クリンの広場

たまっこくりんのおもいのたけ

暗い時代の人々(森まゆみ・感想)

2023-12-22 | 本と雑誌

前回、「関東大震災のルポを、あの大正ロマン叙情画家・竹久夢二が書き留めていた

という話を しましたが、

 こちらの『暗い時代の人々』という本には、

それだけじゃない。

夢二の、女関係抜きの側面なども  のっています。

(著者は森まゆみ

 

~今日は、本のご紹介です~

この本には、

「1930~1945年の最も抑圧された・暗い時代に「精神の自由」を掲げ、毅然と生き抜いた人々」

の伝記が、9人分のっています。

竹久夢二は、その4人目で、もちろん、環・彦乃・お葉その他の女性遍歴はデフォルトとして記されているのですが、

他にも、夢二が社会主義に傾倒し、大逆事件のお通夜を催したとか、米欧を洋行してこんなに色々活動してただとか・・

彼が一個の思想家であったという・知られざる側面に スポットが当てられています

 夢二以外の8人は
?といえば、やはり、いずれも戦前の日本社会の矛盾に声を上げ

それによって、辛い目に合った人たち・・

しかしながら

自分というものを持ち、たたかった人たち

が やはり取り上げられており

これが、すばらしい・じんせん(人選)でした。

竹久夢二と親交のあった山本宣治(治安維持法に反対して右翼に殺された無産政党の議員)

反軍演説で衆議院議員を辞めさせられた斎藤隆夫

民本主義の吉野作造

社会主義運動家の山川菊栄、九津見房子

反ファシズムで喫茶店フランソアに集った文化人

リベルタンで文化学院の創始者・西村伊作

唯物論研究者・古在由重

という、

歴史を知っていれば・うなってしまうような ラインナップです

 

そして、そこに、彼らへの敬意を込めた文章が つづられています。

 

 森まゆみさん・・谷根千のエッセイスト。文京区の博学者さん、

っていうイメージでしたが、

彼女の、せんがん(選眼)のたしかさと👀

人としての地の良さが あらためてきわだつ

そんな一冊でしたね。

 

(※20世紀初頭の暗い時代のドイツに生きた知識人をラインナップした、ハンナ・アーレントさんの同名作品『暗い時代の人々』にインスパイアされた著作であることは、間違いありませんね

その日本版、といったものでした~

 

 
コメント (18)
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