韓日議員連盟会長の徐清源議員が来日し、安倍首相と会談したそうです。
朝鮮日報は次のように伝えています。
徐議員は、安倍首相に「韓日関係で重要なのは慰安婦問題の解決だ。元慰安婦たちが高齢であることを考慮し、日本政府は一日も早く名誉回復のため誠意ある措置を取るべきだ」と言った。これに対して安倍首相は「筆舌に尽くしがたい思いを持っているし、歴代首相もそういう思いだ。(慰安婦の強制連行を認め謝罪した)河野談話を否定することはない。河野談話を継承する」と答えたと徐議員は伝えた。
「河野談話」という言葉の前にカッコ付きで(慰安婦の強制連行を認め謝罪した)という修飾句がついています。朝鮮日報の記者が補ったのでしょう。
ここからもわかるように、韓国では河野談話と言えば、「慰安婦の強制連行を認め謝罪した」談話ということになっています。
これについて、私は以前、河野談話の韓国語訳(ウィキペディア)に誤りがあることを指摘しました。(→リンク1、2)
〈日本語原文〉
「慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった」
〈韓国語訳〉
「慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したことが明らかになった」
いまさら河野談話を読み直す韓国人はいないでしょうけれど、一昨年に刊行され、昨年、朴裕河著『帝国の慰安婦』が名誉棄損で出版差し止めの裁判を起こされ、話題になったため、この本を手にとった韓国人もいると思います。
『帝国の慰安婦』の中には河野談話が全文引用されています。
昨年11月に刊行された日本語版では、当然、河野談話は正確に引用されています。しかし、2013年に先に出た韓国語版の河野談話は、引用元がウィキペディアなので、誤訳はそのままです。
朴裕河氏は著書の中で、
「「河野談話」は謝罪は示しながらも、「強制連行」を認めているわけではない」
と正しく解釈していますが、肝心の引用文が誤訳なのは残念です。
日本でも、河野談話が強制連行を認めたものと解釈する人々がいますが、その解釈は「談話」そのものではなく、談話発表の記者会見で河野洋平官房長官が、
「強制連行があったという認識なのか」
と問われ、
「そういう事実があったと。結構です」
と答えたことによるものです。
河野氏は個人的に認めたのかもしれませんが、公式文書としての「河野談話」では、「業者の行った甘言・強圧に、官憲等が直接加担したことがあった」ということを認めているにすぎない(これさえも証拠が発見されていないので問題ですが)。
今年は日韓国交正常化50年であり、おそらくは安倍首相が「河野談話の継承」という談話を発表するのでしょうが、その前にまず、韓国で流布している河野談話の誤訳を訂正すべきだということをあらためて訴えたいと思います。
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