無知の涙

おじさんの独り言

ぼくのふゆやすみ∼シュワキ=マセリ~

2023年12月19日 | 入院

いつもは夏だけど、今回は冬に入院という今までに無いパターン。

 
寒いときに入院するのも悪くない。良くもないけど。
 
いつもの小さい哀病院ではなく、今回はけっこう大きい病院。そのデカさにビビる。
 
猿の惑星で超古代文明の大遺跡が登場したような感じ。呆然。
 
家からもけっこう遠いので、ちょっと抜け出して帰るというワケにもいかない。
 
もう身体に刺さってるパイプ的なものは無い。いつでも行けます!
 
3日も4日も寝ていると床ズレし始めて寝ているのも苦痛になってくる。仕方ないので軽く駅前あたりまで繰り出そうと外出届けを貰おうとしたら怪訝そうな顔で却下された。
 
何故だ。いつもの病院なら午前いっぱい喫茶店にいても文句言われなかったぞ。
 
単純に距離が遠いという事で却下されているのなら、近くの喫茶店で良いのだ。タバコ吸いたいだけなのだから。
 
コノシキチカラデルナ、という事なのであきらめるしかない。あぁ猿の惑星に帰りたい。
 
大きいなりに警備は甘そうだけど、今回は大人しく引き下がろう。
 
この入院生活の為に2週間前から紙巻きタバコは一切辞めて、リキッドの電子タバコにしたのだ。
 
ほんの少しの妥協なく、紙巻きタバコは一切辞めた。いや電子タバコを吸ってる時点で妥協してません?
 
リキッドのやつはタバコ感ゼロなので、3日もそれで凌いでいると、あの紙巻きタバコを切望する渇きみたいなのがなくなってくる。そうなればシメたもので、あとはひたすらリキッドを吸うだけ。
 
そんなワケでこの入院までに、まぁ吸えないなら吸わなくて良いか、くらいの域にまで達したのである。
 
しかし入院生活というのは、本当にやることがない。
 
具合の度合いにもよるのだろうけど、黙ってひたすら大人しく寝ていられるのは、手術的なものを終えてだいたい3日くらい。
 
それが快復の目安でもあるけれど。自分がどれだけ快復しているかなんて数値で見る事もできず、お医者さんも傷の治り具合で判断するしかなく、自分はもっぱらこの睡眠で判断している。
 
まだ寝られるのか、と自分でも驚くくらい寝てる時はそれだけダメージ負ってるし、逆にもう何をしても全く眠れん!という状態になると、あぁ快復してきているんだなと思う。
 
そしてこの眠れん!って状態になってからが入院生活の本番。
 
今回は準備期間があったので、本を3冊にPSVITAにPSPと万全の体制。
 
そう、今回はなんとしてもPSPで遊ぼう!と思って頑張った。
 
バッテリー買って、充電器買って、メモリースティック買って、どうにか動いた。

ずっとスパロボ再世篇をもう一度プレイしたかったのだ。
 
でも残念な事に1日中はできない。夜はガーガー読み込み音が超うるさいし。

なので21時の消灯後はアマプラでザブングルを1話からちゃんと観始めてます。現在34話。
 
後はゆっくり音楽を聴く。静かめの音楽。
 
YouTubeでclassicのコンサート動画を観てるけどすごいな。感動した。とりわけヴェルディのレクイエムは素晴らしかった。一度生で観てみたい。
 
そういえば子供の頃に聞いたクリスマスの童謡を時間がある時にちゃんと聞いてみたい、ってずっと思ってたのだ。
 
ジングルベル
真っ赤なお鼻のトナカイ
あわてんぼうのサンタクロース
もろびとこぞりて
 
歌詞を見るともなく眺め、メロディに耳を傾ける。
 
もろびとこぞりてを聴いている途中で何かが僕の頭を打った。ほんの小さい何かだ。その何かをそのままにして通り過ぎても良かったが、違和感のシッポのようなものを掴んでしまったいた。
 
一体なんだというのだ?
 
