「桜は、無常を表象する花だ」
という
いけん(意見)のある一方、
桜の花を、狂った情念に重ねる見方も、
根強いです。
その代表格が、『道成寺(どうじょうじ)』。
カブキ(歌舞伎)やお能で 伝えられてきた、
おっかなくも
人気のある・お話です
(←まちがえやすいですが、
道明寺=どうみょうじではありません。)
~『道成寺』復習~
主人公・清姫(きよひめ)は、たまたま・出会った
若いお坊さん・安珍(あんちん)
に 一目ぼれ
モウレツに 言いよります
が、
修行の身である 安珍は、
「また来るから」と 口約束して、逃げてしまいました。
「なんで逃げるのよ」
と
怒り狂った・清姫は、
鬼気迫るいきおいで 安珍を追っかけ
とうとう、蛇に変身!!
安珍は、命からがら 道成寺の釣りがね(鐘)の中に
身をかくすけど、
清姫に、かね(鐘)ごと・焼き殺されてしまう
という・・
わりと、理不尽なストーリーです。
和歌山県に伝わるこの「安珍清姫伝説」
は、
うちのチットの、幼少期からの お気に入り
先日も、通販で「安珍清姫モチーフのアクセサリー」
を 見つけ、
買いそう
この話は なぜに、
そうやって
人々を
何百年も ひきつけてきたのでしょうか
ちょっと、考えました。
清姫は13~16さいと 設定されているらしく、
とても若いです。
若い女の子の一途な恋心は、
自分の気もちが だれかを困らせてしまうことがある、
なんて 気づきもしない
ましてや、
好きな相手から 拒否されたら、
たいへんな ショックを 受けるだけ・・
そんな、「烈しい・純情」は、
だれもが、けいけん(経験)により
知るところです。
一方で、
たいした・うらぎりを 犯したわけでもない
安珍を、
しゅうねん(執念)深く 追いまわし
死に至らしめる・おそろしさは、
「女の性(サガ)って怖いよね」という・・
人々の 共通にんしき(認識)の ツボをも
突いて、
この物語への 関心を
途切れさせることは ありませんでした。
今のかんかく(感覚)で言えば、
「ストーカー女の怖い話」
で
片づけられてしまいましょうが・・
そういう・かんかく(感覚)が
いかに うすっぺらいか
そこに 気づかせてくれる、深い・お話なのでした。
【おすすめ度:】
(※清姫は未亡人だったとの説もありますが・・、大人女性が若い男性にせまってフラれたら、「自分の商品価値はない」とつきつけられたとかんじ、しゅう恥心や何やらで、やっぱり深くきずつくことでしょう
それが、ぼんのう(煩悩)というもの。。(だそうです🐻)
なんだかな~
次回は、なかにし礼の『桜伝説』を お届けします これまた情念に満ち満ちた、男と女の小説です
なんだかな~・・は、つづきます)