この時期、季節の変化は本当に急です。
いつのまにか、レンギョウの花は終わりました。
かわって、梅花ウツギの花が満開です。
わかったようでわからない
・・・・・・・私にとっての黄瀬戸です。
はっきりしているのは、器を焼くとき、空気中の酸素によって灰釉に含まれる鉄分が酸化し、発色した黄釉の一種が黄瀬戸だということです。
逆に、酸素を断って焼成すれば、鉄が還元されて、青磁が得られます。
黄瀬戸と青磁、どちらが難しいかと言えば、それはもう、還元色(青磁)の方です。
鉄の酸化色、黄系統の釉は、空気中の酸素のため、容易に得られます。また、陶磁器の焼成に用いられる薪の成分、セルロースにも、大量の酸素原子が含まれています。
ですから、大量に生産される日用品の中には、黄瀬戸とみがまうような灰釉もあります。
瀬戸の石皿です。
良く使い込まれた器です。欠けやニュウは雑器の勲章。
実は、この皿、故玩館を改修した時、床下から見つけた物です。
ご先祖様、できれば、兎が踊っているような絵皿を残してほしかった(笑)。
でも、きれいな目跡がチマチマ配置された絵付き石皿よりも、無骨で大きな4個の目跡がデンとすわったこの皿の方が、貫禄があります。
失透気味の黄釉とジカン。
あちこちにムラができています。
なぜか釉薬が流れています。
雑器中の雑器ですが、黄瀬戸に近い感じがします。
このゴテゴテ感が黄瀬戸の本来の味ではないでしょうか。
瀬戸の石皿をもう一枚。
奇妙な絵付けの皿です。
人物は踊っているのでしょうか、それとも逃げているのでしょうか。
仮面怪獣(龍?)が追いかけています。
真ん中にあるのは川、それとも炎?
何かの物語でしょうか、不思議な絵です。
この絵皿、釉薬部分はずいぶんキレイです。
ツルッとした焼き上がりの灰釉です。
色調は、御深井釉に近い。
ついでに、もう一つ。
美濃の笠原鉢です。
茶陶の織部が終わる時期に、短期間、笠原窯(多治見市笠原町)で焼かれた大鉢です。
上の2つの石皿に較べれば、時代は遡ります。
補修部がなければ、結構きれいな肌です。
これはどう見ても、普通の灰釉。
黄瀬戸としてはキレイすぎます。
ところが、さる骨董屋の言では、緑釉がサッとかかっているので、黄瀬戸だとか。
それはないでしょ。
これは、れっきとした末期の織部ですわ。
今、多治見にいけば、黄瀬戸の器がずらっと並んでいます。
でも、作家物も含めて、どうしても欲しいという品にはお目にかかれません。
キレイすぎます。
知り合いの陶芸家。
美濃の山奥に窯を築いて、いろいろな焼き物に挑戦してきました。
土や釉薬の研究も熱心です。
当然、黄瀬戸にも挑戦。
しかし、今は専ら、白濁釉を施した陶器(美濃唐津?)を焼いています。
曰く。
「黄瀬戸は、キレイなものしか焼けなかった」