犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

バイアグラは虎だった⁉

2020-08-24 23:44:06 | 大阪暮らし
 日本の世界的な博物学者、南方熊楠の『十二支考』(岩波文庫)を知人から贈られ、お盆休みに読み始めました。

 この本は、1914年、熊楠47歳のときから10年間に渡って雑誌「太陽」に連載されたエッセイをまとめたもの。今から約100年前に書かれた文章です。

 和歌山に生まれた熊楠は16歳で上京、共立学校(現開成高校)、大学予備門(現東京大学)に進むも、学業そっちのけで菌類の採集に明け暮れて中退。19歳で米国に渡り、25歳のときに英国へ。大英博物館に入り浸り、28歳からは同博物館で東洋図書目録編纂係として働くようになります。科学雑誌「ネイチャー」などに数多くの論文を発表。33歳で帰国してからは日本で、在野の研究者として研究を続け、昭和天皇にも進講したそうです。

『十二支考』は十二支の動物をはじめ、様々な動物について、熊楠が読破してきた古今東西の文献から縦横無尽に引用しながら、該博な知識を披瀝したもの。最初に取り上げられているのは虎です。

 虎梵名ヴィヤグラ、今のインド語でバグ、南インドのタミル語でピリ、ジャワ名マチャム、マレー名リマウ、アラブ名ニムル、英語でタイガー、その他欧州諸国大抵これに似おり、いずれもギリシアやラテンのチグリスに基づく。そのチグリスなる名は古ペルシア語のチグリ(箭=矢)より出で、虎の駛(はや)く走るをの飛ぶに比べたるに因るならんという。…

 本書冒頭の一句、虎梵名ヴィヤグラ(!)に目が留まりました。

 そうだったのか! 勃起不全治療薬のバイアグラは、虎が語源だったんだ! なるほど!

 確認のため、ネットを検索したところ、バイアグラの名称の由来は、どうもはっきりしないらしい。

 3つの説があって、

ナイアガラの滝説
活力に満ちたという意味を持つ「vital」と、ナイアガラの滝「Niagara」の2つの単語を組み合わせた造語。ナイアガラの滝のように生命力が激しくあふれ出るという意味合いが込められている。

タージ・マハル説
インドのアーグラという町にある世界遺産、タージ・マハルの建造者で、ムガル帝国皇帝のシャー・ジャハーンは正室・側室があわせて10人以上いたといわれ、子供も20人前後いたという性欲旺盛の精力的な人物で、その王の精力にあやかって、町の名前とあわせて「by アーグラ」をもじった。

トラ説
サンスクリット語で虎を意味する「ヴャーグラ」がバイアグラとなったという説。トラの力強さがバイアグラの効果・作用を連想させるから。


 梵語(=サンスクリット)のヴィヤグラは、3つの説のうちの1つですね。バイアグラを開発したファイザーに聞けば真実がわかるのでしょう。

 あまり関係ないですが、韓国版バイアグラの名前の由来についてはこちらをご覧ください(リンク)。
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