シュワキマセリ♪シュワキマセリ♪軽やかないかにもクリスマス的な動揺である。果たしてシュワキマセリという言葉がクリスマスの何に由来しているのかはチンプンカンプンなまま48歳に至るが。
 
歌詞を目で追うと、主は来ませり٠٠٠
 
まさか、「主は来ませり」っつってんの?
 
シュワキ=マセリという呪文みたいな何かかとずっと思ってた。エロイム٠エッサイムみたいな。
 
来ませり?来ませりという日本語ある?
あるわ。いらっしゃいました、という意味だそう。
 
久し振りのタイトル回収。無知の涙。
 
 

ぼくの夏休み 終

2018年12月20日 | 入院

突然僕の病室に現れた男は、変態でも部屋を間違えた人でもなく、看護師さんでした。

昨日まで女性だったじゃない・・・やだよう。怖いよう。

ドン引きと絶望の狭間で完全に思考停止状態に陥っていると、看護師が口を開く。

「体調はどうですか?」

最悪です。体というより心がね。これは死にかけてますね。

検温やら血圧測定やらをさっさと済ませて早々にご退出願おうと思っていると、

「それ」と言って看護師が何かを指さす。

指された方を見てみると、昨日G会の方々が見舞いにと持ってきてくれたプラモデルの雑誌がある。

「プラモデル興味あるんですか?」

まぁ素人レベルだけど、と返事をしてハッとする。あれ?なんだろう、何か選んではいけない選択肢を選んだような気がする。オートセーブでやり直していいですか?

「自分もプラモデル好きなんですよ!いやー、昨日の夜の巡回でその雑誌見かけてから気になって」

遅かった!マジかよ。なに俺の部屋を勝手に覗いてんだよ。

「よ、良かったらその雑誌どうぞ・・そこまで興味ないので」


「え?そうなんですか?でも患者さんから何か貰うと怒られちゃうので」

このプライベート会話は怒られないんですかね。

「ロボット系お好きなんですね」と看護師はテレビ台に置いておいたスパロボのパッケージを見ながら言った。

終わった。もうさすがに興味ない作戦はキツい。

「古い系ばかりで新しいのはぜんぜん分からないけど」そこそこ若そうだからそう切り返してみる。

「僕も古いのばっかりですよ。ゼータとか好きです」

ダーメかぁぁ。提示された選択肢を悉く間違えてる感がある。ほぼ二択のやつを。

「ゼータは映画がダメだったなぁ。」もう面倒くさいから乗ってみる。

「え?そうなんですか?映画は観てないですね」

えぇっ・・観てないのかよ・・。俺のノリ返してくれ。自ら好きと公言するなら劇場版くらい観とこうね。ガンダムオタク怖いんだぞ☆ネットなら袋叩きですよ。知らんけど。

噛み合いそうで、延々にそうでもない不毛な会話を5分ほど続けて満足したのか、看護師は去っていった。

危うくナースコール押すところだ。あれ?今後ナースコール押してもあいつが来るの?やだよう。怖いよう。ナースの来ないナースコールとは一体・・・。

物騒なものは処分しておかないと。そう思い、せっかく頂いたプラモデル雑誌だが、流し場にある雑誌廃棄棚へと葬った。

そして10時になるのを待って、日課になりつつある喫茶店へと足を運び、吸い溜めなんて出来ない事を知りつつも、体が求めてもいない本数のタバコを吸ってしまう。病気ですね。

そして昼近くになり、客が増えてくると店を出る。

時間だけはたっぷりあるので、いろいろ練り歩きたいと思ってはいるのだが、この暑さにどうしても勝てない。ポッキーのように簡単に心が折れてしまう。

それに抗うだけの理由も目的もないので、すごすごと病院へ戻る。

この昼間が一番キツイ。ついつい働いている方が幸せな気がしてしまう。いや、嘘を言いました。すみません。


病室のベッドに横たわり、寝るか寝ないかの中間くらいの状態でスマホを弄っていると、誰かが近づいてくる足音が聞こえる。そしてカーテンの隙間からさっきの看護師がひょっこりはん。

