅れについては、「ワクチンの接種をもう少し早く始めていたらと、残念な思いが残るが、計画通りに滞りなく接種を進めている」とだけ述べ、K防疫の自慢に忙しかったため、ワクチン購入契約交渉が遅れたことには触れません。

「所得主導成長」についても自慢していますが、最低賃金の強引な引き上げにより、企業の雇用が委縮、若年層を中心とした失業率が高まっていることは触れない。

 最近の最も大きく批判されている不動産問題についても、「不動産投機を徹底して根絶してまいります」というだけで、不動産の異常な高騰を招いた原因に対する反省は見られません。

 就任以来最も力を入れてきた北朝鮮との関係については、5月下旬にあるかもしれない韓米首脳会談を契機に「南北間、米朝間の対話を再開させる、北朝鮮が我々の呼びかけに呼応することを期待する」など、現実性の薄い願望を述べています。

 そして、「表現の自由の侵害」として国際的に批判されている「対北ビラ禁止法」については、ビラ散布を「南北合意に反し、南北関係に水を差す行為」として非難しました。

 で、K-POP、K-ビューティー、K-フード、K-コンテンツが「グローバルブランド」になって、「大韓民国の文化に世界中の人々が熱狂している」んだそうです。

 意外なのは、対北融和政策と並んで、「反日政策」を外交の柱にしてきたのにもかかわらず、長大な演説の中で、日本に対して一言も触れていないことです。

 ソウルとプサンの首長選挙で敗北し、支持率の下落がとまらない今、文大統領が最も重要視しているのは、不動産価格の安定でも、失業率の改善でも、韓半島の非核化でもなく、次の大統領選挙で「親文」の候補者を当選させ、自分の退任後の「訴追・投獄」を免れることです。

 対日関係は停滞したままでこれといった成果をアピールできないため、「自画自賛」の演説にそぐわないと思ったのでしょうか。

 文大統領が目指した東京オリンピックを政治利用して南北、米朝会談を実現するという夢想は、北朝鮮のオリンピック不参加によって吹き飛びましたが、北の行動は予測不能ですから、土壇場で「やっぱり参加する」などということも起こりかねない。それで、福島原発「汚染水」問題などを取り上げて、演説の中で声高に日本を批判するのは避けたのかもしれません。

 当ブログで何度も書いているように、文大統領が大統領でいる間は、日韓関係の改善は望み薄です。

 韓国大統領に再選はありません。あと1年の辛抱です。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ロシア語急行物語(後編) | トップ | Я »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

韓国雑学」カテゴリの最新記事