閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

ピザとピッツァパイ

2008-07-10 09:15:57 | 日々

ときどきピザが食べたくなる。
有名なお店の本格的なのじゃなくていい。
そのへんで売っているような普通のでいいのだが、
わたしには体質的に苦手な食材がいくつかあり、
宅配ピザも、出来合いの冷凍品も、
たいていその「禁止コード」にひっかかるので、
なかなか食べることができない。

ピザの台だけを売っているので、
それを買ってくることにした。
ピザソースは要らない。
チーズはできるだけ脂肪分の少ないものを。

台に、うっすらとケチャップを塗る。
塗らなくてもいい。
乾燥オレガノかバジルをぱらぱら振る。
岩塩と黒胡椒を振る。
具には、ごく少量のオリーブ油で炒めた茄子。
エリンギ茸のスライス。トマトのスライス。
最後に、決して多すぎない量のチーズ。

オーブントースターで焼く。
焼きあがったところに、青じそのせん切りを散らす。
あっさりして美味しい。
こういうピザならホールサイズで食べられるのが嬉しい。

台から作れば当然もっと美味しいと思うけれど、
強力粉もイーストも、このために買ってくると、
必ず使い切れず無駄にしてしまうので、
今のところは、ありあわせ簡易ピザの
バリエーションにこっている。

ゆでた小海老に、玉ねぎ、ピーマン、トマト。
ツナ、コーン、ごく少量のマヨネーズに醤油を数滴。
牛乳を加えてふわっと作ったスクランブルエッグ。
チーズと、岩塩と、黒胡椒で。
トッピングにルッコラのスプラウト。などなど。

 

「ピッツァパイの中味は、なにがいい?
カニかカタツムリかクルミバターだ」

庄野英二の『星の牧場』で、
水車小屋に住む通称「ティンパニ」が、
オーケストラの仲間たちに食事をふるまうシーン。
「イタリア風のピッツァパイ」だとティンパニは言っているが、
2枚重ねた間にペースト状の具が入っていて、
パンとモチのあいのこのようだ、と主人公モミイチは思う。
日本の「おやき」のイメージに近い気もする。
この本に出会ったのは9歳のときだ。
これほど美しいファンタジーは他に知らない。
そして、これほど魅力的な、あるいは不思議な食べ物が
たくさん出てくる本も、他に知らない。

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蜂・鹿

2008-07-09 09:04:36 | 日々

空き地に切った木を積み、雨除けにトタン板をのせてある。
そのトタンの裏側を、黒猫2匹が、鼻の上にしわを寄せたような
変な顔で見上げているので「なあに?」とわたしも覗いたら、
いつのまにかアシナガバチの立派な巣ができていた。

灰色の紙のような壁で何部屋にも仕切られたアパートだ。
働き蜂がびっしりとりついて、こまかく羽をふるわせている。
その様子がいかにも一生懸命なので、しばらく観察する。

アシナガバチは、スズメバチほど攻撃的でないから、
そっと覗いたくらいで襲ってきたりはしない。
もちろん不用意に触ったら刺されるけれど、
猫は本能的にわかるのか、神妙にしてちょっかいは出さない。
Mが帰ってきたら言わなきゃ、と、ここにメモ。


買い物に行ったらレジ周辺をスズメバチが1匹飛び回っていて、
店員さんたちが「うわ」とか「きゃあ」とか騒いでいる。
すぐ外の花売り場から迷い込んだらしい。
虻と蜂、刺す蜂と刺さない蜂の区別を知らない人が、
田舎の町でも多いことに驚く。

わたしの目の前に飛んできたので、
持っていた紙製品で「ぱしっ」とはたきそうになったが、
(命中する自信がかなりありました。慣れてますので)
それはまだ精算前の商品だったので、あやうく思いとどまる。
帰宅後によくよく考えたら、やらなくて本当によかった。
すごいおばさんだと思われちゃいますよ、ねえ。


