ガンダムユニコーンが予想以上に面白かったので、慌ててOVAの2巻を借りました。
2巻では赤い彗星ことシャア・アズナブルの再来と呼ばれる、フル・フロンタルという人物が登場する。
シャアのように仮面を被り、物言い、そして声までシャアに酷似している。おまけにモビルスーツの色も赤く、もちろん他の3倍のスピードで迫ってくる。戦い方もシャアそのもの。
シャアと言えば、第2次ネオ・ジオン戦争(逆襲のシャア)の際に、行方知れずとなっている。死んだという見方が強いが、これまで何度となく死地を乗り越えては再び登場してきただけに、このフル・フロンタルという人物がシャアではないのか?と考えてしまう。
フロンタル本人が「周囲が望むならシャアになる」というようなセリフを吐いているので、シャアではないのだろうが、それにしても似すぎている。ああも似る他人などいるものか。
仮面を被っていることについては、ファッションのようなものであり、プロパガンダのようなものだと言い、アッサリと素顔を見せる。いやいや、シャアだろ。どこをどう見ても。
でもその言動が逆にシャアではないことを示してるようにも思う。仮面をプロパガンダなどと、シャア本人なら言うハズがないように思う。
それが開かれれば連邦政府を覆す事になると言われる「ラプラスの箱」。それを手中に握っていると思われるビスト財団がそのカギをインダストリアル7にて袖付き(ネオ・ジオン)へ譲渡しようとするが、その動きに感づいたロンドベルが奇襲をかける。戦場と化す工業コロニー・インダストリアル7。アナハイムの専門学校生であるバナージ・リンクスは偶然搭乗する事になったユニコーンガンダムで袖付きの4枚羽と交戦するところから始まる。
まるで神獣ユニコーンのような1本角のモビルスーツが、NT-Dと表示されるモードに突入した時、その姿は変形する。装甲が稼動し、顔のようなものが現れ、1本の角がVの字に分かれ額に収まる。
変形した姿を見たミネバは呟くように言った。「ガンダム・・・」
全身にサイコフレームを施したその機体は、パイロットの思考をダイレクトに感知し、挙動を行う。その為、パイロットへかかる負担は大きい。システム発動後の活動限界は5分。
生身でNT-Dによる戦闘を行ったパイロットのバナージは、4枚羽を退けることに成功したが、NT-Dの負荷による影響で気を失ってしまう。宙を漂うユニコーンを捕獲したのは、連邦軍の独立部隊ロンド・ベルに所属する、かのネェル・アーガマであった。
ネェルアーガマの医務室で意識を取り戻したバナージであったが、ろくに手当てすらされる間もないまま、彼が目を覚ますのを待ち構えていた連邦の軍人たちに事情聴取の名目で取り囲まれてしまう。モビルスーツは機密であり、無断で搭乗すれば極刑も在り得る、そのような脅し文句が少年に向けられる。
赤い彗星の再来-ことフル・フロンタルが、そのモビルスーツを奪還すべく、今まさにネェルアーガマを強襲しようと迫っているのを知らずに。
フル・フロンタルの射撃は実に正確で、ネェル・アーガマは寸分の無駄なく無力化されていく。
ちょうどその時、連邦が偶然アーガマへ乗り込んだオードーリーと名乗る少女の正体が、かのミネバ・ザビであることに気づく。
地球連邦軍特殊部隊「エコーズ」のダグサ中佐はミネバを人質に取り、フロンタルへ戦闘の停止を呼びかけるが、フロンタルは逆にユニコーンを差し出すように呼びかける。まるでミネバの身を案じていないかのようなフロンタルの行動に中佐は疑念を感じるが、ミネバ当人はまるで動じてない。
ミネバ「あのフル・フロンタルはシャアかも知れないと言われている男です。ジオン・ダイクンの遺児が、ザビ家の末裔を大事にするはずがない」
逆手を取られてしまった連邦は応対する事ができずに、交渉は決裂。フロンタルの再攻撃が始まる。
このままでは本当に撃沈されてしまうアーガマから再びバナージ駆るユニコーンが出撃する。ミネバを人質にさせない為に。
ユニコーンはビームライフルで応戦するが、フロンタルには当らない。「当らなければ、どうということはない」まさに1年戦争時にシャアがアムロの放つビームライフルをことごとく避けながら言い放ったセリフである。
接近戦に持ち込まれ、徐々に追い詰められるユニコーンであったが、そのときNT-Dが発動する。圧倒的なスピードで形成を逆転するかに見えたが、突然現れた4枚羽に動きを止められ、バナージはそのまま気を失ってしまう。
バナージは袖付きの軍事拠点パラオに連行され、そこで4枚羽のパイロットであるマリーダ、そしてフロンタルと対面する。
暴力はいけないと訴えるバナージであったが、自らもユニコーンで人を殺した事実を突きつけられ苦悩する。
そんなバナージにマリーダは言う。
「お前の言うことは間違っていない。正しい戦争なんてない。でも、正しさが人を救うとは限らない」
宇宙世紀が始まったとき、時の首相は「神の世紀との決別」と言ったそうだが・・・。太陽も星の一つに紛れてしまいそうなアステロイド・ベルトに住む彼らには、すがるべき光が必要だったのだろう。光がなければ人は生きていけない。宇宙に捨てられた人々は、やがて神に代わる光を見出した。ジオンという名の新しい光を。
彼らには、それが必要だった。絶望に抗い、残酷で不自由な世界で生き続ける為に、この世界には改善の余地があると思わせてくれる何かが。