犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

ブラジル便り~フレックス

2009-08-14 23:31:33 | その他諸国便り
 夜10時50分のフライトだというのに,ホテルを出るのは5時半。

「いくらなんでも早すぎるんじゃない?」

 空港まで1時間ちょっとのはず。韓国出張だと,1時間半前に空港に着けば楽勝です。

「でも,今日は金曜日で渋滞するし,搭乗手続で並ぶから…」

 何度もブラジルに出張している「先輩」の言葉には従わざるをえますまい。サンパウロの渋滞もなかなかすごい。時間帯によっては,バンコクやジャカルタ並の渋滞になります。

 そして,流れているときはビュンビュン飛ばします。信号のない交差点では車が優先。そして,右折・左折時,ウインカーを使う習慣がなく,徐行もしないので,歩行者は細心の注意を払わなければなりません。

 幸い,会社の運転手は安全運転で有名です。防弾車でもあり,強盗対策も万全,大船に乗ったつもりで空港まで行くことができます。

 サンパウロの街に,日本車は少ない。今朝見たNHKのニュースで,ホンダとトヨタが業績を上方修正したそうな。なんでも,ハイブリッド車が好調だということです。

 ところがブラジルにはハイブリッド車はありません。そのかわりに,フレックス車というのがあるんですね。これはなにかというと,ガソリンでもアルコール(エタノール)でも走れる車。その時の相場次第で,「今日はガソリンにするか」とか,「アルコールのほうが安いかな」などと燃料を選びます。二つを混ぜてもOKということです。

 アルコールで走る車があるということは聞いたことがありますが,どっちでも走れる車があることを初めて知りました。アルコールを何から採るかというと,サトウキビやトウモロコシなどの農産物です。パワーや航続距離に劣るものの,ガソリンより安いので経済的。二酸化炭素の排出も少ないそうです。

 VWやフィアット,ルノー…,ブラジルで目につくメーカーはほとんどこのフレックス車を出しているとのこと。日本車が少ないのは,エタノール対応車の生産に遅れをとったせいかもしれません。

「サンパウロの夜は東京とちょっと違うでしょう?」

「えっ?」

「何か感じませんか?」

「そうね。東京よりちょっと暗いかな。街灯が少ない?」

「惜しい。ネオンサインがないんですよ」

 そういわれてあらためて車から街路を眺めると,立ち並ぶビルにイルミネーション広告がいっさいない。というか,看板さえ見当たらない。

 数年前,サンパウロ市が,街の美観を損ねるからという理由で,市内の看板を規制する法律を通したそうなんですね。イルミネーションはいっさい禁止。看板の数と大きさも厳しい制限が課せられているとのこと。確かに風俗産業のキンキラのイルミネーションは無秩序で目障りだけれども,一掃されるとちょっとさびしい気もします。それにしても,よく広告業界が納得したものです。東京で同じことをやろうとしても,まず不可能でしょう。

 さて,予想通りの渋滞で,空港についたのは8時近い。普段の2倍以上の時間がかかりました。そして,空港での行列…。経費節減のため,エコノミークラスの出張ですが,私の場合,JALのクリスタルカードがあるので搭乗手続はスムーズ。しかし,手荷物検査と入国審査がどちらも長蛇の列。なんでこんなに進み方が遅いのか…。

 結局,二つの関門を通過したのは9時半ごろ。さすがにまだ時間の余裕はありましたが,早めにホテルを出たのは正解でした。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ブラジル便り~ピラニアスープ | トップ | 純情漫画① »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

その他諸国便り」カテゴリの最新記事