友達か。

「この雑誌」と言って、さきほど廃棄棚に捨てた雑誌を僕に見せる。「いらないんですか?もったいないから貰っていいですか?」

捨てたんだから、断りに来なくていいから・・

言葉は発さず、首肯く。

すると、おもむろに雑誌を開いて、「この新作のとこなんですけど」

続くんですか。

終わり


ぼくの夏休み6

2018年11月07日 | 入院

土曜日の朝。6時。

カーテンを開けて、ついでに窓も開けてみる。今日もまた雲1つない快晴なので、朝からくっそ暑い。

窓から見える大通りには、こんな時間から慌ただしく行き交う人たちが見える。土曜のこんな時間から出勤とか超大変ですね。入院生活バンザイ。働かずに食う病院食とか超うまい。

クズ中のクズか。

たいてい日頃からクズと比較的まともの間を行き来してるだけだが、日に日にこの動けないわけでもないのに、ただただダラダラ入院している生活に慣れていき、クズ度にメーターが振り切れっぱなしになりつつある。


あと3日くらいこの生活を続けたら、絶対に働きたくないマンに変身する自信がある。

予定ではあと2日で退院。ギリギリか。いや、とうの昔に手遅れという噂もあるが。


そんな生活なのだから、ゆっくり遅くまで寝てれば良いのだが、そろそろ看護婦さんの検温タイムなのだ。この入院生活に唯一差し込む光。僕が見た希望。

なんかのお線香のCMみたいな感じになってしまったが、そんな青雲タイムの為に顔を洗って歯磨きを済ませておく。

ほとんどいつも通りの時刻、廊下に足音が聞こ始める。やだ変態ぽい。

そして部屋のカーテンが開かれると、そこに立っていたのは看護婦さんではなく、どこからどうみても男!

なにぃぃ!!

果たしてこの目の前に登場した男は変態か、部屋間違えた人なのか。

つづく


ぼくの夏休み5

2018年10月23日 | 入院

あまりにブン投げっぱなしだった続き。

入院4日目の金曜日。

入院生活の行動範囲を著しく狭めている天敵の点滴がようやく外され、病院食を出してもらえる事になった。

かなり質素。味付けもほとんどない。まっず、おえ。ガンダムで塩の備蓄がなくなる!って騒いでいた話があったが、塩は重要ね。

あまり食欲はないが、いろんな病室の食事を片づけている様子を見ている限りは、この病院には食べたいのに食べられない患者も多そうである。

食べられるだけありがたいのだ3食。

そう感謝しながら完食。

そのあと近くの喫茶店でサンドウィッチを間食。

今日もタバコがうまいyeah。

頭悪そうなラップオブザイヤーみたいのがあったら間違いなく上位入賞。景品に2Bの鉛筆くらい貰えたかもしれない。

 

昼近くになって店内が混み始めてきたので喫茶店を出て街をブラつく。しかしまぁ暑い。焚火の近くにいるような暑さ。外に出て数分でTシャツが汗で湿ってしまう。

そういえば着替えがないのだ、ということに思い当り、近くのSEIYUで下着やらTシャツやら短パンを買いこむ。

病室に戻ってもヒマだが、この暑さでは散歩どころではない。汗だくで歩き回って傷口が化膿したから入院が長引きます、なんて事になったら目も当てられんので、おとなしく病室に戻ろう。

この生活はアレに似てる。合宿免許。山梨の山深いところに2週間ほど滞在したが、あの最後の3日間くらいのヒマさに似てる。もうほとんどの講習は終わっていて、午後にある一時間だけの講習待ちとか、1日のほとんどが自由時間になってしまい、とにかくヒマ。なまじ午後に必須講習があるばかりに思い切って遠出もできないし。近くに何か時間潰せる娯楽があるわけでもないし。延々と部屋の中でゴロゴロしながら試験勉強をするか、本を読むか、そんな生活。

病室に戻ってシャワーの使用申請を出して、久しぶりにシャワーを浴びる。新しい服にも着替えて、準備完了。なんの?

