「天元」
とは、万物生育の根源という意味があり、
また囲碁の用語では碁盤の中央(中心)を指す。(wiki調べ)
これはまだ・・・
自分の運命に
気付かぬ一人の男の物語----------------
今より遥かな未来。
人々は地中の穴の中で暮らしていた。
時折起こる地震に脅え、
村民の心は小さく凝り固まっていた。
そんな無数にある集落の一つ--------
ジーハ村。
村の領土を拡張する為に、彼らは穴を掘る。
その中で一際穴掘りに卓越した能力を発揮する少年がいた。
少年の名はシモン。穴掘りシモン。
シモンは掘削中に妙な小型のドリルを発見する。
シモンは穴掘りに関しては突飛な才能を秘めていたが、
それ以外の事はからきしダメな少年である。
村の女の子たちも穴掘りばかりしてるシモンを気持ち悪がり、
近づこうとしない。
そんな女の子たちの態度に、しょげ返るシモン。
その前に一人の男が立つ。
彼の名はカミナ。
カミナ---------
一風変わったガキ大将である。
包容力があり、子分思いのいいアニキ分である。
その所為か、自分をアニキと呼ばせたがる。
彼は少数の子分を従え、グレン団というチーム名をつける。
カミナはシモンに言う。
「お前のドリルは村長のモンじゃねぇ。
そいつはオマエ自身だ。
オマエのドリルは天を突き破るドリルなんだよ!」
彼はこの穴ぐらの上に地上があるのを見たことがある、
数少ない一人である。
カミナは地上に出たがっていたが、
誰も地上があることを信じない。
そこで3人の子分とシモンを連れて脱出計画を企てる。
「オマエのそのドリルで、あの天井をブチ抜くんだ!!」
だが待ち構えていた村長によって、
その計画は阻止される。
カミナ率いるグレン団は村長に捕らわれてしまう。
だが子分たちはすぐに村長に取り入り、
シモンは穴掘り能力を見込まれているため無罪放免。
お咎めを受けたのはカミナ一人であった。
村長がカミナに怒鳴りつける。
「いい加減に目を覚ませ!お前が言う地上なんて物はない!」
だがカミナも屈しない。
「そんなコトはねぇ!俺は見たんだ。
地上には壁はねぇ!天井もねぇ!
その代わりに光り輝く青空があるんだ!」
その時、突如として地震が襲う。
村民たちはパニックに陥り、穴の中に逃げ込む。
だがカミナは逃げない。
「カミナ!逃げよう!カミナ!」
シモンはなんとか説得しようとする。
「イヤだ。…オレは逃げねぇ!」
強情を貫くカミナ。
シモンの脳裏に
辛い過去がフラッシュバックする。
ガレキに押しつぶされていく男女。
幼いシモン。
届かない手・・・・
「逃げないと!潰されて死んじゃうぞ!!!」
シモンのその言葉を聞いたカミナは
我に返ったようにハッとする。
「そうか…そうだったな。オマエは…
安心しろ!もうおさまる」
シモンを守るように抱き寄せるカミナ。
やがて揺れは止まり、
隠れていた村民たちが姿を見せる。
カミナは叫ぶ。
「毎日まいにち!!
こうやって地震に脅えて生きてゆくのかよ!!」
「地上に天井はねぇんだぞォッ!」
カミナは牢獄に入れられ、
シモンも穴掘りに戻される。
シモンは穴を掘りながら考える。
「地震で俺の親は死んだ…七つの時だった。
こうやって、いくら穴を掘ったって、
俺も、みんなも、いつか天井が落ちてきて潰されて死ぬんだ。
それが決まりなんだ」
だがシモンはふと思う。
「決まり…なのか?」
その時、シモンのドリルが再び妙な物を発掘する。
それは巨大な人の顔だった-----------
シモンが最初に掘り出した小型のドリルが反応する。
シモンはその巨大な顔をカミナに見せようと、
牢獄まで穴を掘り、カミナを連れ出す。
その時、すさまじい爆裂音と共に、
天井が砕かれ、穴ぐらに降ってくる物体(unknown)が一つ。
それは巨大な顔に手と足が生えた
奇妙なロボットだった。
つづく(次回!未定!)