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犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

徴用工問題では1ミリも譲歩すべきではない

2023-01-18 23:24:27 | 韓国雑学

 娘がよく、「1ミリも~ない」という表現を使います。

 1ミリも面白くない、とか、1ミリも共感しない、とか。

「まったく」と同じで、全否定の強調でしょう。

 私は使わないのですが、10年以上前から使われているようで、三省堂国語辞典には第7版(2014年刊)から立項されています。

いちミリ[一ミリ]〔←一ミリメートル〕〔多く、後ろに否定が来る〕ほんのわずか。「いちミリも〔=みじんも。俗に『ミリも』とも〕ゆらがない・いちミリだけ思った」

 同様の古い表現に、「寸分」とか、「毫(ごう)も」とか、「寸毫(すんごう)も」というのがあります。夏目漱石の作品なんかによく出てきます。

 こちらはメートル法ではなく、尺貫法で、
寸はメートル法では30.3ミリ、
分は10分の1寸、
厘は100分の1寸、
毛(=毫)は1000分の1寸。

 長さの単位を副詞に流用しているわけです。

 おもしろいとか、共感するとかいう感情表現よりも、進むなど、長さと関係がある表現との相性がいいように思いますが、個人的感覚かもしれません。

日韓関係の改善が1ミリも進まない、

というように。

 ところで、日韓関係の改善を願う尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が、徴用工問題でしきりに秋波を送ってきています。

 韓国の大法院(最高裁)で、日本の「戦犯企業」(韓国の造語)に対し、賠償金の支払いを命じる判決が出て、被告企業の韓国内資産が現金化されるおそれがある、例の件ですね。

「現金化」が強行されると日韓関係が破綻するので、尹政権はなんとか現金化を回避する案を考えました。それが、政府傘下の財団による債務肩代わり案です。

 ただし、被告企業による財団(「日帝強制動員被害者支援財団」)への自発的な寄付と、「被害者」への謝罪を求めているようです。

 韓国政府のこれまでの努力を評価して、謝罪してあげればいいんじゃないか、と考える人もいるかもしれませんが、謝罪するということは、裁判の判決を受け入れたと解釈されるおそれがあるので、大変危険です。

 大法院判決については、以前、当ブログで取り上げたことがあります。

元徴用工判決は日韓合意に反している

 この判決が認めたのは、「未払賃金や補償金」などの個人請求権ではなく、「日本企業の反人道的な不法行為を前提とする慰謝料請求権」(強制動員慰謝料請求権)です。

 日本は、韓半島を「日韓併合条約」に基づいて支配していましたが、韓国はこれを「不法」と主張しています。1965年の日韓請求権協定は、「日本が植民地支配の不法性を認めないまま結ばれた」ので、協定の中に「強制動員慰謝料請求権」は含まれていない。だから、「請求権協定で解決したとはいえない」というのですね。

 もしこの判決を日本企業が受け入れると、「日本の植民地支配が不法だったこと」を認めることになり、そうなると徴用工問題だけでなく、植民地支配をしていた35年間に朝鮮半島住民が受けた苦痛に対し、すべて「慰謝料請求権」が生じることになってしまいます。

 ここで「1ミリ」の譲歩をすれば、「何百キロメートル」もの「慰謝料請求」が雨後の筍のように湧いてくることは火を見るよりも明らかです。

 かつて河野洋平官房長官は、慰安婦の募集について、日本の官憲が関わった事例が発見されていないにもかかわらず、「政治的妥協」によって、官房長官談話の中で、「官憲等が直接これに加担したこともあった」という文言を入れました。

 すると韓国は鬼の首を取ったように「日本が慰安婦強制連行を認めた」と騒ぎたてて慰安婦問題が紛糾、2015年に朴槿恵政権との間で「慰安婦日韓合意」が結ばれてようやく「不可逆的に解決」したと思いきや、文在寅反日政権が合意を反故にした、という苦い経験があります。

 徴用工裁判は、原告の個々の証言内容について検証していません。植民地支配が不法なので、その時代に「苦痛を受けた」という証言さえあればいいからです。

 原告たちは、徴用令が出る前に、募集に応じて自分の意志で日本に渡ってきたので、そもそも「徴用工」ですらありません。仮に徴用工だったとしても、徴用は戦時に認められた動員なので「不法」ではありません。対象は日本人全体で、当時の朝鮮半島住民も日本人でした(徴用令の適用は本土の日本人より遅かったようです)。

 原告は「賃金をもらわなかった」と主張していますが、賃金が払われた記録があるので、「偽証」です。

 朝鮮半島出身者は炭鉱などで、日本人より安い賃金しか支払われなかったから、差別だという主張もありますが、これは朝鮮半島出身者が熟練工でなかったためで、「民族差別」ではありませんでした。

 「徴用工に対する補償が必要ならば韓国政府が行うべきだ」という認識(請求権協定の解釈)は、協定を結んだ当の朴正煕政権はもちろんのこと、文在寅が慕っていた盧武鉉政権でも共有されていました。

 日本企業への「慰謝料請求権」を認めた2018年の大法院判決は、二重にも三重にもおかしな点があり、断じて受け入れることのできないものです。

あらためて、

「徴用工問題では1ミリも譲歩すべきではない 」

と主張したいと思います。

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