畑のさやいんげんのつるが、ちょっと見ないうちに
みんな高い竹の支柱のてっぺんまで登りつめ、
そこで方向性を見失い混乱状態におちいっている。
試行錯誤を宙に描いたような、もつれたつるの先が困っている。
ここ何年も不作がつづいたが、
今年のはなぜか「ジャックと豆の木」のように元気だ。
支柱をもっと高くしたら、どれくらい登るのだろう。
試してみたくなる。
喜んでどこまでもどこまでも登っていくのを見てみたい。
それでは収穫ができず、こちらは困るけれど。

落花生の畝を、深くくぼんだ足跡が斜めに横切っている。
せっかく可愛い花が咲いたのに、踏まれて折れている。
昨夜遅く、ガサ、パキ、と山で足音がしていた。
猪か、鹿か、体重のある奴のしわざだ。
何もわざわざ選んでここを通っていくことはないのに。
歩くとこなら他にいくらでもあるのに。
まったくもう。
(落花生を踏まれて特に悔しい理由があるのですが、
それはいずれ詳しく書きます)

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伝書猫

2008-07-08 09:10:07 | 日々

水曜の朝からいなかった真鈴は、
日曜の夜に帰ってきました。
遠くから高い声で鳴きながら小走りに帰ってきました。

初めのころは長くて48時間程度だった「謎のおでかけ」が、
このごろ徐々に長期化している感じです。
この調子だと、うちにいるときと、いないときが半々になっちゃうぞ。

木曜から金曜にかけて、かなり雨が降ったのですが、
毛皮が汚れたり傷んだりしていません。
食欲は旺盛ながら、がつがつした感じはありません。
その間、野山をさまよったりはしないで、
いちおう屋根のあるところにいて、ゴハンも食べていたんだ。
食べていたとすれば「自主調達」か、そうでなければ
「お食事つき」のお泊りだった、ということになりますが、

…どこで?

トゲトゲのある黒っぽい小さい草の種みたいなものが
毛にしっかりくっついています。
いつも真鈴だけがこれをつけてくる。
うちの庭でも畑でも見かけないものです。
それに、うっすらと特徴あるにおいがしみついている。
工業製品、プラスティックかビニールのようなにおいです。
このふたつがそろった場所を探せば、
真鈴のお泊り先がわかる。
そして、それはたぶん家から300メートル以内のはず。

たびたびそこへ行く、ということは、
何か猫にとって楽しいことでもあるのかな。
伝書鳩みたいに、首輪に手紙でもつけてみようか。

そういう猫、このあいだTVニュースで見ました。
2軒の間を行ったり来たり、両方のおうちで
別の名前で可愛がられていました。
ある日、一方の飼い主が思いついて手紙をつけてみたら、
むこうから返事が来て、それ以来、猫を郵便屋さんに、
文通がつづいているのだそうです。
でも猫だから、まっすぐ配達に行くとは限らなくて、
ご近所なのに何日もかかっちゃうこともあるんだとか。

帰ってきた真鈴は、よく食べて、よく寝ます。
くうくう、鳩みたいに喉を鳴らして甘えます。
また雨が降ってきた。
もうしばらくは、うちにいるでしょう。
この雨がやむまで。
いなさい。

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「りんごのおじさん」

2008-07-05 09:29:34 | お知らせ(新刊)

今年4冊目の絵本ができました。
「りんごのおじさん」(鈴木まもる絵・ハッピーオウル社)。
前に「絵本のつくりかた」の「津軽」「りんご篇」
書いたのはこの絵本のことです。
画像は →こちら

わたしにしては珍しく、というか、初めてかな?
実在のモデルのいる話です。
TVなどでも取り上げられたので、「あ、その人、知ってる!」
という方も多くいらっしゃると思いますが、
あくまでも「実話をもとにしたフィクション」ですので、
細部の相違などはご容赦願います。

