「ほんもののお姫様だったら、
お布団の下の一粒のえんどう豆なんて、
わかってても口に出さないものよね?」
いや、それよりも、敷布団20枚、羽布団20枚重ねた上に
よじのぼって寝るお姫さまなんて、猫に決まってるじゃないか。
(ところで真鈴さん、それは運送屋さんの梱包材です。
返してくれたまえ)
以下、蛇足。
「えんどう豆の上に寝たお姫様」の
敷布団20枚云々はアンデルセンの創作・・・だと思うけれど。
グリムにもほぼ同じ内容の「えんどう試し」という話があるが、
こちらはマットの上に敷布団6枚だけ。
そのかわり、えんどう豆は3粒置くなど、芸がこまかい。
しかもアンデルセン版のお姫様が迷ってきたふうなのに比べ、
グリム版のお姫様は、とんでもない「押しかけ嫁」なんである。
むちゃくちゃ強気で、自信満々で、可愛げがない。
これが民話としての原型であったとすれば、
アンデルセンが自分流に書き直したくなった気持ちがわからなくもない。
面白い。
さらに蛇足。
アンデルセンという人は、すぐれた「言葉つかい」であった反面、
絵にするとつじつまが合わなくなるようなことを、ときどき平気で書いている。
敷布団20枚もそのひとつだが、最たるものは「みにくいあひるの子」だ。
一種の叙述トリックともいえるようなこの話、絵本化しようとしたら
通常の方法ではかなり難しいんじゃないかと思うのですが、
どうでしょうか。