火曜日はI課長からのお誘いで新宿で飲み。
そういえば、とI課長。「このまえ引っ越し祝いで貰ったワインなんだけど、あれ20年もたないみたい。」
なにィ!!
おフランス計画失敗。
知らない人にはおフランス計画と言われも何が何やらなので説明させて頂こう。
あれは3週間前------------くらい----だったかな-----
I課長から飲みましょうとお誘いがあり、そういえばI課長、最近引っ越したんだなぁという事で飲みメンバーのHさんと何か引っ越し祝い贈りましょうかと画策。
贈りましょうはいいけど、こんなとき何を贈っていいのか僕にはサッパリ分からない。
先日も誕生祝いにキティちゃんの人形を贈ってちょっと嫌な顔をされたばかりである。なにキティちゃんが嫌なの?俺が嫌なの?
ここは年長者で経験豊富なHさん頼みだなと、贈り物を考えているフリして他力本願寺で瞑想に耽け、Hさんのアイデア待ち。
すると、ワインなんてどう?とHさん。
ワイン?
娘さんが生まれた年のワインを贈って、娘さんが20歳の時にそのワインを飲んでもらう。
なにそれ素敵。マルガリータ、これはね、君が生まれた年のワインなんだよ。みたいな。おフランスの家庭みたいな光景が脳裏に広がる。さすがHさん。これはもうワインで決定。
本来であればそのままワイン選びから購入までHさんにお願いしたいところだが、どうもそこまではお願いしづらい。頭脳がないぶん動く役はこちらがやるしかないか。
いや、買うのは全然やぶさかではないのだが、自慢じゃないけどワインなんて何も分からない。あなたの知らない世界くらい知らない世界。
思えば家を出てすぐあまりの金の無さにダイエーかなんかで1本300円くらいのボトルワインを買ったのが初めてのワインとの出会い。
家に帰ってさっそく飲もうと思ったら飲み口のところにコルクが詰めてあって大変困った。どうしていいのか分からない。ビンを逆さにして振ってみたり、指で押してみたり。完全に未知の食べ物を与えられたサル状態。
ついにハサミを持ち出して上からコルクを削ってみたり、しかしどうにも進展しない。最終的にハサミでコルクをビンの中へ押し出すという知恵も何もあったもんじゃない戦法でなんとか飲むことに成功。サルだってもう少し上手くやりそうなものだが。
コルクの残骸が浮くワインを1本空けたが、まぁこれが酔った。回る回る世界は回る。遊園地のコーヒーカップに乗っている感じ。しかもフザけてかなり速く回転させちゃったやつ。翌日の二日酔いも相当だったし、それ以降ちょっとワインとは距離をとって生きてきました。お互いに好きになれなかったのだ。
なワケで本当に知識がないので、どういうワインが良いかだけHさんに聞いてみると、
・当然2018年製造
・何かしら賞を取ってるもの
・赤と白のセット
そんなの予算金額で買えるのか・・・と思い、ネットで調べてみると、〇〇賞受賞のワイン5本セットで1万円みたいな事が書いてある。ワインて高級なイメージがあったけど、けっこうお手頃なのね。
そうして飲み会当日、現地へ赴く前に某デパートへ寄り、ワイン取扱店へ。
入ってビックリ。おいおい、なんだこのワインの数・・・。これはもう自分で選ぶとか無理すぎる。
まぁ最初から自分で選ぼうなんて大それた事は微塵にも考えていなかったので、予定どおり店員さんに声をかける。ちょっとワインを選んで欲しいのですが。
あまりナメられて適当にあしらわれても困るので、ド素人である事を見抜かれてはならん。低めの声を出してワイン紳士みたいなノリでいこう。
去年の製造で、何かしらの賞を取ってて、予算これくらいで、贈り物なので、できれば紅白セットがいいんですが。
紅白セットでなんだ。まんじゅうか。赤と白だろ。何かしらの賞、というのもたいへん怪しい物言いである。
ソムリエさんは少し悩んでから、「サンチなどはどこが良いでしょうか?」と聞いてきた。
サンチ?サンチってなに?どこ産ってこと?そんなん分からん。いい感じのとこで選んでくれよ・・・。
ヨーロッパと言いそうになったが、なんとか踏みとどまる。それこそフランスとかのイメージあるけど、そんな限定していいのか。ぜんぜん産地でもなんでもなかったらアウトだろ。
「うーん、そうですね、に、西の方で」どちらにしてもアウトでした。ネットで少しくらい調べりゃ良かったよ。
少しばかり探してソムリエさんが戻ってきた。「まず、赤で2018年度製造されたものはまだ出回ってないですね。白なら2018年度製造ものは多少ありますが。その中で賞を取ったものとなると、これも難しく、ベストセラーということで宜しければご用意できますが」
あ、それでいいです。
そのベストセラーを取ったと言う白ワインを手に取る。安いなぁ。値段を見てみると、思っていたよりぜんぜん安い。本当に大丈夫なのか。まぁそれほど値が張らなくても美味い焼酎が世の中にはたくさんあるように、ワインもそういうことなのだろうか。
1本目はこれにするとして、もう少し値段が高いワインないですかね、と聞いてみる。
値が張らなくても美味い焼酎はたくさんあるが、値が張る焼酎で不味いものはまずない。ワインもそういうことなのではないだろうか。
ただ酒は値が張るにつれて個性も強くなっていき、汎用的な感じが薄まり割と白黒ハッキリしだすから、難しいとこではある。こればかりは人それぞれの好みなので、どうしようもない。でもウィスキー好きな人がシーバスリーガル飲んで不味いというパターンは少ないでしょう。
それですと、こちらはどうでしょう?と店員さんが持ってきたワインを見る。いいね、理想的。
そうして無事にワインを購入したのでした。
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やはりそれなりの値段じゃないと20年も保たないのだろうか。
洋画とか見てると地下のワイン部屋みたいなところに貯蔵されてる感じだけど、ああいう半永久的に温度差があまりないような場所で保管しないとならないとか、そういう事だろうか。
20年後に飲んでもらうためはどうしたら良いかも店員さんに聞いとけば良かった。