クリンの広場

たまっこくりんのおもいのたけ

桜ふる小説・13(宮部みゆき『桜ほうさら』感想)

2022-04-11 | 本と雑誌

「人情話」に 心安らいだクリンは🐻

つづけざまに、もう一冊

人情時代小説を 手に取りました。

 宮部みゆき『桜ほうさら』です。


 

さくらほうさら・・

 (どこの言葉)かと思えば、それは、甲州弁の「ささらほうさら」のひねり

で、

そもそもは「色々あって大変だったねっていう・いみ(意味)

だそうです。

 この主人公は、そんな「ささらほうさら」な

目にあった

若き・さむらい(侍)です

 

<あらすじ>

 時は江戸後期・・ 地方藩士・古橋笙之介は、

父が、濡れ衣で切腹に追い込まれた真相を

探るべく、

江戸に出てくる。 

 背後には藩内の派閥抗争があり、

それに巻き込まれている兄の存在が 

見えかくれ・・

 と、まあ・・ 江戸時代小説には

よくある筋立てで、

実は、かなりはじめのほうで、

犯人の一人が わかってしまいました

 でも そんな表面上のことは さておき、

この物語の「味わうべき部分」は、

主人公を取りまく

江戸の町人連中のあたたかさ

に あります。

 ともすれば、黒い巨悪に立ち向かうだけのつらい読み物を、

おもいっきり和らげる

深川の長屋の住人たち・・

これが

わんさか出てきて、いやされるし

 主人公も、実直で やさしい侍だから、応えん(援)できます

 ざんねんながら・・ 主人公の家族というのが

すさまじく・利己的で、

「肉親だからこその憎しみ

この小説の「隠れテーマ」だったりするし、

・・・

さらに

どうしようもない悪党も 出てきて、

「闇深な言葉」で 

主人を きずつけたりもするのですが、、

 いっしょに きずつきながらも、

さいごはスッキリと 

読み終える・・

 そして、読者は、さくら

ずいしょう(瑞祥)のように

やさしく場面を 転かん(換)させるのを

見る

 

そんな・小説でしたね

 

 

【おすすめ度:(3.8くらい)】

 

 

(※次回は、五味康祐の『桜を斬る』を ご紹介します

 

 

コメント (4)
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