クリンの広場

たまっこくりんのおもいのたけ

桜ふる小説・8(水上勉『櫻守』感想)

2022-04-04 | 本と雑誌

宇野千代も あい(愛)した

銘木「淡墨の桜」・・

同じ木を見て、一筆したためた

 昭和の小説家、水上勉の『櫻守』

今日は とりあげます (名作です



~あらすじ~

 京都。昭和初期。

庭師の弥吉は、

門跡寺院のかかりつけである・植木屋で 働いていましたが、

ある日、

桜の研究家として日本一の名声を誇る竹部庸太郎のお抱えとなり、

広大な桜林の手入れを 任されます。

 以来、桜ひとすじ・ン十年

その間、

結婚したり

兵隊にとられたり

無一文になったり

再び、竹部先生に協力したりしながら

あちこちの消滅危機桜たちの 延命、助命に奔走・・

弥吉は死ぬまで、桜のために かけずりまわりました。


「寡黙な職人の、ひたむきな情熱をキラリと描く感動秘話

と、

一言でかたづけていいような ありがちなものではなく、

 細やかな教よう(養)と、作者の人徳が透き通った桜文学である

読めば、わかります

もちろん

「人間いうもんは、山の木と同じで、放っておくとジャングルになる。

つるにまかれて ゆがんでしまう。」

なんていう・名言も

ずいしょに 

ちりばめられては いますが・・

 そっちに重きをおくよりも、

みずみずしい・ひっち(筆致)

柔らかい京言葉

春のあたたかさを 

かんじてもらいたい、名文

(・・さいきん、桜を見ても、昔ほど感動しないんだよなあ~

都会の桜も、名所の桜も、、俗っぽくて

おかんじの あなたに・・

 山桜のキレイさを 思い出させてくれる作品です




【おすすめ度:

 

 

(※次回は、世阿弥の『西行桜』を、読みます

 

 

コメント (10)
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