りんごは、ずうっと以前から、わたしのテーマのひとつです。
もともとは、開拓時代のアメリカにりんご栽培を広めた
ジョナサン・チャップマンという人物に興味がありまして、
(小さいときにディズニー絵本で「りんごのジョニー」を見て以来…)
作品化できないかといろいろ資料をあつめていたのですが、
どうしても宗教と切り離せない部分があって書きづらく、
う~ん、困ったな…と思っていた矢先に、
今回の企画が空から降ってきました。
これが「りんご」でなかったら、書いていなかったかもしれません。

ところで、モデルのおじさんに、わたしは会っていませんが、
猫好きで、おうちにも猫がたくさんいるそうです。
その猫たちにも絵の中に登場してもらいました。
りんごと猫。好きなものふたつ。

りんごのおじさん (おはなしのほん)竹下 文子 鈴木 まもるハッピーオウル社このアイテムの詳細を見る



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梅雨のおでかけ

2008-07-04 10:14:01 | 日々

大雨で電車が止まるということが近頃たびたびあるので、
天気予報を気にしつつの1泊2日でした。
以下、順不同に。

駅にて。
サミット関連の特別警戒の最中、警察官の姿がやたらと多い。
駅構内の目立つ場所に立っているおまわりさんは、
乗り換えや出口の場所を尋ねられて大変なのでは、と思う。
駅員さんではないから尋ねられても困るだろう。
なにしろこの大きな駅では、いつもおおぜいの人が
迷って右往左往していて、都会在住でないわたしでさえ、
道をきかれたことが何度かあるくらいだもの。

同じ駅にて。
すれ違うエスカレーターに乗っている若い女性の
ショルダーバッグの口が3分の1ほど開いて、
そこから黒いふわふわした丸い頭がぴょこんと出て、
おとなしく周囲を眺めている。
プードルのような小犬らしい。
電車の中ではバッグを閉めるのだろうか。
かわいそうな気もするが、家に置いていかれるよりは
ましだと犬は思っているかもしれない。

別の(どこか忘れた)駅にて。
地下鉄を降りてホームを歩いていると、
初老の男性が階段を駆け降りてきて、
ドアが閉まる寸前の電車に飛び乗った、と思ったら、
足からスライディングのように勢いよく転倒した。
仰向けに倒れたが、頭だけドアの外にはみ出して、
後頭部は打たずに済んだ模様。
持っていたお茶のペットボトルがころがり
電車とホームの隙間にすーっと落ちていく。
その人が上体を起こすやいなや、ドアが閉まり、
何事もなかったように電車は走り去る。

また別の駅にて。
コインロッカーが新式で、個別にコインを入れるスロットがなく、
中央にひとつあるパネルで一括して操作するようになっている。
しかしこれだと、ロッカーがいくつあっても、
一度にひとりずつしか開け閉めできないではないか。
それにナンバーの印字されたぺらぺらのチケットは、
昔ながらの鍵の何倍も紛失しやすそうで不安である。

映画館にて。
チケット売り場に長い列。
レディスデーのせいかと思ったら、その人たちの大半は
キレイな男の子のおおぜい出る映画を観に来たのであった。
こちらは別のフロアで別の映画を観る。
斜め前に70は確実に過ぎていると思われるおじいさんが
ひとりでポプコーンを持って姿勢よく座っている。
映画自体は他愛のないもので、それでいいのか?という
展開がラストまで続いたが、わたしは何度か手を叩いて笑った。
おじいさんも笑ったかなあ。

国立西洋美術館にて、コロー展。
そこから、よくよく考えて地下鉄を乗り継ぎ、
新国立美術館にて、エミリー・ウングワレー展。
どう考えても取り合わせが良くないが、
日を改めているとどちらかは見る機会を逃してしまう。
新国立美術館は初めて。
一見、無駄に広いのかと思ったが、居心地は悪くない。
それに今回のような作品を見るには
いくら広くても決して広すぎるということはない。

新しい絵本ができたので、お祝い。
イーノさんが晩ごはんをごちそうしてくださる。
わたし用にわざわざ特別メニューにしていただき、
すみません。でも全部食べられて、とても美味しかったです。
絵本については、また次回に書きます。

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