尿意で目を覚ますと夜中の零時。
寒い。暖房入れるほどではないけれど、浴衣1枚で過ごすのは少々厳しい季節になってきた。
トイレに入り、用を足して出ようとすると、摩訶不思議。トイレのノブがない。
ノブどしたんだよ。
トイレのクセがスゴい、とか言ってる場合じゃない。ノブないと扉が開けられないだろ。
トイレ内を探してみるが、どこにも見当たらない。
妖怪ノブ隠しでもいるのか٠٠٠
ふと思い出した記憶。そういえば、夕飯帰りに部屋に戻ってきたとき、Hさんがトイレのノブが取れてどうのと盛り上がってたな٠٠٠。
取っ手を取ってそのまま部屋の外に置いたな!
完全にやられた。トラップ。
指でノブを支持してる心棒をつまんで回してみるが、最後まで回しきらない。
やばい。このままではトイレで1泊だぞ。千葉まで来てトイレで寝た思い出プライスレス。やかましいわ。
いやきっとそう遠くないうちに誰かが小便しに起きてくるだろう。
けれど、誰もいないと思って入ったトイレの中に自分が立ちはだかっていたら絶叫モンなのでは٠٠٠
それはそれで見てみたい気もするけど、トイレに何時間も閉じ込められてたなんてHさんに知られた日にはしばらくネタにされるのは
目に見えている。
なんとかしないと!
力任せに開ける事はできそうだけど、既に壊れかけたこの扉が無事では済むまい。それは本当に最後の手段だ。
ペンチなんか無いし、なにか心棒を掴むものはないだろうか。あるわけがない。
仕方なく浴衣の裾を心棒に巻き付けてノブみたいにして回してみる。
回った!扉が開いた!
僕には帰れる場所があるんだ、コンナニ嬉しいことはない。分かってくれるよね、トイレにはいつでも行けるから٠٠٠
というわけで無事に脱出成功。
全員寝てるし、何もなかったのだ。
二次被害を防ぐ為にもノブをちょっと探してみるが、どこにもない。どこやったんすかマジで。