3月は、サラリーマンにとっては異動の季節。
今から2年前の3月、自分は山口県に転勤することになった。
高校卒業までを下関市で過ごしたこともあり、故郷と言っても差し支えない場所なのだが、
山口市という、県の中央に位置するその土地は、まったく馴染みのない場所だった。
転勤が決まってからは送別会の嵐で、当時のバンド仲間には自分が原因で解散になってしまうのにも関わらず、他のバンド仲間に声をかけ、会社の女の子らも巻き込んで、送別ライブを開いてくれた。
そのとき、餞別がわりにと、自分が確保できなかったストーンズの武道館公演のチケットを友人のSが譲ってくれた。
30年ぶりに実現されたローリング・ストーンズの武道館公演。それはそれは素晴らしく、感動的なライブだったけど、自分にとっても特別なライブとなった。特にキースの歌う「Slippng Away」という曲。アルバム「Steel Wheels」のラストを飾る、地味な一曲だけど、その切ないメロディーと、2日後に東京を去る自分の心情が重なり、聞いているうちに、思わず涙が出てきてしまった。それ以来3月になると季節柄どうしてもあの時の切ない気持ちが蘇えってしまう(笑)。
会社に入ってからすぐに営業部に配属となり、20代をずっと営業部で過ごした。また、同じ部署に同期がいなかったせいもあり、いつも、部の先輩たちは自分の年齢の時にどんな仕事をしていたかを意識して、それに負けない様に頑張ってきた。そしてそれなりに実績を残してきた(つもり!)。
02年春、会社から突然、企画室への異動を命ぜられた。
そこは社長直轄の部署で、主に数字を扱う経営企画から秘書、広報・販促が一緒になった部署だった。
社長は、企画室出身で、営業を経験してのし上がっていった人で、営業の役員時代には、経験が無いなりに新規へのアプローチを行ったり、よく自分の得意先に顔を出してくれたり、ピンチになったときも率先して得意先回りをしてくれる人だった。クセもあり、アクも強く嫌う人も多かったが、社内営業ばかりして、外に顔の効かない上司より、よほど「使える」役員だった。自分の企画室への異動も、実は社長が指示したものだった。
ただタイミングが悪いことに、時はうちの会社に、というかグループ(今お騒がせ中のSグループです!)にとっては厳しい時期で、グループ各社のリストラ、清算、売却などが推し進められるという、非常につらい時期だった。例にもれずうちの会社も、少しでも利益を出そうと奮闘していたわけだが、鬼のような親会社に吸い取られるだけ吸い取られ、さらにグループ外に売却を、なんていう厳しい状況にあった。さらに、営業面でも別業種メーカーの参入によりシェアを奪われ、売上の下降に歯止めがきかない時期にあった。
そんな中、自分は企画室という場所で、それはそれは重要な部署なんだけども、いかんせん異動してきたばっかりなので即戦力にはなり切れない。周りは皆思いつめた顔してパソコンに向かったり打ち合わせをしてるのに、なんだかまるで自分は新入社員の様な心もとない心境。一方営業部は春の組織変更で自分同様に、他部門から来た新米営業マンばかりで、泥臭い他社の営業マンに連敗を喫してばかりだった。
だから自分は、少しの思い上がりの気持ちもあったと思うが、このタイミングに営業にいれない現実に腹立たしさと、戻してくれれば…という歯がゆさで、悶々とした日々を過ごしていた。新商品のリリースなんか書いてる間に、会社潰れちゃうぜっ…って。とられたシェアを取り戻すのがどんなに大変なことか…。
そんなある日、自分もよほど思いつめていたからだと思うが…、思い切って社長に直談判した。
「そんなに私の部署にいるのが嫌か!」と普段一般社員にはおだやかな口調で話す人がキレた。ヤバイ!とは思ったが、今、この時期に自分を最大限に生かせる=会社に貢献できる場所は営業部だと自分なりに思ってたからひく訳にはいかなかった。ただ予想外の怒りをかってしまい、「こりゃ、営業には戻れないな」という思いを強くした…。
数日が経った午後のこと。社長室に上司が呼ばれ、数分の後、青ざめた表情で帰ってきた。「社長がお呼びだよ…。」って。
社長室に入ると、いつもの様に穏やかな笑みを浮かべた社長がマイナーチェンジを施した組織図を前にして座っていた。
「君が一番コストパフォーマンスを発揮できるのは営業でしょう。僕もそう思うよ。期待してるよ。」と言って組織図で指した場所は、なんと「山口営業所」!。山口に営業所なんかあったっけ!?。
頭の中が真っ白に…。
うちの会社が、とある小さな会社を買収し、その会社を中国地方と九州地方へ向けた製造拠点とし、そこに営業所を置くので、中国地方の販路を拡大して来い、というのだ。
元上司が先発隊で工場長として入っているものの、行くのは一人。見知らぬ土地に…。山口営業所の管轄は九州事業所になるから、直属の上司は博多にいることになる。
あまりにも急で、考えもしなかった展開に慌てたが、動揺を悟られたくなかったので、
「わかりました。行ってきます。」とだけ答えた。というか、それでいっぱい、いっぱいだった…。
飛ばされるのか…!?。
長くなったから、続きはまたあらためて書こっと…。
写真は、伝説となったローリング・ストーンズ、03年3月10日の武道館公演を完全収録したDVD!。ブートのくせに2カメラ使用の2アングル収録(もちろん隠し撮り!)。
更に音声は5.1ch(あまり効果は確認できなかったけど…)。
「Slipping Away」も、もちろん収録(涙)。
