昨年、私が関心をもっているミャンマーと韓国で、それぞれ大きな出来事がありました。
まずミャンマーでは、3月にアウンサンチースー女史率いるNLD(国民民主連盟)の新政権が発足しました。女史は憲法の規定(外国人が親戚にいる人は大統領になれない)により、大統領にはなりませんでしたが、実質的な元首である国家顧問(兼外相)に就任。
11月には、女史が日本を訪問、日本は8千億円の支援を行うことを約束しました。日本はミャンマーの証券取引所の開設や電子通関システムなどさまざまな支援事業をすでに始めています。日本が開発に注力している経済特区ティラワも年末には稼働し、日本とミャンマーの経済関係は今後深まりそうです。
ただ、少数民族問題で衝突が起こったり、チャット安が進行して物価が高騰したり、さらには仏教遺跡の多いバガンで地震が起きたりして、新政権の船出は決して順風満帆とはいえません。
一方の韓国。
2015年の年末に、日韓間で「慰安婦問題の最終合意」がなされたことにより、2016年の日韓関係は改善するものと期待されました。
実際、日本は8月に合意内容の一つである10億円拠出を実行しましたが、韓国側は日本が期待する日本大使館前の慰安婦像の撤去をしませんでした。
9月には朴大統領の「秘線実勢」疑惑が噴出。10月以降、朴大統領退陣を求める大規模市民集会が毎週のように開かれ、朴大統領が糾弾されました。12月に入って、韓国国会でついに弾劾訴追案が可決、朴女史は職務停止に追い込まれました。
そして、大統領が死に体になっているのをいいことに、年末、市民団体は、今度は釜山の日本総領事館前に慰安婦像を新たに設置。いったんは地方自治体によって撤去されたものの、世論の反発を恐れて設置を許可、30日に再設置されました。
この1年の韓国の行動は、韓国が国際的な約束を守らない国であることを証明し、大統領辞任の経緯も含め、ポピュリズム(大衆迎合主義)の国であることを内外に印象づけました。
アウンサンスーチー氏と朴槿恵氏、ともに国家の英雄の娘で国家元首にのぼりつめた二人は似た経歴をもちます(リンク)が、2016年の情勢を見れば、くっきりと明暗を分けました。
ただミャンマー新政権は実質的に素人集団。行政が体をなすまでにまだ時間がかかりそうですが、第二次世界大戦での日本兵に対する温かい対応への恩返しの意味もこめて、日本政府には今後もできるだけの支援をしていってほしいものです。
韓国のほうは朴大統領の復権は絶望的ながら、外交的約束を遵守する成熟した近代国家に脱皮してくれることを願います。
読者の皆様には、今年もどうぞよろしくお願いします。
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駐在時代の知り合いから下記の記事を教えてもらいました。
http://diamond.jp/articles/-/113740
ご参考まで
次の大統領が心配です。