一息ついてベッドでダラダラしていると、ラインにG会からメールが届く。なんと今日見舞いに来てくれるとの事である。小奇麗にしておいて良かった。

昔から変な性癖があり、お見舞いに行くの大好き人間。中高生の頃とか友達が入院すると毎日通うくらい見舞い好き。彼女か。なんだったんだアレ。きっと別の何かと勘違いしていたのだろう。

しかし見舞われる側というのは人生初体験で、正直どうしたら良いものか。どうしたら良いも何もない。ただ待つしかない。

そうして面会終了直前にG会メンバーがやって来た。けっこう遠いのに申し訳ないですね。

プラモデルの雑誌を数冊差し入れに頂いたのだが、このプラモデルの雑誌がその後の入院生活を大きく変化させることになるとは、このときの僕は想像もしなかったのである。

 

 

 

 

 


僕の夏休み 4

2018年07月23日 | 入院

入院3日目突入。

病院の朝は早い。朝6時に看護婦さんがやってきて、血圧と体温を計り、便通の状態を確認される。

体温はだいたい36度前後。血圧は125~130、70~80。

一回だけ、体温37度5分、血圧140というスコアを叩き出してギョッとしたけど、特に何も言われなかった。
不思議。


そろそろ退院したい。主治医が問診に来たので、仕事もあるしそろそろ退院したいんですが、と言ってみたら、まだ早いと一蹴。少なくとも今週は退院できません、とのこと。

マジですかー。こんなちょっとしたアクシデントみたいな怪我でもそんなに入院しないといけないのか。

主治医がそういう以上、こちらとしては従うしかない。ただスマホだけはなんとか家から持ってきたい。

誰か頼めるような人はいないの?と先生。

いない。ぼっちなので。

こちらも割りとしつこく食い下がり、ちょうど昼くらいに点滴の交換があるので、1時間くらいなら、と許可がおりた。

助かった。外出許可申請書をしたため、点滴が外されたと同時に病院を出る。

背中に刺さってる痛み止めは外して貰えなかったので、変なボトルが首から下がってるという出で立ちではあるが、そんなもん誰も見てないだろ。

タクシーで行っても良かったが、久しぶりに外へ出た解放感に流され電車で行くことに。

とにかく暑い。ずっとテレビを見てるしかないので、この酷暑については嫌というほど知らされているが、熱風がすごい。ガンダムの次回予告の後に必ず流れる決めセリフ「君は生き延びる事ができるか?」がマジで日常的に使われるような世界になってきたな。

自宅まで駅ひとつ、徒歩10分程度。帰り道にあるセブンでアイスコーヒーを買って、2日ぶりに自宅に戻る。

腹が痛すぎてクーラー掛けっぱなしで家を出てしまったが正解。ひんやりした部屋でアイスコーヒーを飲み、タバコを吸う。うまい、うますぎる。2日前まで当たり前にしていた日常。健康って大事としみじみ感じる。いま子供が生まれたら健康と書いて、たけやすとか付けちゃうレベル。

そんなエクストリームな妄想をしている場合ではない。あまり時間はないのだ。バッテリーが切れて死に絶えたスマホを拾い、着替えを持ち、忘れてはいけないPSビータもカバンに入れる。この入院生活の暇さを打開する肝心要の切り札。

いっそプレステ4を持っていければ怖いものなし無敵状態だが、あまり居心地良くなっても困る。足りないくらいにしておかないと。満喫してるじゃねーか!みたいに見られるのもアレだし。

そして足早に病院へ戻る。長めに歩いてみて分かったが、けっこう傷が痛む。早足で行きたいのだが、痛みに耐えかねて、ついゆっくりめのスピードになってしまう。

痛み止めを絶えず注入していてこの痛さなんだから、痛み止めしてないと相当痛いだろう。確かにまだ退院は早いのかもしれない。

汗でビショビショになった外出許可をナースステーションに出し、病室に戻る。

二人部屋だったのだか、もう一人の方が退院されたようで、一人部屋になっていた。