インスタント焼きそばにゴキブリらしき虫が入っていたという画像がネットで流され、ペヤングソース焼きそばは製造中止、店頭の商品もすべて回収という大騒動に発展しました。
そのニュースを見ながら、
「ちょっと騒ぎすぎなんじゃないかなあ。虫の一匹ぐらいたいしたことないじゃん」
と発言したところ、
「お父さん、何言ってんの? ゴキブリだよ!」
と娘たちから総反発を食らいました。
「だって虫食う国なんて、いっぱいあるよ。韓国とかタイとか…」
「普通の虫じゃないんだから!」
「…」
家族の誰からも賛同を得られそうになかったので、反論は控えましたが、脳裏にはこれまでの虫食の記憶が蘇ってきました。
まず韓国のポンテギ。
ポンテギとは、蚕のまゆの中に入っている蛹(さなぎ)です。韓国ではこれを醤油味で甘辛く煮て、おやつとして食べます。最近は食べない若者も増えてきているようですが、私が韓国にいた、10年ぐらい前は、動物園や観光地の道端で、独特の香りを周囲に漂わせていました。
てらてらと光った褐色の色合いといい、姿といい、チャバネゴキブリを思わせます。
韓国の露店はいろいろな食べ物を売っていますが、トッポッキが人気がありますね。トッポッキにインスタントラーメンをからめたのがラッポッキ。こちらの韓国B級グルメの定番です。
ポンテギとその煮汁にインスタントラーメンをからめて、ラッポンテギなんてネーミングで売り出したら、韓国では結構売れるんじゃないかと思ったりします。
そして、メーンダー。
タイは虫食文化がたいへん発達しています。さまざまな虫を売っている、虫専門の食材店(露店)もあります。そこでひときわ異彩を放つのがメーンダーです。
これは、今や日本の田園では絶滅しかかっているタガメ。
クロゴキブリをさらに大きく、平べったくしたような姿です。虫の中では高級な部類に属し、私が5年ほど前に買ったときは、1匹10バーツ(30円ぐらい)でした。
そのとき、私は食べ方を間違えて、そのままかぶりついてしまいましたが、これ、実は刻んで炒めものや焼きそばなどに入れて食べるのが正しい食べ方であることを後から聞きました。
メーンダー入りパッタイ(虫焼きそば)は、タイでは正しい食べ物なのですね。
と、このような例を持ち出して、娘たちに反論しようとしたのですが、家族の中でいよいよ浮いてしまうようで、自制したのでした。
〈参考〉
ポンテギの話
バンコク便り~田亀
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