今から2年前の3月、自分は山口県に転勤することになった。
高校卒業までを下関市で過ごしたこともあり、故郷と言っても差し支えない場所なのだが、
山口市という、県の中央に位置するその土地は、まったく馴染みのない場所だった。
転勤が決まってからは送別会の嵐で、当時のバンド仲間には自分が原因で解散になってしまうのにも関わらず、他のバンド仲間に声をかけ、会社の女の子らも巻き込んで、送別ライブを開いてくれた。
そのとき、餞別がわりにと、自分が確保できなかったストーンズの武道館公演のチケットを友人のSが譲ってくれた。
30年ぶりに実現されたローリング・ストーンズの武道館公演。それはそれは素晴らしく、感動的なライブだったけど、自分にとっても特別なライブとなった。特にキースの歌う「Slippng Away」という曲。アルバム「Steel Wheels」のラストを飾る、地味な一曲だけど、その切ないメロディーと、2日後に東京を去る自分の心情が重なり、聞いているうちに、思わず涙が出てきてしまった。それ以来3月になると季節柄どうしてもあの時の切ない気持ちが蘇えってしまう(笑)。
会社に入ってからすぐに営業部に配属となり、20代をずっと営業部で過ごした。また、同じ部署に同期がいなかったせいもあり、いつも、部の先輩たちは自分の年齢の時にどんな仕事をしていたかを意識して、それに負けない様に頑張ってきた。そしてそれなりに実績を残してきた(つもり!)。
02年春、会社から突然、企画室への異動を命ぜられた。
そこは社長直轄の部署で、主に数字を扱う経営企画から秘書、広報・販促が一緒になった部署だった。
社長は、企画室出身で、営業を経験してのし上がっていった人で、営業の役員時代には、経験が無いなりに新規へのアプローチを行ったり、よく自分の得意先に顔を出してくれたり、ピンチになったときも率先して得意先回りをしてくれる人だった。クセもあり、アクも強く嫌う人も多かったが、社内営業ばかりして、外に顔の効かない上司より、よほど「使える」役員だった。自分の企画室への異動も、実は社長が指示したものだった。
ただタイミングが悪いことに、時はうちの会社に、というかグループ(今お騒がせ中のSグループです!)にとっては厳しい時期で、グループ各社のリストラ、清算、売却などが推し進められるという、非常につらい時期だった。例にもれずうちの会社も、少しでも利益を出そうと奮闘していたわけだが、鬼のような親会社に吸い取られるだけ吸い取られ、さらにグループ外に売却を、なんていう厳しい状況にあった。さらに、営業面でも別業種メーカーの参入によりシェアを奪われ、売上の下降に歯止めがきかない時期にあった。
そんな中、自分は企画室という場所で、それはそれは重要な部署なんだけども、いかんせん異動してきたばっかりなので即戦力にはなり切れない。周りは皆思いつめた顔してパソコンに向かったり打ち合わせをしてるのに、なんだかまるで自分は新入社員の様な心もとない心境。一方営業部は春の組織変更で自分同様に、他部門から来た新米営業マンばかりで、泥臭い他社の営業マンに連敗を喫してばかりだった。
だから自分は、少しの思い上がりの気持ちもあったと思うが、このタイミングに営業にいれない現実に腹立たしさと、戻してくれれば…という歯がゆさで、悶々とした日々を過ごしていた。新商品のリリースなんか書いてる間に、会社潰れちゃうぜっ…って。とられたシェアを取り戻すのがどんなに大変なことか…。
そんなある日、自分もよほど思いつめていたからだと思うが…、思い切って社長に直談判した。
「そんなに私の部署にいるのが嫌か!」と普段一般社員にはおだやかな口調で話す人がキレた。ヤバイ!とは思ったが、今、この時期に自分を最大限に生かせる=会社に貢献できる場所は営業部だと自分なりに思ってたからひく訳にはいかなかった。ただ予想外の怒りをかってしまい、「こりゃ、営業には戻れないな」という思いを強くした…。
数日が経った午後のこと。社長室に上司が呼ばれ、数分の後、青ざめた表情で帰ってきた。「社長がお呼びだよ…。」って。
社長室に入ると、いつもの様に穏やかな笑みを浮かべた社長がマイナーチェンジを施した組織図を前にして座っていた。
「君が一番コストパフォーマンスを発揮できるのは営業でしょう。僕もそう思うよ。期待してるよ。」と言って組織図で指した場所は、なんと「山口営業所」!。山口に営業所なんかあったっけ!?。
頭の中が真っ白に…。
うちの会社が、とある小さな会社を買収し、その会社を中国地方と九州地方へ向けた製造拠点とし、そこに営業所を置くので、中国地方の販路を拡大して来い、というのだ。
元上司が先発隊で工場長として入っているものの、行くのは一人。見知らぬ土地に…。山口営業所の管轄は九州事業所になるから、直属の上司は博多にいることになる。
あまりにも急で、考えもしなかった展開に慌てたが、動揺を悟られたくなかったので、
「わかりました。行ってきます。」とだけ答えた。というか、それでいっぱい、いっぱいだった…。
飛ばされるのか…!?。
長くなったから、続きはまたあらためて書こっと…。
写真は、伝説となったローリング・ストーンズ、03年3月10日の武道館公演を完全収録したDVD!。ブートのくせに2カメラ使用の2アングル収録(もちろん隠し撮り!)。
更に音声は5.1ch(あまり効果は確認できなかったけど…)。
「Slipping Away」も、もちろん収録(涙)。