ここしばらく、岐阜にちなんだ品をブログアップしてきました。
それも、紙物が多かったので、ここで少し重い物に方向転換します(^.^)
金華山焼と呼ばれる焼物です。
金華山焼は、一説には、かの織田信長が金華山の麓で焼物を造らせたのが始まりと言われています。しかし、それを示唆する物は何もなく、いわゆる信長伝説の一つと考えるのが妥当でしょう。最も古い焼物は、江戸時代、岐阜奉行、黒田六一郎が焼いた楽焼茶器です。しかし、残された作品は非常に少なく、私たちが手にすることは無理です。ところが、明治以降、次々と数奇者があらわれ、趣味性の強い焼物を焼くようになりました。金華山焼は、金華山麓で焼かれたこれらの陶磁器の総称です。
今回の品は、福田旭水(安政３ー昭和３)が興した「金華山焼窯場」で作られた物です。そこでは、茶陶から日用品まで幅広い作品がつくられました。
口径 10.4㎝、底径 12.4㎝、高 8.2㎝。重 385g。大正時代。
やや口がすぼまった鵜籠形の香炉です。火入れかもしれません。
落ち着いた感じの焼物です。
底には４個の粘土粒が貼られ、脚となっています。
底まで釉薬が流れていて、丸トチンのひっつきが見られます。
底と内側は胎土が剥き出しです。淡紅色の陶土が使われています。
底の脇には、細長い「金華山」の印が押されています。旭水の焼物には、かならず「金華山」の印があります。
釉薬を掻き落として、鵜籠模様を出しています。釉薬も独特です。
内の底には、丸いトチンの跡があり、小さな物を内側に入れて焼いたことがわかります。
金華山焼の本です。
左：『金華山麓のやきもの』岐阜市歴史博物館、平成８年。
右：『金華山焼』岐阜ユネスコ協会、岐阜自然文化を創る会、昭和59年。
左の本に、同手の品が載っています。
幻の焼物と言われている金華山焼ですが、ポツンポツンと出てきます(^.^)
ご当地焼き物の金華山焼ですか！
赤い土に釉薬の色も独特であまり見たことのないタイプの陶器でした。
陶器はやはり味わい深くていいですね(^^)
因みにこの焼き物、幻ということは現在は窯はないんでしょうか？？
元々は、趣味人の手すさびです。ですから、茶陶など渋い物が多いです。
今では知る人も少なくなりました。
もちろん、焼いている窯もありません。
その多くは明治以降に作られたものですか。
各地に、「〇〇焼」という焼物がありますが、それらも、だんだんと存在数が少なくなってきましたね。
金華山焼もその例にもれず、残存数が少なくなっているのですね。
この器は、鵜籠形ですから、金華山→鵜飼→鵜籠を連想させますから、金華山焼の中では人気のあったのものでしょうし、貴重なものですね(^_^)
その意味では、金華山焼を代表する品の一つかもしれません。
金華山焼の特徴は、趣味人の好みが反映されていることです。ですから、作者が変われば作風も変わります。でも、不思議なことに、何か共通したものを感じます。
不器用な岐阜人の泥臭さかもしれません(^^;