犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

残念なジャンプ混合団体

2022-02-11 23:20:48 | 日々の暮らし(2021.2~)
写真:涙をこらえられなかった高梨沙羅(ロイター)

 北京冬季五輪の新種目のジャンプ混合団体は、残念な結果に終わりました。

 メダルを期待された日本は、一回目で高梨沙羅が失格となり、最終的に4位で、メダルを逃しました。

 力が及ばなかったとか、実力を出しきれなかったのなら仕方ないですが、「スーツ規定違反」で失格というのは、なんともいえない後味の悪さでした。

 ライブで見ていましたが、高梨のジャンプがよかっただけに、失格の第一報が放送席にもたらされたときは、何が起こったか、わかりませんでした。

 そして、日本に続いて、ドイツとオーストリアも失格者が出たということがわかったとき、ある疑いが生じました。

(これって、中国の検査官の仕業じゃあるまいか?)

 出場国は10か国でその中に中国もいます。2回目に進めるのは8か国のみ。実力で劣る中国を2回目に進ませるために、上位の国々にわざと失格を出したのではないか…、と思ったわけです。

 しかし、その細工も空しく、中国は一人も失格者を出さなかったのに、失格者を出して1人分の点数がゼロになった3か国の点数を上回ることができず、1回目終了時点で最下位。失格者を出したドイツとともに、8位までに入れず、2回目に進めませんでした。

 そして2回目、失意の高梨はスーツを着替え、気を取り直して2回目を飛び、1回目の大ジャンプに匹敵するようなジャンプをみせました。

 2回目のジャンプでも、ノルウェーの女子選手が2人、失格となり、日本は小林など他の3選手の頑張りもあって、最終的には4位に食い込みました。メダルまであと一歩でした。

(あれ? 中国は2回目に進めなかったんだから、もう失格を出す必要はないのに…)

 結局、この日のジャンプ混合団体では、4か国の女子選手ばかり5人が失格になりました。

 翌日、この前代未聞の失格劇について、さまざまな記事がでました。それらの記事でわかったことは…

・ジャンプ競技のマテリアルコントロール責任者は中国人ではなく、ポーランド人女性、アガ・ボンチフスカ氏だったこと。

・失格した5人は、5日に行われた女子個人戦で、団体戦と同じスーツを着ていたこと。

・失格者を出した国の関係者は、「今回の測定の仕方がいつもと違っていた」と証言していること。

・ノルウェー代表のブラーテン監督は、「いつもの測定では、選手は腕を体から30センチほど横に向けて伸ばして待つが、問題の日は腕を頭の上に置いたままだった。そうすると、スーツのフィット感が変わってくる」、「通常、検査は1人で行うが、この時はなぜか3人もいた」と証言

・ドイツチームのホルンガッハー監督は、「通常、マテリアルコントロールは、男子種目は男性、女子種目は女性が担当する。団体戦で着用したスーツは個人戦で女性のコントローラーがOKを出したものだった。今回の混合団体では、フィンランド人のミカ・ユッカラという、男性コントローラーが突然、女子の測定にもついてきて、違うやり方で測定した」、と証言。

・一方、批判されたアガ・ボンチフスカ氏は「測定方法はいつもと同じだ」と反論。

 マテリアルコントロールのポーランド人、アガ・ボンチフスカ氏と、フィンランド人のミカ・ユッカラ氏が槍玉に挙がっています。

 フィンランドは出場していませんでしたが、ポーランドは出場しており、一人の失格者も出さなかった(結果は6位)ので、ポーランド人検査官の「身びいき」との疑惑は残りますが、「中国のしわざ」という当初の私の疑いは外れました。

 真相は「藪の中」ですが、マテリアルコントロールのやり方に問題を感じます。

 検査は抜き打ちで行われ、全員が検査されるわけでなく、検査項目もそのときにならないとわからないんだそうです。

 きちんと検査するなら、全員に対して、検査項目を明示したうえで、ボクシングなどのように、試合前にすべきではないでしょうか。スーツが規定違反なら、取り換えさせればいいと思うんですが。

 試合の直前に、高梨沙羅選手が今回の五輪に向けて、血のにじむ訓練をしてきたという密着ドキュメント番組を見ていただけに、今回の「スーツ規定違反」はかわいそうでなりません。

 ところでジャンプ混合団体には韓国は出場していません。関係はないのに、今回の「事態」を大きく報道しています。

 朝鮮日報は、私が当初感じたように、「中国のしわざじゃないか」という論調です(リンク1

 2022年北京冬季五輪では前例のないことが続出している。7日夜、行われたスキージャンプ混合団体戦もその一つだった。5選手がスーツ規定に違反したという理由で失格になり、メダルの行方が変わったが、「これも中国による『メダル工程(書き換え作業)』の一環だ」と指摘する声が上がっている。

(中略)

 こうした失格が中国の「ビッグピクチャー(big picture=全体的な成り行き)」という分析もある。匿名希望のスキージャンプ関係者はスポーツ専門メディアのユーロスポーツに「伝統的な冬季スポーツ強国がメダルを逃せば、中国の五輪メダル総合順位が上がる可能性が高くなる」「しかもドイツと日本は外交的ボイコットにも参加した」と語った。

 韓国では、得意のショートトラックで韓国選手が失格にされ、中国選手が金メダルをとったことで、中国非難の大合唱が起こっています。

 でも、ジャンプ混合団体のスーツ検査が中国の意向に沿ったものだとして、中国側がポーランドの検査官に賄賂をおくったということなのでしょうか。

 なんか、2002年サッカーワールドカップの韓国・イタリア戦主審のエクアドル人、モレノを思い出してしまいます。


韓国イタリア戦で韓国に有利な判定を出し続けたモレノ主審

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 外国人の就活~ALT | トップ | 日本語の学習書~ニューエク... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日々の暮らし(2021.2~)」カテゴリの最新記事