閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

御飯の炊き方

2011-03-21 17:46:57 | 日々

停電対策として、「ごはんを鍋で炊く方法」が
動画投稿サイトでいくつも紹介されていた。

えーそんなにみんな知らないコトだった?と軽く驚いたが、
考えてみればわたしだって最後に鍋で炊いたのは
たしか20年以上前で、あれはたしか古い電気炊飯器が
いきなりバチッと火花を散らして壊れたときだっけ。

結婚する前は、実家に電気炊飯器がなかったので、
(昔の炊飯器はあまり美味しく炊けなかったしね)
わたしは中学生のころから鍋で炊いていた。
学校から帰ると、テーブルの上にはたいてい
お米何合と母の指示が書かれたメモがあった。

「ああ、はじめちょろちょろ、なかぱっぱ、ってやつ」
と多くの方がおっしゃるが、そのやり方は知らない。
厚手の鍋で、ふたをして、はじめっから強火。
ぶくぶく煮立って、ふきこぼれる寸前に弱火にして、
鍋のサイズやお米の量にもよるけれど、だいたい15分。
最後にぶわっと3秒間だけ強火にして、消す。
消したらそのまま10分むらすと、できあがり。

手元にあるいちばん古いお料理の本をひらいてみると、
最初に「御飯の炊き方」がおよそ8ページにわたって
たいそう詳しくていねいに説明されている。
以下、「家庭料理基礎篇」(婦人之友社 昭和29年改訂版)より
ちょっと引用させていただきます。

<私たちが1食に食べる御飯の量を
普通の御飯茶碗に2杯半(かるく3膳)とすると、
それはお米の時は同じ茶碗に1杯であったのです。
即ちお米の増える率は約2倍半ということになります。
茶碗1杯のお米の分量は、140グラムが普通です。
140グラムは1合にあたります>

理詰めで迫ってくる感じで、何やら説得力がある。
(いや、しかし、1食にかるく3膳ですか。
うちではふたりで1合でもたいてい余りますけど・・)

<火を弱くすると今まで水平に吹き出していた湯気は
お釜の蓋に沿って上へ立ち上ります。
その中に湯気はだんだん弱くなり、
四方からお釜の蓋を包むような形になって、
終いには殆ど消えてしまいます。
なおよく観察していると、いかにも御飯の炊けたらしい
香りがして来ます。そこで火を止めます。
弱火にして約15分から20分ですが、
これもお家の実験でよくためしてみて下さいませ>

観察と、実験。
料理の理は、理科の理でもあるのね。
とすると、理系女子のみなさんはお料理じょうずかも。

<芯が出来たり、お焦げが出来たりした時の
応急手当もありますが、これまで申し上げたようになされば
家庭で炊く少量の御飯にそういう失敗のある筈はありませんから
特に申し上げません>

・・あらら。

上の画像は「目秤り、手秤り」というとても役に立つページ。
この本、実際には漢字はすべて旧字体、
単位はメートル法と尺貫法が併記され、
グラムは瓦という字が使ってあるレトロ仕様。
えーと、たぶん、うちの母が結婚前にちょっと通ってた
お料理学校の教科書だと思われます・・
物持ちの良い子でしょう!

(そして、この本を読んでいると、わたしはなんとなく
宮沢賢治の「グスコーブドリの伝記」を思い出すのだけれど、
それはいったいなぜだろう)

 

コメント
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