With A Little Luck!

趣味と生活と衝動買い日記です!(笑)。

ゆっくり、あせらず・・・。

2005年03月18日 | 日常
今日は、山口営業所時代の上司(というか、もう同志だな(笑))が、予算のヒアリングのため、東京の本社にやってきた。
約1年半ぶりくらいに会うが、まるで昨日事務所で別れて今朝出勤して会うような親近感があった。
この人は典型的な関西人で、中途で入ってきたこと、高卒であることのコンプレックスをバネにのし上がって来たタイプで、ハッキリ言って自分とは正反対の人間。
けれど、すごく可愛がってくれて、山口時代も、こちらが提案したこと、やりたいことを相談した時には、決してNO!とは言わなかった。それだけ信頼されると、逆に人間裏切れないもんで、実現しようと一生懸命頑張った。うまいこと操られてたのかも(笑)。

午後、その元上司と一緒にTさんのお見舞いに向かった。
Tさんは、うちのメインの工場の元工場長で、去年の夏、丁度世間がお盆を迎えている頃(工場にとっては最盛期)突然倒れた。
脳梗塞だった。しかも重度の…。
完全な植物状態で、よくなったとしても、わずかに自由のきく左手で筆談ができるようになるのが精一杯で、言葉を発することはこれから一生、ほぼ不可能と言われた。

去年の11月以来2度目のお見舞いとなる。
Tさんは年明けに退院し、今は自宅マンションでリハビリを続けている。
呼び鈴を押すと、本人がカギを開けて出迎えてくれた…。立って歩いている。
元気だった頃は肥満というかデブで、かなりの大男だったが、今はカロリー制限を続けて15キロやせたとかで、以前よりもずっと若々しく見える。
こちらの言うことは完全に理解できているようで、言葉も単語なら話せるようになっている。記憶も徐々に戻って来ているようで、倒れた当日のことまで話してくれた。

発せられる単語を組み合わせ、なんとか話している内容を読み取ろうとする。違っているとTさんは、思いっきりがっかりした顔をし、合っていると、右半分にしびれを残した顔に満面の笑みを浮かべ「そうだ!、そうだ!」と言わんばかりにうなずく。
そんなやりとりを続けているうちに、自分達もTさんも、奥さんの目にも涙が浮かんでいた。
倒れてから約半年、どんなにリハビリ頑張ったんだろう。最悪の状態だったのに、今は杖を使いながらも歩け、まったく動かなかった右腕もわずかながら上がるようになっている。

きっと帰ってきてくれると確信した。あせらないで、ゆっくりに、と言ってマンションを後にした。

人間なんて、いつどこでどんな風に運命が変わってしまうかはわからない。
でもそこで、人生が終わるわけではなく、ちょっと流れが変わるだけなんだぜって、Tさんに言われた気がした。